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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 税逃れ① 「国籍なき利益」当局及ばず

2014-10-16 21:48:57 | 経済・産業・中小企業対策など
変貌する経済 税逃れ① 「国籍なき利益」当局及ばず

タックスヘイブン(租税回避地)を舞台にした多国籍企業の課税逃れが、世界的な大問題に浮上しています。
欧州連合(EU)欧州委員会がアイルランド政府に対し、米アップル社に提供した優遇税制措置が違法な国家補助に該当するとの見解を伝えていたことが9月30日、明らかになりました。



アップル・ウオッチを発表するアップルのクック最高経営責任者(CEO)=9月(ロイター)

「猫とネズミ」
多国籍企業による法人税逃れはしばしば、動きののろい政府が、すばしっこい企業の税金逃れを追いかける、「猫とネズミ」のゲームとして描かれます。英紙フィナンシャル・タイムズの社説は、「欧州委員会は、税金逃れをしているネズミが、政府という猫から不公平な助けを得ている、という新たな変種を発見したようだ」(1日付)と皮肉っぽく取り上げ、「問題の核心は、企業の子会社間で利益を移す移転価格という人に言えないような秘密の商慣行である」と強調しました。
2013年5月21日、米上院の国土安全保障委員会の常設調査小委員会で開かれた公聴会は、アップルの課税逃れがテーマでした。問題となったのは、同社が税率の低いアイルランドに設立した実態のない子会社に、巨額の利益を移転するなどの複雑な会計処理でした。
「アップルの素晴らしい製品は世界中で知られている。しかし、課税逃れのための高度な仕組みを構築していることは知られていない」。民主党のレビン同小委員会委員長はこう指摘しました。
大企業が保有する知的財産権は、世界経済の中で価値の主要な源泉となっています。レビン委員長は、知的財産権をタックスヘイブンに移転することが、アップルの税逃れ戦略の核心である、と指摘します。
同社は12年の1年間だけでも90億ドル(約9720億円)のアメリカ政府への納税を逃れていました。1時間ごとに100万ドル以上も課税を逃れていたことになります。
このアップルの手法をレビン委員長は、「課税逃れの聖杯」と呼びました。イギリスの『エコノミスト』誌は、「国籍なき利益。全ての国税当局の手が届かないもの」(13年5月25日号)と指摘しました。
アップルがアイルランドに設立した子会社のAOIには、従業員は存在せず、経営の実態はありません。アメリカで経営、管理されている子会社です。このAOIは、300億ドルの所得があったにもかかわらず、過去5年間、法人税を払っていません。これは、アイルランドと米国の税制の違いを利用したものです。アイルランドでは、法人の実態がある場所が課税上の「住所」となります。米国では書類上、企業を設立した場所が「住所」になります。アイルランドに設立されたAOIは、経営上の実態がないため、アイルランドでは課税されません。一方、経営上の実態のあるアメリカでは、書類上の「住所」がないため、課税を逃れることができるのです。これは、どちらの国でも課税されない「二重非課税」と呼ばれているものです。

負担のツケ回す
タックスヘイブンを監視している国際的ネットワークのタックス・ジャスティス・ネットワークの調べによると、タックスヘイブンに隠された世界の富は、2010年末の時点で推定21兆~32兆ドルに達しています。
各国の税務当局の手を逃れる複雑な仕組みをつくりあげるには、会計事務所の存在が欠かせません。巨大会計事務所の一つプライスウォーターハウスクーパーズに対し、米の大手建設機械製造業のキャタピラー社は、5500万ドルもの手数料を支払っていることが明らかになっています。
多国籍企業や富裕者による税逃れは、庶民への増税や途上国からの富の収奪として負担のツケが回されています。(つづく)
(4回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年10月15日付掲載


企業の実態のある国でも、登録のある国でも税金を逃れるなんで、あまりにもあくどい商売です。
国際的に規制していくべきですね。
コメント
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