まさかの米大統領 トランプ氏の公約とあやうさ③ 新たなたたかいへ 国民に危機感「共闘を」
上着を通して風の冷たさが感じられる9日夜の首都ワシントン、前日の米大統領選に勝利した共和党で実業家のドナルド・トランプ氏が開業したホテル前に、市民が大挙して押しかけていました。「私の大統領じゃない」などと書かれたプラカードが見られ、通常のデモではあまり聞かない汚い言葉で同氏を非難するコールが響き渡っていました。
各地で続くデモ
参加者の一人、幼い娘を抱くケレン・フィッシャーさん(35)は対抗馬だった民主党ヒラリー・クリントン氏の支持者。
「大統領選の結果にものすごく驚いています。多くの人たちは世の中に対する恐れや憎しみの気持ちで、トランプ氏に投票したのでしょうか」と語りました。
選挙期間中、トランプ氏の移民、イスラム教徒、女性、マイノリティーへの差別的発言・公約が繰り返されました。これらが、新政権の下で実施されるのではないかと危機感を覚える市民のデモは、9日以降も各地で続いています。
クリントン氏と民主党の予備選を激しく争った自称、民主的社会主義者のバーニー・サンダース上院議員は同日、声明を発表。勤労世帯の生活改善のための政治を真剣に追求する範囲においてはトランプ氏に協力すると述べた上で、「人種・性差別、外国人敵視、反環境保護的な政策には、精力的に反対する」と表明しました。
サンダース氏が設立した草の根の運動団体「われわれの大変革」も、「あなたが優先してほしいわれわれのたたかいは何か、あなたにとって何が重要か」と、トランプ新政権の下での運動について意見を寄せることを国民に呼びかけています。
トランプ氏の差別的発言・公約などに猛抗議する市民=9日、ワシントン(洞口昇幸撮影)
運動が試される
米誌『ネーション』(電子版)は9日付で、トランプ氏の勝利による悲しみで閉じこもり、イスラム教徒の米国人や中南米系米国人、性的少数者などトランプ氏の姿勢に最も恐怖を感じている人々を見捨てることになれば、「歴史はわれわれを決して許さないだろう」と強調。人種、政治思想、宗教などの違いを超えた広範な共闘を提案しています。
同誌は、次の米大統領選までの今後の4年間で「われわれのこれまでにない運動が試される。たたかいにようこそ」と結びました。
来年1月20日に大統領に就任するトランプ氏に何を求めていくのかー。前述のフィッシャーさんは、「トランプ氏を支持した人たちに向けて、大統領として発するメッセージをこれまでとは変えてほしい」と答えました。(おわり)
(この連載はワシントン支局の洞口昇幸、島田峰隆が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年11月13日付掲載
過激な発言を繰り返してきたトランプ氏。大統領に選ばれてからは、発言を控えていますが、実際の政策を注視していく必要があります。
上着を通して風の冷たさが感じられる9日夜の首都ワシントン、前日の米大統領選に勝利した共和党で実業家のドナルド・トランプ氏が開業したホテル前に、市民が大挙して押しかけていました。「私の大統領じゃない」などと書かれたプラカードが見られ、通常のデモではあまり聞かない汚い言葉で同氏を非難するコールが響き渡っていました。
各地で続くデモ
参加者の一人、幼い娘を抱くケレン・フィッシャーさん(35)は対抗馬だった民主党ヒラリー・クリントン氏の支持者。
「大統領選の結果にものすごく驚いています。多くの人たちは世の中に対する恐れや憎しみの気持ちで、トランプ氏に投票したのでしょうか」と語りました。
選挙期間中、トランプ氏の移民、イスラム教徒、女性、マイノリティーへの差別的発言・公約が繰り返されました。これらが、新政権の下で実施されるのではないかと危機感を覚える市民のデモは、9日以降も各地で続いています。
クリントン氏と民主党の予備選を激しく争った自称、民主的社会主義者のバーニー・サンダース上院議員は同日、声明を発表。勤労世帯の生活改善のための政治を真剣に追求する範囲においてはトランプ氏に協力すると述べた上で、「人種・性差別、外国人敵視、反環境保護的な政策には、精力的に反対する」と表明しました。
サンダース氏が設立した草の根の運動団体「われわれの大変革」も、「あなたが優先してほしいわれわれのたたかいは何か、あなたにとって何が重要か」と、トランプ新政権の下での運動について意見を寄せることを国民に呼びかけています。
トランプ氏の差別的発言・公約などに猛抗議する市民=9日、ワシントン(洞口昇幸撮影)
運動が試される
米誌『ネーション』(電子版)は9日付で、トランプ氏の勝利による悲しみで閉じこもり、イスラム教徒の米国人や中南米系米国人、性的少数者などトランプ氏の姿勢に最も恐怖を感じている人々を見捨てることになれば、「歴史はわれわれを決して許さないだろう」と強調。人種、政治思想、宗教などの違いを超えた広範な共闘を提案しています。
同誌は、次の米大統領選までの今後の4年間で「われわれのこれまでにない運動が試される。たたかいにようこそ」と結びました。
来年1月20日に大統領に就任するトランプ氏に何を求めていくのかー。前述のフィッシャーさんは、「トランプ氏を支持した人たちに向けて、大統領として発するメッセージをこれまでとは変えてほしい」と答えました。(おわり)
(この連載はワシントン支局の洞口昇幸、島田峰隆が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年11月13日付掲載
過激な発言を繰り返してきたトランプ氏。大統領に選ばれてからは、発言を控えていますが、実際の政策を注視していく必要があります。