消費税増税悪魔のシナリオ② 20年までに20%と気勢
消費税増税はこの4月の8%への引き上げで終わりではありません。消費税増税法は来年10月に消費税率を10%まで引き上げると明記。安倍晋三首相は税率引き上げを「今年中に判断する」と国会答弁しています。
東京五輪テコに
財界は消費税率のさらなる引き上げを画策しています。
経団連は12年に発表した提言で消費税率を2025年に19%まで引き上げることを要求しています。
政府の経済財政諮問会議議員などを歴任した伊藤隆俊東京大学公共政策大学院院長は、20年までに消費税率を20%まで引き上げることを求めています。昨年10月に開かれた政府関連研究所による共同セミナーで「オリンピックブームが必ず起きます」「気概を持って消費税を20%まで上げるということをしていただきたい」と講演しました。
消費税増税によって社会保障が拡充されるわけではありません。14年度予算では消費税による増収5兆円のうち、「社会保障の充実」に使われるのはわずか5000億円です。
さらに、安倍内閣は、3兆5450億円にのぼる社会保障の負担増・給付減を計画しています。これが実施されると、10%への消費税増税時に社会保障「充実」に回るとしている2兆8千億円も吹き飛びます。

スーパー中枢港湾のプロジェクトの一つである横浜港メガターミナル
法人税255兆円減
一方で大企業には優遇です。1989年度の消費税導入以来、14年度までの26年間で消費税による税収は282兆円にのぼりました。一方、この間に企業が負担する法人税収は255兆円も減ってしまいました。
14年度からは復興特別法人税が1年前倒しで廃止され、投資減税や交際費減税などを合わせて1・5兆円もの大企業減税が実施されます。安倍政権はさらに法人税を引き下げようとしています。
法人税率の引き下げは財界の強い要求です。消費税率を19%まで引き上げることを求めた12年5月の経団連提言は、国と地方を合わせた法人実効税率を、復興特別法人税を廃止した後の35・6%から、25%まで引き下げることを求めています。
消費税増税が「戦争をする国づくり」を後押ししています。14年度予算では軍事費が大幅増額されました。海から敵地に攻め込む水陸両用車(2両17億円)などの導入を狙います。さらに安倍政権が定めた中期防衛計画では、今後5年間に24兆6700億円の軍事費をつぎ込もうとしています。

無駄な大型事業
不要不急の大型公共事業費も大幅増です。14年度予算には東京・名古屋・大阪の三大都市圏環状道路、空港と港を結ぶ道路等の整備に1681億円を計上。国際コンテナ戦略港湾(京浜港・阪神港)の機能強化に446億円、首都圏空港(羽田・成田)強化に135億円を盛り込みました。整備新幹線(北海道・北陸・九州長崎ルート)建設は、これまで定額だった706億円から719億5000万円に増額しました。
さらに政府は公共事業を中心に14年度予算の早期執行を求めています。消費税増税による景気の落ち込みを小さく見せるためです。3月28日の閣議で、6月末までに4割以上、9月末に6割以上が実施済みになるよう関係省庁に指示しました。
しかし、公共事業などでは建設業界の人材不足や資材の調達難が予算執行が遅れる要因となっています。そうした事情を無視して、早期執行を強要すれば税金の使い方にゆがみが生じるおそれがあります。
国民負担を増やしながら、大企業や軍事費に税金をつぎ込む路線は国民にとってはまさに「悪魔のシナリオ」です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年4月17日付掲載
大企業にはさらなる減税で、消費税をさらに上げるなんて許されません。しかも、三大都市圏の環状道路や大深水バースなどを造っていこうってことですから…。
そんなところに回す税金の余裕があったら、国民生活をケアするソフト面にもっと使うべきです。
消費税増税はこの4月の8%への引き上げで終わりではありません。消費税増税法は来年10月に消費税率を10%まで引き上げると明記。安倍晋三首相は税率引き上げを「今年中に判断する」と国会答弁しています。
東京五輪テコに
財界は消費税率のさらなる引き上げを画策しています。
経団連は12年に発表した提言で消費税率を2025年に19%まで引き上げることを要求しています。
政府の経済財政諮問会議議員などを歴任した伊藤隆俊東京大学公共政策大学院院長は、20年までに消費税率を20%まで引き上げることを求めています。昨年10月に開かれた政府関連研究所による共同セミナーで「オリンピックブームが必ず起きます」「気概を持って消費税を20%まで上げるということをしていただきたい」と講演しました。
消費税増税によって社会保障が拡充されるわけではありません。14年度予算では消費税による増収5兆円のうち、「社会保障の充実」に使われるのはわずか5000億円です。
さらに、安倍内閣は、3兆5450億円にのぼる社会保障の負担増・給付減を計画しています。これが実施されると、10%への消費税増税時に社会保障「充実」に回るとしている2兆8千億円も吹き飛びます。

スーパー中枢港湾のプロジェクトの一つである横浜港メガターミナル
法人税255兆円減
一方で大企業には優遇です。1989年度の消費税導入以来、14年度までの26年間で消費税による税収は282兆円にのぼりました。一方、この間に企業が負担する法人税収は255兆円も減ってしまいました。
14年度からは復興特別法人税が1年前倒しで廃止され、投資減税や交際費減税などを合わせて1・5兆円もの大企業減税が実施されます。安倍政権はさらに法人税を引き下げようとしています。
法人税率の引き下げは財界の強い要求です。消費税率を19%まで引き上げることを求めた12年5月の経団連提言は、国と地方を合わせた法人実効税率を、復興特別法人税を廃止した後の35・6%から、25%まで引き下げることを求めています。
消費税増税が「戦争をする国づくり」を後押ししています。14年度予算では軍事費が大幅増額されました。海から敵地に攻め込む水陸両用車(2両17億円)などの導入を狙います。さらに安倍政権が定めた中期防衛計画では、今後5年間に24兆6700億円の軍事費をつぎ込もうとしています。

無駄な大型事業
不要不急の大型公共事業費も大幅増です。14年度予算には東京・名古屋・大阪の三大都市圏環状道路、空港と港を結ぶ道路等の整備に1681億円を計上。国際コンテナ戦略港湾(京浜港・阪神港)の機能強化に446億円、首都圏空港(羽田・成田)強化に135億円を盛り込みました。整備新幹線(北海道・北陸・九州長崎ルート)建設は、これまで定額だった706億円から719億5000万円に増額しました。
さらに政府は公共事業を中心に14年度予算の早期執行を求めています。消費税増税による景気の落ち込みを小さく見せるためです。3月28日の閣議で、6月末までに4割以上、9月末に6割以上が実施済みになるよう関係省庁に指示しました。
しかし、公共事業などでは建設業界の人材不足や資材の調達難が予算執行が遅れる要因となっています。そうした事情を無視して、早期執行を強要すれば税金の使い方にゆがみが生じるおそれがあります。
国民負担を増やしながら、大企業や軍事費に税金をつぎ込む路線は国民にとってはまさに「悪魔のシナリオ」です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年4月17日付掲載
大企業にはさらなる減税で、消費税をさらに上げるなんて許されません。しかも、三大都市圏の環状道路や大深水バースなどを造っていこうってことですから…。
そんなところに回す税金の余裕があったら、国民生活をケアするソフト面にもっと使うべきです。