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歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

シンポジウム「東アジア及び東南アジアにおける神仏習合・神仏関係」

2013-12-14 15:19:23 | 議論の豹韜
皇學館大学研究開発推進センター神道研究所
平成25年度公開学術シンポジウム
「東アジア及び東南アジアにおける神仏習合・神仏関係」

アジアに浸透していった仏教は、その過程で自らの同一性を保ちながらも、各地の諸宗教と混じり合い、様々に変容を重ねていった。日本では歴史的な経緯を経て、その結果として神仏習合と称される形態を示すに至った。日本における神仏習合という神仏関係は東アジアの一地域における仏教定着の一形態と見ることも可能であろう。
日本人の目からは神仏習合の淵源を朝鮮半島や中国に求める研究の方向性もあるであろう。しかしまた、アジアに浸透した仏教にとって、眼前にすでに存在していた諸宗教・諸思想はどのように捉えられたのであろうか。対決し、打ち破るべき異教であったのか、意に介する必要もない存在であったのか。仏教はそこにどのような思想変動をひき起こしたのか。二者択一の信仰を迫るような場面もそこには生じたのか。
このシンポジウムでは、日本の神仏習合など、仏教の東アジア及び東南アジアへの伝播と、それにともなって各地で見られた仏教との混淆や思想交流を今一度、捉えなおしてみたい。(聴講無料、事前申込不要)

【発題者】
河野 訓氏(皇學館大学文学部教授・本所共同研究員)
 「日本における神仏習合―僧のもたらした神々―」
北條勝貴氏(上智大学文学部准教授)
 「中国における神仏習合―六朝期江南における原型の成立と展開―」
矢野秀武氏(駒澤大学総合教育研究部准教授)
 「タイ上座部仏教と神々への信仰」

【コメンテーター】
菅野覚明氏(皇學館大学文学部教授)

【司  会】
多田實道氏(皇學館大文学部准教授)

【日時】平成25年12月14日(土)13:00~17:00

【会場】皇學館大学研究開発推進センター佐川記念神道博物館講義室

以上、おかげさまで無事終了。小規模の会だったが、濃い面々にお集まりいただき恐縮。第1論文を書いたときからお世話になっている宮城洋一郎さんにも、久しぶりにお目にかかることができた。留学僧が将来した異国の神々を扱った河野訓さんのご報告(日本)、六朝江南における道教/仏教の交渉に関する私の報告(中国)、タイのフィールドワークに基づく現行のシンクレティズムを追究した矢野秀武さんのご報告(東南アジア)と続き、圧巻は菅野覚明さんのまとめ・コメントだった。この広範囲の報告を、その場で聞いただけで的確に整理し、極めて重要な論点を幾つも提示してゆかれた。「これが菅野覚明か…!」と目を見張った次第。現在神道博物館長の岡野友彦さんにも、初めてお目にかかることができた。しかし皇學館、なぜこんなに仏教学者を抱え込んでいるのか…そしてやはり、東大系が多いんだなあ。
懇親会。酔った菅野さんから、ぼくと同年代の東大のキレ者たち、K地さん、O野さん、S藤さんらとの研究会の話を伺いつつ、「北條さんね、君の報告は学界で分かってくれる人は誰もいないかも知れないけど、おれは分かるからね!」との激励?のお言葉をいただいた。とりあえず、伊勢に理解者ができたようで、ありがたいことです。
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