仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

三足の草鞋

2006-08-20 15:08:54 | 生きる犬韜
猫町

ビデオメーカー

このDVDの詳細を見る

学芸員課程集中講座の2週目が終了。とにかく、月曜朝の大停電で出鼻を挫かれ、以降なかなか自分のペースを取り戻せない1週間でした。

1日の前半は、博物館経営・情報論。高知県立美術館の篠雅廣さんが講師で、博物館経営のプラクティカルな知・技術を教わりました。最初にブルデューが出てきたので質問したところ、かなりポスト・モダンな人でしたね。指定管理者制、博物館の危機管理の問題(阪神淡路大震災におけるご自身の体験より)も、語り口は諧謔的かつ軽妙ながら、魂の籠った重みのある講義で感動的でした。
そのなかで、仮想の博物館の建設計画を立てるグループ・ディスカッションがあったのですが、世代の違う方々の<人生の背景>を垣間見る意見交換ができて、非常にためになりましたね(とくに、京都造形芸術大学の飯田高誉さんには仲良くしていただき、昼休みごとにけっこう深い意見交換もできました)。結果として企画されたエコ・ミュージアム、〈早稲田アーカイヴ・キューブ〉はなかなかに現実的な内容だったと思うのですが、私のプレゼンのせいでその真価を充分に公表できず残念。なんと与えられた時間は3分間、私を知る人には自明でしょうが、そんな短い時間で思いの丈を語りうるスキルは持ち合わせていません(胸を張っていえます。張るなっつーの)。しかし他班は立派なもので、パワーポイント等を駆使して〈分かりやすい〉発表を行っていました。10時に帰宅してからも仕事のある身では、そんな準備をする余裕もありませんでしたが、それは他の参加者も似たり寄ったりでしょうか。こんな形で〈分かりやすさ至上主義〉の反駁を食らうことになろうとは……まったく迂闊でした。

さて、1日2時間睡眠で疲労の限界に達していたものの、何とか倒れずに金曜日に到達。しかし、午後から夜にかけての博物館実習は、やっていることは面白いものの、時々立ち眩みのするありさまでした(つらかった……)。この土・日でJ大の採点も終えたので、ようやく明日からは学芸員講習のみに集中できます。三足の草鞋のうち、二つは少々脱いでおいて(とうぜん、いつも腰にぶら下げておかなければならないのですが)、あと3週間、体を軽くして頑張りますか。

上の写真は、以前に『冥途』を紹介した金井田英津子の『猫町』。東映アニメーションが新たに打ち出した新シリーズ、良質なイラストレーションを核とする映像作品<画ニメ>の1作。この絵が動き出す幻惑の世界。『冥途』『夢十夜』も出してほしいなあ。
Comments (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 8月が走り出す | TOP | また何かが生まれそう »
最新の画像もっと見る

6 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
冥土 (ino)
2006-08-22 09:08:33
金井田さん (ino) 2006-08-22 08:51:08



こんにちは。あいかわらずの凄まじい日々のようですね。残暑お見舞い申し上げます。

金井田さんの『冥土』の記事を読んでいなかったので、今読んでまいりました。むくむくと、再読したい欲望が。。(ダメです。これからお仕事しなくては!)

ということでこの絵本、私も持っています。あんまり気に入ったので、金井田さんの額装された版画も衝動買い。月夜に猫が歩いている構図。これは文字通りの私のお宝です。

その金井田さんの絵で町田康の声?

いったいどういうことになるのでしょう!見なくては。



返信する
渋いですよ (ほうじょう)
2006-08-25 00:00:39
かなり渋いですよ。

いかにも「詩人」っぽい町田康の声、海田庄吾の音楽も哀切。『銀河鉄道の夜』以来、久しぶりに良い猫モノを観ました。

ところで古代文学会のサマーセミナーはいかがでした?
返信する
編集、ありがとうございました (ino)
2006-08-25 00:22:27
ほうじょうさま。二重投稿、編集していただいてありがとうございます!

サマーセミナーは、じつは今年は参加できなかったのです(涙)

明日はふなださんの4回目、最終講義なので、飯田橋まで出向きます。ふなださんの「神と仏のダイナミズム」は、今年もかな~りコアな内容だったようで(これまた最終回のみの参加なのですが)、やっと聴講できるのが楽しみです!



『猫町』、期待感が高まります。絵が動いていればいい、ってもんではないですよね。昨日『ゲド』を観てきて、ファンタジーについて、いろいろ考えてしまいました。
返信する
ゲドはだめですか (ほうじょう)
2006-08-27 00:38:59
舩田さんの講義、今年は聞きにゆけなくて残念でした。6月の寺院縁起研究会で、彼のコアな世界には触れることができましたが(1年に1度は、という感じで)。

ところで『ゲド戦記』はダメでしたか。ぼくは9月にならないと観られそうにないのですが、空いた時間に、『ユリイカ』のル=グウィン特集をぺらぺらとめくっています。彼女自身が、今回の映画にどのような感想を持ったか知りたいですね。
返信する
ゲド・・原作者コメント (ino)
2006-08-27 16:41:52
舩田さんの講義、最後の一回しかうかがえなかったのですが、奈良盆地を囲む聖なる「山」を臍ないし「心の御柱」とする「日本国」という異様なものを垣間見てしまった思いです。



『ユリイカ』のル=グウィン特集はいいファンタジー評論を書く方(と個人的には思っている)、小谷真理氏、井辻朱美氏が積極的な方向で映画版を捉えておられて、とても面白かったです。ぜひほうじょうさんのコメントもうかがいたいです。原作者のコメントは、以下に翻訳されていて、原作者HPへ飛ぶこともできます。単に文句をつけているのではない、いい文章です。

http://hiki.cre.jp/Earthsea/?GedoSenkiAuthorResponse

返信する
グウィンはいいひとですね (ほうじょう)
2006-08-31 09:28:35
なるほど、心のこもった、配慮の行き届いた文章ですね。でも、製作過程における失望と憤りは相当なもののようです。個人攻撃は意味がないですが、ぼくは鈴木敏夫というプロデューサーをあまり好きになれません。いつも、彼が関わることで作品は本当に良くなっているのか疑問に思うのですが、今回の製作のあり方は、たとえ相手の承認を得ているとはいえ、それに甘え、信頼を裏切る行為です。もちろん宮崎駿にも大きな責任があるでしょう。ジブリも本当に「偉くなっちゃった」んだな、という印象です。作品自体はまだ観ていないので、別に考えたいとは思いますが…。
返信する

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | 生きる犬韜