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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

トランプ現象① 米社会の危機感を反映

2016-11-17 14:14:56 | 国際政治
トランプ現象① 米社会の危機感を反映
横浜国立大学名誉教授 萩原伸次郎さんに聞く


排外主義的な主張を繰り広げてきたドナルド・トランプ氏が次期米大統領になったことについて、アメリカ経済の研究者、萩原伸次郎・横浜国立大学名誉教授に聞きました。

トランプ氏を大統領候補に選出した7月の共和党全国大会は従来とまったく様相が異なりました。米国社会の危機が共和党大会に反映し、今までまったく政治経験のない、実業家であるトランプ氏が選出され、大統領に当選したといえます。
トランプ氏は、候補者選びの段階から、従来の共和党主流派候補を派手な立ち振る舞いでこき下ろしました。ブッシュ元大統領が起こしたイラク戦争は間違いだったと批判。グローバリズムには懐疑主義的立場を示し、労働者の利益にならない環太平洋連携協定(TPP)に反対しました。今までの共和党では考えもつかない政治姿勢を「吹き散らし」、共和党一般党員の支持を獲得してきました。




(左から)米次期大統領に選出されたトランプ氏とプリーバス共和党全国委員長、ペンス次期副大統領=9日、ニューヨーク(ロイター)

共和党信頼失う
ブッシュ元大統領の弟であるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は、サウスカロライナ州予備選で早々と撤退しました。「ティーパーティー」のヒーローと言われたテッド・クルーズ氏は、最後まで食い下がりましたが、結局、トランプに勝つことはできませんでした。意味することは、いままで共和党が米国の当然の政策として実施してきたことがことごとく崩れ、国民の信頼を大きく失ってきたことがあげられるでしょう。
イラク戦争に突き進んだ米国では、多くの若い兵士の命が奪われ、あるいは、帰国しても精神的に病んで日常生活に支障をきたす多くの人々が生み出されました。2010年11月の連邦議会選挙で、オバマ政権の政策を批判して、登場した「ティーパーティー」の運動も13年には極端な運動に走り、減税の終了と歳出の自動削減が重なって財政緊縮から景気が急激に悪化する「財政の崖」の懸念を引き起こしました。予算執行を妨害し、さらには連邦機関が一時閉鎖されて国民の評判を落としていきました。
今年7月の党大会ではトランプ氏が大統領候補に選ばれることを快く思わない、ブッシュ一族が大会をボイコットするという異例な事態が発生しました。12年の大統領選挙でオバマ氏の対立候補だったミット・ロムニー氏はトランプ氏を支持せず、保守の小政党、リバタリアン党から立候補するゲーリー・ジョンソン氏を支持するとして、党大会に出席しませんでした。クルーズ氏は大会3日目「指名を獲得したトランプ氏を祝福する」と切り出したまではよかったのですが、いつになってもトランプ支持の表明がなく、会場から「トランプ!トランプ!」と催促される始末でした。

「違い」アピール
トランプ氏の作戦はあえて共和党主流派と仲たがいをすることで、自分を従来の共和党候補とは違うように国民に見せ、自分が米国労働者の味方だと演出することだったといえるでしょう。したがって、大会が分裂気味で険悪な様相でも何ら気にせず、むしろ既成の政治家との違いをアピールして国民の支持を拡大することを考えたということでしょう。民主党のヒラリー・クリントン候補に対しては、「既成の政治家」「米国史上最悪の国務長官」とこき下ろしました。最終盤では連邦捜査局(FBI)のコミー長官がクリントン氏のメール公私混同問題の再調査を表明したことをフルに活用しました。「うそつき」というレッテル貼りを繰り返しながら、大統領の座を射止めました。(つづく)(3回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年11月16日付掲載


共和党の大統領候補でありながら、従来の共和党の政策に一線を画するような振る舞い。
まさに「小泉旋風」のようですね。トランプ氏も、これからの政策に注視する必要があります。

コメント
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