地方志向の若い世代 島根県の中山間地域にみる② 町がみんなで子育て
東西に長い島根県のほぼ中央部に位置する邑南町(おおなんちょう)。2004年に2町1村が合併してできました。人ロ1万1500人の町です。
この町でも若い世代の移住が増え、転入と転出の差し引きで13年度には20人の増加になりました。子育て世代の30歳代が多く、町の施策も子育てを後押ししています。
鈴木麻里さん(38)は、2年前に群馬県前橋市からIターン(移住)しました。来年小学生になる子どもがいます。
鈴木さんは、11年の東日本大震災が生き方を変える大きな転機になったといいます。都市では希薄になった人と人のつながりの大切さを改めて実感し、自然とともに生きるのが自然ではないかと思うようになっていきました。
町の素材いかし
料理好きの鈴木さんはインターネットで、町が進める「A級グルメ」の取り組みを知りました。「A級グルメ」は、町内で生産される農産物を素材にして「ここでしか味わえない食や体験」を提供し、町内外の交流を進めることを目指しています。鈴木さんは、この町で料理の世界にかかわって生きていこうと考えています。
町の基幹産業は農林業です。町は「地産地消条例」を制定。町内3カ所の農産物直売所(産直市)や農業関連の法人などが、小さいながらも、元気な農業を支えています。集落と地域農業の存続のための集落営農法人がIターン・Uターンする人たちの受け皿になっています。
石田麻衣さん(32)はシングルマザーとして広島から移住しました。勤めていたレストランの食材を探しにこの町にきたことがきっかけでした。雪景色に感激し、「ここに住みたい」とすぐさま思ったと振り返ります。
農業研修生を支援する法人で働く石田さん。「近所の人が子どものことに気をかけてくれます。町全体がみんなで子育てをしてくれているような感じ」といいます。

広島から移住した石田さん

自宅前で話す米田さん
“日本一”目標に
町は「日本一の子育て村」を目標に掲げ、第2子以降の保育料無料や中学校卒業までの医療費無料など、子育て支援に力を入れています。町には12の公民館があり、地域の「核」の役割を発揮しています。公民館では、「地域学校」と称して、住民主体で子どもを育てる取り組みを行っています。
日本共産党邑南町議の大和磨美(やまと・まみ)さんは、「私自身も子育て世代の1人です。町の施策をさらに充実させるとともに、若い世代の声が生きる町政のために全力を尽くしていきたい」と語ります。
広島市から移住した米田光希さん(30)。町には祖父母がいて、子どもの頃からしばしば訪れ、とても気に入っていた町でした。やがて、「都会より魅力的ではないか」と感じるようになっていきました。
デザイナーとしてボスターやチラシなどを製作しています。広島の会社に属していますが、この町に移ってからも退社せず、会社の計らいで、自宅を支社として仕事を続けています。「生活も安定してきたので、どこかで区切りをつけ、カフェと民芸品を組み合わせた自分の店を持ちたい」と、将来の希望を語ります。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年10月24日付掲載
「B級グルメ」でなくって「A級グルメ」ってのが良いですね。町内で生産される農産物を素材にして「ここでしか味わえない食や体験」を提供するというこだわりがあるんですね。
デザイナーという仕事柄もあるのでしょうが、会社側のサポートもあって田舎に定住できるのですね。
東西に長い島根県のほぼ中央部に位置する邑南町(おおなんちょう)。2004年に2町1村が合併してできました。人ロ1万1500人の町です。
この町でも若い世代の移住が増え、転入と転出の差し引きで13年度には20人の増加になりました。子育て世代の30歳代が多く、町の施策も子育てを後押ししています。
鈴木麻里さん(38)は、2年前に群馬県前橋市からIターン(移住)しました。来年小学生になる子どもがいます。
鈴木さんは、11年の東日本大震災が生き方を変える大きな転機になったといいます。都市では希薄になった人と人のつながりの大切さを改めて実感し、自然とともに生きるのが自然ではないかと思うようになっていきました。
町の素材いかし
料理好きの鈴木さんはインターネットで、町が進める「A級グルメ」の取り組みを知りました。「A級グルメ」は、町内で生産される農産物を素材にして「ここでしか味わえない食や体験」を提供し、町内外の交流を進めることを目指しています。鈴木さんは、この町で料理の世界にかかわって生きていこうと考えています。
町の基幹産業は農林業です。町は「地産地消条例」を制定。町内3カ所の農産物直売所(産直市)や農業関連の法人などが、小さいながらも、元気な農業を支えています。集落と地域農業の存続のための集落営農法人がIターン・Uターンする人たちの受け皿になっています。
石田麻衣さん(32)はシングルマザーとして広島から移住しました。勤めていたレストランの食材を探しにこの町にきたことがきっかけでした。雪景色に感激し、「ここに住みたい」とすぐさま思ったと振り返ります。
農業研修生を支援する法人で働く石田さん。「近所の人が子どものことに気をかけてくれます。町全体がみんなで子育てをしてくれているような感じ」といいます。

広島から移住した石田さん

自宅前で話す米田さん
“日本一”目標に
町は「日本一の子育て村」を目標に掲げ、第2子以降の保育料無料や中学校卒業までの医療費無料など、子育て支援に力を入れています。町には12の公民館があり、地域の「核」の役割を発揮しています。公民館では、「地域学校」と称して、住民主体で子どもを育てる取り組みを行っています。
日本共産党邑南町議の大和磨美(やまと・まみ)さんは、「私自身も子育て世代の1人です。町の施策をさらに充実させるとともに、若い世代の声が生きる町政のために全力を尽くしていきたい」と語ります。
広島市から移住した米田光希さん(30)。町には祖父母がいて、子どもの頃からしばしば訪れ、とても気に入っていた町でした。やがて、「都会より魅力的ではないか」と感じるようになっていきました。
デザイナーとしてボスターやチラシなどを製作しています。広島の会社に属していますが、この町に移ってからも退社せず、会社の計らいで、自宅を支社として仕事を続けています。「生活も安定してきたので、どこかで区切りをつけ、カフェと民芸品を組み合わせた自分の店を持ちたい」と、将来の希望を語ります。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年10月24日付掲載
「B級グルメ」でなくって「A級グルメ」ってのが良いですね。町内で生産される農産物を素材にして「ここでしか味わえない食や体験」を提供するというこだわりがあるんですね。
デザイナーという仕事柄もあるのでしょうが、会社側のサポートもあって田舎に定住できるのですね。