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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

検証TPP「大筋合意」は何を示したか⑦ 国内農業には大打撃

2015-12-23 21:03:33 | 経済・産業・中小企業対策など
検証TPP「大筋合意」は何を示したか⑦ 国内農業には大打撃

「聖域」としたはずの農産物重要項目の3割に手を付け、その他の農林水産物も関税撤廃―。史上最悪の「自由化」となる環太平洋連携協定(TPP)の「大筋合意」が農林水産業の危機に拍車をかけるのは必至です。

振興策財源失う
米では、現行のミニマムアクセス(最低輸入機会)による77万トンに加えて、米国とオーストラリアに合計7万8400トンもの特別輸入枠を新設。国内消費が年8万トン減少し、過剰在庫と米価暴落に苦しむ農家には受け入れがたい内容です。
政府は、輸入増に見合う備蓄を増やし、国内需給に影響を与えないといいますが、備蓄米の増加が米価下落の圧力となるのは明らかです。
麦は、事実上の関税であるマークアップ(売買差益)を45%削減します。生産者麦価の低下を招き、マークアップ削減で国内麦振興策の財源も失われ、水田の転作や畑作の輪作を支える麦生産が困難になります。
牛肉は、関税率を現行の38・5%を15年間で9%へ引き下げます。安倍晋三政権は昨年4月、日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)を結んだ際、牛肉の関税を19%まで引き下げ、TPPではその線を死守すると約束しました。しかし、それをあっさりほごにしたのです。外国産と競合する乳用種の価格低下を招き、肥育・酪農経営の悪化は避けられません。政府は、畜産経営安定対策を拡充すると説明しますが、財源としてきた牛肉関税が大幅に減る中で、制度を維持できる保障はありません。



TPPの影響調査で酪農家の話を聞く日本共産党の紙智子参院議員(左)=12月3日、北海道幕別町

1兆円超す被害
東京大学大学院の鈴木宣弘教授は、「大筋合意」によって、米では約1100億円、牛肉で3262億円、豚肉で4141億円、乳製品で約960億円など、合わせて1兆円を超える被害が農業分野で出ると試算しています。
農林水産省も11月初旬、「品目ごとの農林水産物の影響について」を公表。「当面影響は限定的」としながらも、多くの品目で「長期的には価格下落が懸念される」と認めました。その上で、「さらなる競争力の強化」「環境整備」が必要だなどとし、外国産と競争できない経営や産地は淘汰(とうた)されても仕方がないという立場です。
農水省は、輸入がTPP域外から域内へ置き換わる可能性を軽視するなど、影響を「軽微」に見せようとしていますが、その控え目の発表でも「合意」が日本農業への打撃となることは否定できません。

生存基盤脅かす
日本農業は、高齢化や担い手の減少が限界まで進み、崩壊の危機が広がっています。TPPはそれへの決定的な追い打ちとなりかねません。それは農家にとどまらず、農村社会の崩壊、国土の荒廃、国民の生存基盤を根底から脅かします。
安倍内閣は今年3月、世界最低水準の食料自給率39%を10年後に45%へ引き上げる計画を閣議決定しました。「大筋合意」は、それを投げ捨て、目先の「安さ」と引き換えに国民の食の安全・安心を放棄するものです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年12月16日付掲載


TPP交渉は、農業分野にも市場原理を導入するもの。関税撤廃や輸入枠の拡大で、いくら対策をするといっても、国内生産が輸入品に駆逐されるのは火を見るよりも明らか。
今からでもTPPから撤退を。
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