きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

月の満ち欠けと行事④ 誰もが分かりあえる日

2013-01-25 22:22:49 | 科学だいすき
月の満ち欠けと行事④ 誰もが分かりあえる日

15日目の月
15日目の満月は、太陽が沈む頃、東から昇ります。とくに、春分の日(3月21、22日頃)に近い満月は、太陽が沈むのと、同時に昇ってきます。満月は誰が見ても、見間違いしないまん丸で、ひときわ輝き、しかも、ひと晩中空にあり、東から西の空までを横切ります




小正月と盆
旧暦1月15日は、中から暦が伝わる以前の民間の正月であったといわれています(『民間暦』宮本常一著)。一年の大切な変わり目が正月で、もう一つが半年後の7月15日が区切りの日であったと考えられます。現在は仏教的行事の「盆」ですが、両者とも火を焚くなど相似した形式が多く残っています。
今も広い地域で行われるトンド(ドンド、左儀長など)は、一年の厄災をはらう火祭りです。盆の精霊火も、火祭りによる悪霊の追放が元々のもので(精霊流しなど水に流す形式も)、祖先の霊の送り迎えは、仏教が入ってからの行事といわれています。
日常という変わらぬ日々に、非日常の祭り(ハレの日)を区切りの日として演出するには、満月と火焚きは劇的な舞台といえます。このような行事(祭り)が無かったとしたら、生活をリセットする日、生きる希望さえも失ってしまいそうです。
行事は時代に合わなければすたれ、消えていきますが、同じ時期の行事に遺伝子を遺しているようです。
現在の「お盆」は、旧暦の盆を月遅れで行い、新暦8月15日の前後を企業は休暇とし、故郷のある人は帰省します。この帰省は、かつて、正月と盆に奉公人が自分の家に帰る日「薮入り」を受け継ぎ、盆は仕事を休む日でした。



火祭りの左儀長

23日目の下弦の月
日没に東の空から昇っていた月は、23日目は夜中まで顔を出しません。
月は毎日約50分遅れで出ます。今月の4日が旧暦11月23日目の月で、月の出は23時25分。23日目(または前後の日)頃に、満月から半円になり、下弦の月といいます。
上弦、下弦は月の沈むときの弦の位置を表わします。下弦の月は昇るとき、弦は左上にありますが、沈むとき下に回ります。この時、10時27分。太陽の強い光に負けて見ることはできません。

二十三夜待ち
夜中に昇る半円の月を特別なものとして、月を祭る「月待ち」という行事が江戸時代には盛んでした。おもに女性が集ってお供えをし、月を拝み、飲食を共にするものでした。祭神は勢至(せいし)菩薩、阿弥陀三尊、月光菩薩などで、行う月は地域によって一定でなく、正・5・9・11月が普及していました。

29、30日目の月
今月の11日が旧暦11月30日の月でした。月の出は5時53分。日の出は6時51分ですから、7時過ぎまでは見ることができました。冬の細い月は、研ぎ澄まされた鎌の刃のように、白く銀色に輝いています。月の終わりを示す細さです。

夏越のはらいと大はらえ
夏越のはらいと大はらえは、1年を二分した、かつての名残りで、新しい区切りに入るため、食事や行動を慎む「忌み日」であったといわれています。
「夏越のはらい」は旧暦6月の晦日(みそか)、「大はらえ」は旧暦12月の大晦日。しかし、「大はらえ(年越しのはらえ)」は室町時代に廃絶されます。それは、疫病の流行期ではないことが理由だといわれています。夏越のはらいは、現在も多くの神社で行われ、人形(ひとがた)で身体をなでて神社に納め、水に流してけがれをはらったり、鳥居下の茅の輪をくぐるなどの形式があります。



夏越のはらい、茅の輪くぐり

月は7日ごとに大変化
まったく月の見えない朔(さく)、日の入りに右半円の上弦の月、満月、夜明けに左半円の下弦の月、この4変化は誰もが見分けられる形です。1週間7日は、月の変化をもとにしたことが分かります。
行事は五節句が中心になりましたが、他の多くの行事も月初めの朔、月半ばの満月の日に多く、次は上弦・下弦の日です。
現在のように暦(カレンダー)が普及していなかった時代、誰もが分かり合える日、特定の形の月の日に決めたと思えますし、朔・満月の夜は神秘性を伴っています。
(イラストも)
(暦の会会員、暦カレンダー製作会社代表 大枝史郎) (おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年1月25日付掲載


満月は特別ですが、
16夜は、「いざよいの月」で、そこらへんをうろうろと歩いていて月を待つ。
17夜は、「立待ちの月」で、歩いていては疲れるので立っていて月を待つ。
18夜は、「居待ちの月」で、立っていては疲れるので、座って(居る)いて月を待つ。
19夜は、「寝待ちの月」で、座っていても疲れるので、横になっていて月を待つ。

昔の人は、よく考えたものですね。今では考えられないほどのスローな暮らしぶりだったのですね。


2012年大みそか 居待の月1
2012年大みそか 居待の月1 posted by (C)きんちゃん
ちなみに、2012年の大晦日に撮った月の写真。居待の月です。

2012年大みそか 居待の月2
2012年大みそか 居待の月2 posted by (C)きんちゃん
コメント (2)
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