仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

次回予告

2012-02-28 15:20:55 | 生きる犬韜
ご無沙汰しております。またまた1ヶ月近くも更新が滞ってしまった。facebookはそれなりに頻繁に更新しているのだが、まとまった記事を書かねばならないブログ(というわけでもないのだろうが、ぼくはそういう縛りをかけてしまったので)はそうもゆかない。
2月下旬には入試業務も一段落し、秋学期の成績評価も一通り終えて、私立大学の教員は概ね春休みに入る。授業のないぶん、ぼくもずいぶんと時間的余裕はできたのだが、職務上毎週何らかの会議が入り、ほぼ授業期間と同じくらい出勤している状態である。ゼミ関係のイベントも幾つかあった。しかし、ブログの更新を阻んできた最大の理由は、依頼原稿の〆切である。2月末までに間に合わせねばならないものが4本あり、そのうちまだ1本しか脱稿できていない。その1本を書き終えるのに、尋常ではない時間を費やしてしまったのだ。まあ、あとはほとんどシンポで報告した内容なので、ストーリーはできている。2月中は無理としても、何とか来週中にはすべて仕上げたいものだ。それを終えるとすぐ、研究会等々での報告が2本控えているので…。いやまったく、休みなしである。

というわけで、ブログを本気で更新できるのはもう少し先になりそうだが、せっかくなので「次回予告」?をしておこう。
まず「次回」は、17日(金)に決行した、恒例の古代史ゼミ・フィールドワーク。今回は、かつて江戸市中に多摩川の水を供給していた玉川上水の跡を、新宿三丁目の四ツ谷大木戸跡から井の頭池まで遡上した。途中、紀尾井付近から火事で移転した寺社もあり、江戸の外にいるのに江戸のなかを歩いているという不思議な感覚。変わった獅子や道祖神にも出逢い、歴史の教材には事欠かない状態。辿り着いた井の頭池は不忍池のミニチュアとあって、川の創り出す輪廻の世界にくらくらした。ゼミ生たちの調べてきてくれた歴史情報にも多くを学び、舟の行き交う往時の姿を思い浮かべたり、「人喰い川」と呼ばれる流れの速さが生む数々の事故や事件を想い出したり…、いやもう妄想?が爆発しどおしであった。やはり、歴史は歩いて回らねば…ということで、詳細は次回。

そして「次々回」は、24日(金)のRECF(Rikkyo Environmental Criticism Forum)参加。いろいろ刺激的な場へ連れていっていただいている野田研一さん、山本洋平さんからお誘いを受け、上智の院生・学生たちと参加。今回は山田悠介さん、中村邦生さんのご報告。山田さんの「変身」をめぐるお話には、英文学でも自分と同じようなことを研究している若手がいる、と頼もしい思いがした。作家でもある中村さんの自由闊達なお話からは、またもや妄想が広がり、いろいろな場面でのシンクロニシティが生じて意気投合。やはり、野田さんの用意してくださる出逢いは刺激的だ。物語から転げ落ちてしまったある「登場人物」が、自分のいるべき「物語」を探して漂泊するという奇想天外な新作『転落譚』も頂戴した。詳細は次々回ということで、乞うご期待。

さて、とにかく原稿を一生懸命書いて、来年度のシラバス書いて、学生センターの書類作成して、ゼミ生のレポートを添削して返却せねば。まったく、生産効率が悪いったらありゃしない。
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原稿執筆、入試・採点

2012-02-05 20:32:44 | 生きる犬韜
なんか、あまりにもそのままなタイトルを付けてしまった。現在、入試業務と採点業務に追われつつ、催促の激しい原稿執筆に勤しんでいる。まだいまひとつリズムに乗り切れないが、授業がないぶん集中はできる。飛び込みの断れない依頼原稿が入ってきたため、2月は半ばまでに2本、末までに2本と過密スケジュールになってしまったが、なんとか乗り越えてゆきたい。

また同時に、映画や演劇についても飢餓状態が極限に来ている。マンガはコンスタントに読んではいるのだが、映画を劇場で観たのは、悲しいことに、1年前の『SPACE BATTLESHIP ヤマト』が最後である。もはや映画好きとはいえない。ギレルモ・デルトロの新作でも観にゆこうかな。『第九軍団のワシ』『ルルドの泉で』あたりもよさそう。半ばまで予定どおりに済んだら、ちょっと気分転換でもしてみるか。

さて、最後に小話を。さいきんFacebookに次兄夫婦も参加し、いろいろやりとりをしているのだが、先日義姉が『エンデの遺言』について紹介する記事をアップしていた。そこで、「エンデが批判の対象としたのは「金」と「時間」でしたが、総合すると「効率」であり、逆に希求したのは、「効率」によって雲散霧消してしまう「豊かさ」だったんでしょうね。それは、マルクスのいう物象化を逆にたどることだったのかもしれません」とコメントしたところ、記事をアップする前に次兄も、「ああ、マルクスの物象化を逆にたどっているのか~」と全く同じ感想を漏らしていたとか。ぼくの理論的立場の師匠は次兄であることを、あらためて再確認させてくれるような話だった。

