お盆からこっち、単行本関連の勉強を続けつつ、複数の作業を行っている。まずは、東北学院大学博物館文化財レスキュー活動へのボランティア派遣。19日(金)に8月下旬分の説明会を行い、9月上旬分の募集も開始した。それなりに問い合わせがあるが、やはり「殺到する」という雰囲気ではない。史学科にはもう少しプッシュした方がいいかも知れないが、まあこんなものなのだろう。上智日本古代史ゼミのOB会、上智史学会大会ミニ・シンポの企画、来年度の史学科カリキュラムなどについても、各方面へ連絡を取って検討している。夏期休暇といっても、やはり研究に専念できるという環境にはない。
11月には、「震災後」をテーマとした某学会の大会シンポで報告をするのだが、そのタイトルについてもようやく決めた。「画期なるものと生―震災後に噴出した歴史叙述=物語りの欲望―」である。まだ論旨自体明確な像を結んではいないが、東日本大震災後に噴出した、同震災そのものを特別視=画期視して「現実の崩壊・変容」や「終わりなき日常の終焉」を喧伝する言説、「復興」の名のもとに進歩史観的プランを打ち出し過去を捨象する言説などが、かえって私たちの生の感覚を麻痺させ大きな物語へ回収していっているような気がしてならない。それらを批判しながら、言語論的転回の消化不良以降棚上げされてしまっている私たちの生と物語りとの関係を、災害経験を主軸に置きながら問い直してみたいと思っている。
第一ぼくには、「復旧より復興を」というテーゼ自体が胡散臭く、どうも違和感が拭えない。もちろん、原発によって作られた電気を盲目的に使用する日常への復帰、首都圏の電力を賄うための原発植民地としての東北への復帰、という意味での「復旧」はナンセンスだろう。しかし現在使用されている「復興」はそこから離れ、過去を捨象した開発主義の未来への提言となってしまっているような気がする。その「復興」を実現するため、原発が作られたときと同じような、新たな利権の構造が生まれようとしている。東北に暮らす人々の、「災害が起きる以前の、平穏な日常を返してほしい」という願いは、そこから抜け落ちてしまっているのではないだろうか…。
このようなことを折に触れて考えているが、しかしその前提が他の言説の批判に基づくことにに、内心忸怩たる思いも抱えている。ま、いずれにしろ思考すべきことは多い。
今週は、25日(木)から宗教史懇話会のサマーセミナー、翌週9月1日(木)からは、ゼミの研修旅行も控えている。酷暑やお盆の疲れか何となく元気が出ないのだが、怠けてはいられない。
※ 写真は、うーんこれを批判対象とする価値があるのかという中沢新一本と、もう少し前に出ていれば絶対に春学期特講の参考書にした田口ランディさんの新著。田口さんとは、某シンポをご一緒する予定。前にも少しだけ触れたが、夏休みに入ってようやく読めている。
11月には、「震災後」をテーマとした某学会の大会シンポで報告をするのだが、そのタイトルについてもようやく決めた。「画期なるものと生―震災後に噴出した歴史叙述=物語りの欲望―」である。まだ論旨自体明確な像を結んではいないが、東日本大震災後に噴出した、同震災そのものを特別視=画期視して「現実の崩壊・変容」や「終わりなき日常の終焉」を喧伝する言説、「復興」の名のもとに進歩史観的プランを打ち出し過去を捨象する言説などが、かえって私たちの生の感覚を麻痺させ大きな物語へ回収していっているような気がしてならない。それらを批判しながら、言語論的転回の消化不良以降棚上げされてしまっている私たちの生と物語りとの関係を、災害経験を主軸に置きながら問い直してみたいと思っている。
第一ぼくには、「復旧より復興を」というテーゼ自体が胡散臭く、どうも違和感が拭えない。もちろん、原発によって作られた電気を盲目的に使用する日常への復帰、首都圏の電力を賄うための原発植民地としての東北への復帰、という意味での「復旧」はナンセンスだろう。しかし現在使用されている「復興」はそこから離れ、過去を捨象した開発主義の未来への提言となってしまっているような気がする。その「復興」を実現するため、原発が作られたときと同じような、新たな利権の構造が生まれようとしている。東北に暮らす人々の、「災害が起きる以前の、平穏な日常を返してほしい」という願いは、そこから抜け落ちてしまっているのではないだろうか…。
このようなことを折に触れて考えているが、しかしその前提が他の言説の批判に基づくことにに、内心忸怩たる思いも抱えている。ま、いずれにしろ思考すべきことは多い。
今週は、25日(木)から宗教史懇話会のサマーセミナー、翌週9月1日(木)からは、ゼミの研修旅行も控えている。酷暑やお盆の疲れか何となく元気が出ないのだが、怠けてはいられない。
※ 写真は、うーんこれを批判対象とする価値があるのかという中沢新一本と、もう少し前に出ていれば絶対に春学期特講の参考書にした田口ランディさんの新著。田口さんとは、某シンポをご一緒する予定。前にも少しだけ触れたが、夏休みに入ってようやく読めている。