昨日は、環境/文化研究会の例会。他のイベント等と重複してあまり参加者が多くなかったが、その分、いろいろ突っ込んだ議論ができた。
報告は、堀内豪人君「漢字の輸入と感覚の変容―嗅覚を中心に―」と、三品泰子さん「『古事記』における対称性原理の破れと歌―倭建命の刀易え説話と歌を中心に―」。堀内君はウチの院生なので、つい最近も修論について面談をしたばかりだが、環境×感覚×言葉の相互関係・緊張関係を捉えようとする研究で、かなりの論理構築力がないと説得的な議論にならない。古代中国から日本の平安期に至るまでの資料を渉猟して頑張っており、ハッとするような視点も提示されているが、やはりまだその「論理」に曖昧さ・粗雑さが残る。修論完成へ向けて、あとはじっくり思考する時間が必要だろう。三品さんは、研究会発足時の志を視野に入れつつ、対称性原理の破綻を歌により修復しようとする『古事記』の特性を捉えた内容。対称性原理からいかに垂直性志向が生じるのかという国家・王権の発生論に関わる問題、各神話のあり方に複数のレベルの対称性/垂直性が重層的に存在すること、対称性と文字使用の問題など、「交換」「交感」を考えるうえで極めて重要なアプローチが多数提示された。
研究会終了後は、長年の付き合いになる、気の置けない仲間(というか先輩)たちとの飲み会。大理の話から始まって、環境文学とSF・ファンタジーとの関連性など、いつものように広範囲に話題が及び、「読まねばならない」作品を多く教えていただいた。帰宅後、とりあえず村田喜代子『蕨野行』をamazonで注文。いわゆる姥捨がテーマのもので、話を出した猪股さんは、深沢七郎「楢山節考」についても力説されていた。学生時代に毎月買って集めた「ちくま日本文学全集」の深沢の巻は、そういえば中沢新一が解説を書いていたな…と想い出したりしたのだった。対称性の問題、いままとめている文章にも深く関わってくるので、もう一度理論的にしっかり考えておかないとな。
報告は、堀内豪人君「漢字の輸入と感覚の変容―嗅覚を中心に―」と、三品泰子さん「『古事記』における対称性原理の破れと歌―倭建命の刀易え説話と歌を中心に―」。堀内君はウチの院生なので、つい最近も修論について面談をしたばかりだが、環境×感覚×言葉の相互関係・緊張関係を捉えようとする研究で、かなりの論理構築力がないと説得的な議論にならない。古代中国から日本の平安期に至るまでの資料を渉猟して頑張っており、ハッとするような視点も提示されているが、やはりまだその「論理」に曖昧さ・粗雑さが残る。修論完成へ向けて、あとはじっくり思考する時間が必要だろう。三品さんは、研究会発足時の志を視野に入れつつ、対称性原理の破綻を歌により修復しようとする『古事記』の特性を捉えた内容。対称性原理からいかに垂直性志向が生じるのかという国家・王権の発生論に関わる問題、各神話のあり方に複数のレベルの対称性/垂直性が重層的に存在すること、対称性と文字使用の問題など、「交換」「交感」を考えるうえで極めて重要なアプローチが多数提示された。
研究会終了後は、長年の付き合いになる、気の置けない仲間(というか先輩)たちとの飲み会。大理の話から始まって、環境文学とSF・ファンタジーとの関連性など、いつものように広範囲に話題が及び、「読まねばならない」作品を多く教えていただいた。帰宅後、とりあえず村田喜代子『蕨野行』をamazonで注文。いわゆる姥捨がテーマのもので、話を出した猪股さんは、深沢七郎「楢山節考」についても力説されていた。学生時代に毎月買って集めた「ちくま日本文学全集」の深沢の巻は、そういえば中沢新一が解説を書いていたな…と想い出したりしたのだった。対称性の問題、いままとめている文章にも深く関わってくるので、もう一度理論的にしっかり考えておかないとな。
私はあれから、『エンジン・サマー』を読みました。
「ラピュタ」が出てきますよ!
原作は1979年、翻訳は90、改訳は2008年。
改訳版扶桑社ミステリーから出ているのも、すでにもう中古でしか買えないのですが、08年には、気がつかなかったんだなあ。
こういうSF・ファンタジーはまさに「環境文学」ですね。
花和さんの漫画、今週冒頭にHくんに無理矢理貸し出しました。
来年は半期の教養講座を担当するので、環境文学としての『古事記』、ともう全面展開しちゃおうかなと思いました。
『エンジン・サマー』は、実は、以前手に取ったことがあります。ぼくのSFに関する嗜好は非常に狭いので、ためつすがめつみて、結局購入しませんでした。しかし、三品さんのお話を伺って、うむ、買うべきであったか、という気にもなってきました。
『楢山節考』の方は、ちょっと前に買ったままになっていた『深沢七郎集』1巻を引っ張りだし、机の上に置いて睨んでいます。戯曲版も付いているやつです。それからあらためて、梨木香歩『冬虫夏草』も入手しました。環境/文化に出ると、情報がさまざま入り、本が山積みになっていけません。うーむ、どれだけ読めますか…。
目下「真面目に」読んでいますのは、ポール・ナダスディの「動物にひそむ贈与」、『Hunters And Bureaucrats』です。動物の喪に関する論をまとめるため、あらためて丁寧にめくっていますが、やっぱり、動物との贈与/交換に関しては、いま最先端の論者ですね。