※ 写真は、先日研究室に届いたリボルテックタケヤの多聞天。組み立ててポーズを作ってみた。教材にもよいかも。
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もはや、1月も終わり

2012-02-01 12:04:28 | 生きる犬韜
ついこのあいだ年が明けたと思ったら、もはや1月も終わってしまった。この間、授業の総まとめや、各種委員会・学生センター業務、卒論の採点等々で忙殺されており、ブログを更新する暇もなかった。いや、正確にいうと時間はあったのだろうが、心的な余裕がなかったのである。しかし、毎日のように覗いてくださる方もあるようなので、とりあえず、1月の動きを箇条書きにして報告しておこう。なかには独立した記事として書いておかねばならないこともあるが、まずは「とりいそぎ」ということで。

【5・木曜】仕事始め、17:00より大学で年頭式典。途中退出して、翌日の「歴史学入門ゼミ」の予習。23:00前に帰宅。
【6・金曜】11:30から14:30まで奨学金の面接、17:00から「入門ゼミ」。23:00前に帰宅。
【7・土曜】「全学共通日本史」の準備をしつつ、7号館文学部フロア災害危険度調査の中間報告書を作成。
【8・日曜】上記中間報告書を仕上げ、残った時間で卒論を読む。
【9・月曜】翌日のプレゼミ、ゼミの予習。卒論読み。23:00前に帰宅。
【10・火曜】午前中はプレゼミ希望者との面談、やる気のある学生が多い印象。12:45より災害調査、英文学科の事務の方の聞き取り。15:15よりプレゼミ、17:00よりゼミ。夜は図書館で、「禁忌」の論文のための資料コピー。23:00前に帰宅。
【11・水曜】9:15より「全学共通日本史」。その後、午前中は「入門ゼミ」課題の採点・コメント作成。昼休みは学生センターにて、部室使用規定に違反のあった課外活動団体へ注意文書手交。例年にない多さで、制度の見直しの必要を痛感。午後は「入門ゼミ」の予習を行うも、熱っぽさを感じて捗らず。15:15より学科会議、17:00より「修士論文演習」、18:45よりプレゼミ希望者との面談。くたくたになったのでそのまま帰宅したら、38度強の高熱だった。
【12・木曜】研究日だったが、昨晩から魘されて寝っぱなし。暮れから、義妹が生まれたばかりの赤ん坊を連れて同居していたので、気を遣いながら休息に専念。午後かかりつけの医師にみてもらうと、インフルエンザではない可能性が高いとのこと(曖昧)。しかし体調は快復せず、大事を取って翌日は病欠することにして、関係各方面へ連絡。
【13・金曜】終日休息を取り、徐々に快復。布団でずっと読書をしていたら、腰痛が酷くなった。
【14・土曜】午後から卒論発表会のため出勤、今年は下級生の参加が少ない様子。古代史ゼミの代表はH君。少々緊張していた様子だった。早めに帰宅し、「全学共通日本史」の準備と「入門ゼミ」課題の採点。
【15・日曜】金曜に休講にした授業の補講をするため日程調整。休み休み授業準備。
【16・月曜】9:00から学生センターの定例ミーティング。その後午前中は「入門ゼミ」課題の採点。昼休みは注意文書手交。午後は「古代史特研」の予習。14:30よりプレゼミ希望者の面談。17:00より「古代史特研」、18:45より「入門ゼミ」補講。「入門ゼミ」は今年から始めた授業だったので、最後に受講した1年生の感想を聞いた。改善点はもちろんあるが、概ね肯定的評価を得てほっと安心。しかし、毎週課題を提出しなければいけない学生も大変だったろうが、それにコメントを付けて返却する作業も思いのほか大変だった。23:00前に帰宅。
【17・火曜】午前中はプレゼミ希望者の面接。昼休みは災害調査、ドイツ文学科の事務の方の聞き取り。14:00より学生センターにて、翌日の学生生活委員会のブリーフィング。15:15よりプレゼミ、17:00よりゼミ。翌日の授業のプリント印刷などを行い、23:00前に帰宅。
【18・水曜】9:15より「全学共通日本史」。午前中は各種事務処理を行い、昼休みは注意文書手交。午後は原稿を少し進め、15:20より教授会、17:00より学生生活委員会。少し早めに大学を出て、吉祥寺の書店を物色。
【19・木曜】原稿を進めつつ、翌日の加藤幸治さんの講演会のため、いただいたご高著『郷土玩具の新解釈』を読む。歴史学が捨象してしまう部分に触れた、近代の細やかな思想史。
【20・金曜】昼休みは奨学金の面接。午後は、病欠によって遅れていた「入門ゼミ」課題の採点を進める。16:00頃、加藤さん来訪。井上先生を交えてしばし懇談し、17:00から講演会へ。文化財レスキュー活動を新たな学的営為・社会活動として捉え直す、未来への提言。学生の受講態度が非常に気になる。災害に対する想像力がないのだろうか? 18:30より懇親会、21:00頃より二次会。この日あたりから東京は急速に冷え、雪もちらついたが、こちらは熱い会になった。二次会では加藤さんの個人的なお話をいろいろ伺い、その大変さに驚いたが、環境/文化研究会仙台例会の話も飛び出し、いろいろ嬉しい日であった(しかし、雪や沿線火災のためJRのダイヤが大いに乱れ、翌日3コマ授業のあった加藤さんは予定に間に合わなかったらしい。申し訳ない)。1:00過ぎに帰宅。
