仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

謹賀新年、2014

2014-01-02 19:35:08 | 生きる犬韜
皆さん、あらためまして、新年おめでとうございます。以前は、年に一度賀状を描くときだけPainterとタブレットを駆使し、PC画家を気取っておりましたが、最近は年末にそうした余裕がなく、Illustratorで簡単なテンプレートを作成し、色調やフォントなどを微調整するだけの方式へ切り替えました。中央の写真だけは、毎年秋田の義父が届けてくれる郷土玩具、十二支の動物を象った中山人形を使用しています。今年は馬ですが、「お姫様」な印象ですね。昨年度提出された卒業論文に、列島文化における馬の表象をジェンダー史的に分析したものがあり、馬を男性として描くものが圧倒的に多いことを指摘していましたが(恐らく、長期にわたって王権の象徴であったり、軍事に使用されてきた影響でしょう)、これは特別なようです。

本年度はサバティカルをいただきましたが、器が小さいせいかご依頼いただいた仕事に対応するのが精一杯で、所期の目的であった単行本刊行の作業は思うように進捗しませんでした(残すところ3ヶ月で何とかしたいところです)。それでも研究の内容面では種々の展開があり、1)瘧を鎮圧する呪符の成立を追った医学史、2)宇治川の洪水を中心にした平安貴族の危険感受性に関する分析、3)四ッ谷鮫ヶ橋の洪水をめぐる災害文化史、4)里山史の概説(未刊)、5)出雲鰐淵寺「浮浪山伝説」の成立をめぐる環東シナ海交流史、6)災害における宗教者の役割(シンポジウムにおける報告・質疑応答のテープ起こし)のほか、幾つかの書評・事典項目を執筆しました。各種シンポジウム・講演会では、1)列島における動植物の喪葬史(〈送り〉の文化史)、2)東アジアにおける洪水伝承の成立と展開、3)六朝期中国江南における神仏習合言説の成立、といった報告を行いました。いずれも長いものになりましたが、本年度中には文章化の予定です。また、やはりあまり進捗しない作業として、院ゼミで輪読している『法苑珠林』のウェブ公開がありますが、関連して江南のシャーマニズム/女性史を読み解く作業も始めており、他の研究とも関連して面白い成果が出てきています。とにかく、今年は「東アジアの歴史叙述」に関する懸案の単行本を出すことを中心に、各種の作業を進めてゆきたいと思っています。

暮れから体調を崩して微熱のある状態が続いていますが(症状は何となくインフルエンザ的。高熱を無理矢理押さえつけているような感覚で、かえってすっきりしません)、正月休みのうちに幾つか原稿を脱稿し、新たな年のスタートを切りたいところです。今後ともよろしくご教導のほどお願い申し上げます。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« シンポジウム「東アジア及び... | TOP | 蠢く言葉 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | 生きる犬韜