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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

どう見る「円安・株高」③ 「デフレ脱却」 原因を見誤った対策

2013-04-07 20:03:34 | 経済・産業・中小企業対策など
どう見る「円安・株高」③ 「デフレ脱却」 原因を見誤った対策
東京工科大学 工藤昌宏教授に聞く

安倍晋三政権は「デフレ脱却」を掲げています。
そもそも、「デフレ」とは、何らかの原因で、商品やサービスに対する貨幣の価値が上がることにより、物価下落が起きる現象のことです。政府は、市場に出回る貨幣量が少ないことが原因で、物価が下落しているとの短絡的な発想から、「金融緩和」を掲げています。

国民所得が低下
しかし、「デフレ」の原因は、日銀から市場に資金が流れていないからではありません。
もっとも大きな原因は、国民の賃金・所得が低下し、雇用情勢も不安定な状況で、将来への不安が大きくなっていることです。
「デフレ」の原因は、歴代の自民党政権が、企業収益を最優先した政策をとる一方で、国民生活を軽視してきたことにあるのに、安倍首相はその反省がありません。
1990年代に入り、企業収益が増大したものの、雇用情勢は悪化しました。賃金上昇率も低下し、98年ごろから賃金上昇率はマイナスに転じました。
政府や財界は、企業収益を増やせば、雇用も所得も拡大して消費が活性化するといいます。しかし、大企業は、利益を積み増すためにコスト削減で労働者に痛みを押し付けてきたのが実情です。この事実が、企業収益を最優先する政策が誤りであることを示しています。
さらに、政府が、消費税増税や医療費負担増などを強行したことによって、経済の基盤である消費は冷え込み、「デフレ」をいっそう深刻化させました。



衆議院予算委員会で答弁する安倍晋三首相=2月7日


賃上げこそ必要
「デフレ脱却」には、賃上げが必要です。マスコミは、トヨタなど一部企業の一時金の満額回答」を仰々しく報道しています。しかし、一時金の引き上げでは不十分です。来年も維持されるかわからないので、労働者が一時金を消費に回すことは難しいと思います。しかも、流通業などは、非正規雇用の比率が高いため、正社員の一時金を引き上げても、消費活性化の効果は薄いと思います。
基本給を引き上げるベースアップを行わなければ、労働者にとって安心感につながりません。
そして、何より国民が安心して消費できる環境が不可欠です。そのためには、まず、解雇規制を行い、派遣労働といった不安定雇用を、人間らしく働ける正社員へと切り替えていくことが必要です。医療や介護など、国民が安心できる社会保障制度を確立する必要があります。
ところが、政府は年金給付削減をはじめとした社会保障切り捨てや、消費税増税を進めようとしています。
「成長戦略」では、解雇規制の緩和なども狙っており、企業の目先の利益だけを追い求めています。「アベノミクス」を強引に進めれば、「デフレ」はさらに進行すると思います。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年4月4日付掲載


「アベノミクス」は、「デフレ」の要因を見誤ることによる失策です。社会保障や年金などの将来不安、可処分所得の減少が消費マインドを冷え込ませています。
市場にジャブジャブ資金を注ぐのではなく、国民の懐に資金を注ぐ。賃金アップや下請け単価の引き上げこそすべきです。
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どう見る「円安・株高」② 無制限の金融緩和 悪影響ばかり恩恵なし

2013-04-07 19:52:13 | 経済・産業・中小企業対策など
どう見る「円安・株高」② 無制限の金融緩和 悪影響ばかり恩恵なし
東京工科大学 工藤昌宏教授に聞く

安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の一つである「無制限の金融緩和」は、長期国債の発行を加速度的に増やすという危険性を持っています。

財政規律保てず
金融緩和によって、金融機関には、日銀による金融資産購入を通じた資金が流入します。金融機関はその資金で国債を購入します。それが繰り返されれば、国債が増発されます。放漫財政で財政赤字が生まれても、国債で補てんできることになり、財政規律は正常に保たれなくなります。
一方、金融緩和で手元資金が増えれば、金融機関はドル建て資産の購入にも走る可能性があります。そうなると、外国為替市場で円売りドル買いが行われ、円安ドル高が進行します。円安は、外貨に対する円の価値の下落です。原油など輸入品の価格上昇をもたらし、国民生活や企業収益が圧迫されます。
「アベノミクス」は悪影響をもたらすだけでなく、国民生活に対する恩恵も全く期待できません。
安倍首相は「企業が世界で一番活動しやすい国」を目指すとして、大企業支援策を中心とした「成長戦略」の策定を進めています。歴代政権は「成長戦略」を策定してきましたが、ことごとく失敗しました。
安倍政権の「成長戦略」を具体化する産業競争力会議では、法人税率引き下げや解雇規制の緩和、国内産業を壊す環太平洋連携協定(TPP)への参加など、企業の利益にばかり重点を置いています。それらの政策で国民生活が大打撃を受けるということを全く考慮していません。



答弁のため手を挙げる黒田東彦日銀総裁=3月28日、参院財政金融委員会


需要創出示せず
「新産業の創出」を打ち出していますが、絵に描いた餅です。実際に、消費の裏づけのある有効需要をつくる政策が示されていません。潜在的な需要は大きいものの、所得の低下や社会保障改悪による将来不安があるため、実際には消費が冷え込んでいます。
国民生活が安定し、有効需要が増えることなくして、産業が育つはずはありません。介護などを「成長が期待される分野」としていますが、低賃金・長時間労働といった、介護士が置かれている劣悪な労働条件を改善しなければ、そこで働く人も現れません。
「アベノミクス」は大型公共事業による景気活性化を打ち出しています。しかし、大型公共事業の経済効果は限定的なものです。建設業者は、2000年から13年までの間に、約60万社から約48万社へと大きく減少しました。さらに、大型クレーンをはじめとした機械化が進んでおり、人手も減らされています。そういう状況では、建設労働者の所得が増えて、消費に回り経済が活性化されるという効果は、従来ほど期待できません。
そもそも大型公共事業に税金を湯水のようにつぎ込んだ1990年代も、景気は回復しませんでした。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年4月3日付掲載


いくら金融緩和で市場にお金を注いでも、それが生産活動や消費に回らなければ無駄な浪費。投機に回るだけです。
生産や消費マインドを上昇させる特効薬は、労働者の賃金アップなのですが…。
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