【21・土曜】「全学共通日本史」の最後のプリントを作成。
【22・日曜】上記授業準備がずれこみ、各種事務処理をしていたらすでに「未明」。
【23・月曜】9:00から学生センターの定例ミーティング。11:00より学科の会議、午後は「入門ゼミ」課題の採点、「古代史特研」の予習。17:00より「古代史特研」。雪が降り出すとの予報があったので早めに帰宅。自宅でプレゼミ・ゼミの予習をしていると、本格的に降ってきた。
【24・火曜】11:00より、翌日のホフマンホール運営協議会のブリーフィング。降雪の影響はさほどなく出勤できた。そのまま昼休みは注意文書手交。13:30より災害調査、新聞学科事務の方の聞き取り。15:15よりプレゼミ、17:00よりゼミ。翌日の授業のプリントを印刷し、23:00前に帰宅。
【25・水曜】9:15より「全学共通日本史」の最後の授業、ちょっと駆け足だったが何とかまとめた。例年より少なく130人ほどの受講者だったが、今年は「平常点重視」を標榜していたせいか、出席カードにびっしりリアクションを書き込んでくる学生が多く面白かった。しかしいつものことながら、やはり毎回の質問を整理してブログにアップしてゆくのは難儀だったな…。午前中は会議資料の読み込み、昼休みはホフマンホール運営協議会。こちらはぼくが委員長を務めているので気が抜けない。そのまま13:40より奨学金面接、少し間を置いて16:00より初年次教育検討小委員会、17:00より「修論演習」、その後文学部研修会に出席。夜は、翌日の豊田地区センターでの生涯学習の講義の準備、資料の印刷をして、23:00前に帰宅。
【26・木曜】午前中に三鷹を出て、12:45より横浜豊田地区センターにて生涯学習の講義。その後参加者の方々と新年会があったが、ほとんど父親の歴史勉強会にも出ていた人たちで、「老先生と若先生、二代にわたって講義を受けられるとは…」とのコメントに身が縮む。がんばらねば。19:00前には帰宅、卒論読み(ここ数日、家ではこの作業を継続)。
【27・金曜】授業は終了したものの、校務は続く。10:00より学生センターにてボランティアビューロー運営委員会。後はひたすら卒論読み。早めに帰宅したら、四ッ谷駅でアジア関係副専攻の丸井先生とばったり。先生には文化財レスキューも手伝っていただいたので、中央線車内でしばし歓談。
【28・土曜】ひたすら卒論、日付が変わった頃にはすべてコメントも書き終わった。今年は提出者の人数が少なく楽だったが、執筆した方は就職活動のずれ込みで苦戦したもよう。でもよくがんばった。
【29・日曜】東京歴史科学研究会のシンポジウム「歴史学は災害とどう向き合ってきたのか」に参加。北原糸子さん、成田龍一さんの講演。お2人の講演は素晴らしかったが(とくに、数年ぶりにお会いした北原さんの、変わらず凛としたお姿に感動)、会場の、災害史に関する知識のなさに寂しくなった。懇親会では、お2人と思う存分議論ができて、大変に収穫があった。心より御礼申し上げます。同じく出席していた高野さん、茂木君とも情報交換し、準備中である「死者研究会」が具体化。1:00前に帰宅。
【30・月曜】9:00から学生センターの定例ミーティング。10:30より災害調査、フランス文学科事務の方の聞き取り。これで聞き取り調査はほぼ終了。研究室に戻ってくると、北原さんから災害史に関する原稿依頼あり。光栄でもあり、恩人からの依頼は断れない(しかし、分量・〆切ともきつい条件)。年頭に、「今年は依頼原稿は極力引き受けず懸案の単行本執筆に専念する」との誓いを立てたのだが、すでに3本も引き受けてしまった。意志の弱いことこのうえない。卒論口頭試問の準備をして、23:00前に帰宅。
【31・火曜】10:30より卒論口頭試問、お昼過ぎには終了。その後、学生の面談などしつつ事務処理。18:30より課外活動指導者懇談会に参加、上智における宗教的マイノリティーの先生方と意気投合。23:00前に帰宅。

というような具合である。校務については書けないことも多いわけだが、ひたすら授業、事務仕事の日々だった。加藤さんの講演会、北原さん・成田さんのシンポが特筆すべき事柄だろうか。そうそう、年頭には、恩人の宮城洋一郎さんから社会福祉史関係のご高論を多数、先輩の關尾史郎さんから西域出土資料関係の雑誌を多数お送りいただいた(ちゃんとお礼状書きます!)。お2人とも、私が年賀状にちょろっと書いた内容に、親切にも過分な対応をしてくださったのである。こういう先輩方のおかげで、いまの自分がある。そのご恩に恥じないよう、過密スケジュールの2月を乗り切ろう。
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