仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第26回/トランス・スピーシーズ・イマジネーション

2017-02-26 06:39:24 | ※ 四谷会談
このあいだ迎えたばかりと思っていた新年も、すでに1/6が過ぎようとしています。年度末も近付き慌ただしい毎日ですが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。2017年第1回目の四谷会談をお届けします。

今回のテーマは、「トランス・スピーシーズ・イマジネーション(Trans-Species Imagination. 以下、TSI)」。人間が、自分を他の生物種と転換させる想像力で、前近代社会や民族社会に活発な心性としてみられるものです。いま、世界は独善的な力に覆われ、そのために多くの分断を生じつつありますが、TSIは、自分と他者、ヒトとノンヒューマンを交感可能な位置におくことで、ヒト至上主義、人間のうちに働く独善的傾向を抑制してきたと思われます。世界各地の神話や伝承に残る異類婚姻譚などは、その活動の痕跡でしょう。現代世界に生きるわたしたちは、他者に対する想像力を高めてゆくためにも、このTSIをみなおしてゆく必要があるのではないでしょうか。

ちょっと難しい御託を並べましたが、楽しんでお聴きいただけましたら幸いです。

《第25回 収録関係データ》
【収録日】 2017年1月25日(水)
【収録場所】 上智大学7号館9階北條研究室
【収録メンバー】山本洋平(司会・トーク:英米文学・環境文学)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世­史)/佐藤壮広(トーク:宗教学・宗教人類学)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部)/北條勝­貴(技術・トーク:歴史学・­東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第25回/『キタキツネ物語』からみる民族学的想像力

2016-11-03 21:18:04 | ※ 四谷会談
これも気候変動の影響でしょうか、近年、夏から冬にかけての変化が急激すぎる気がします。秋の余韻を楽しむ暇もなく、東京では54年ぶりの11月の初雪となりました。ずいぶん久しぶりの配信となりましたが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

今回は、すでにfacebookページにて掲載をしておりました、『キタキツネ物語』を題材に、1970年代後半〜1980年代前半の社会・文化に、民族学的想像力が大きく作用していたのではないかという仮説を提示します。これはいいかえれば、異文化への意識、他者への意識が、自己に対する批判的なまなざし、自文化の価値を相対化するまなざしを醸成していた時期ともいえます。現在の自画自賛情報の垂れ流しによる閉塞状態を打破するための、考えるヒントになっていればいいのですが…。
また今回からは、上智大学学部3年生の松本満里奈さんにも、議論の場に加わっていただきました。日本女性史を猛勉強している、期待の学生です。まだちょっと、「おじさんたちが寄ってたかって若者に教示する」という歪な構造になっておりますが、いろいろかき回してもらえるといいなあと思っています。

以上、またお楽しみいただけましたら幸いです。

《第25回 収録関係データ》
【収録日】 2016年11月3日(木)
【収録場所】 上智大学7号館9階北條研究室
【収録メンバー】山本洋平(司会・トーク:英米文学・環境文学)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世­史)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部))/松本満里奈(トーク:歴史学・日本古代女性史)/北條勝­貴(司会・技術・トーク:歴史学・­東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第24回/加藤幸子『十三匹の犬』を読む

2016-07-01 21:14:00 | ※ 四谷会談
気がつくと、もう夏も本番に近付いております。久しぶりの「四谷会談」をお届けします。

今回は、エコクリティシズムの分野で注目を集める加藤幸子さんの新著、『十三匹の犬』を採り上げます。戦前から現在に至るまで、ある家族に飼われてきた13匹の犬たち。その生きざまから犬と人間との関わりを考える、珠玉の短編集です。加藤さんの語り口は、犬の目から世界を描いてゆくものですが、その描き方にはどのような良さ、あるいは問題点があるのか。犬のナラティヴに付される、人のナラティヴにはいかなる意味があるのか。単なる鑑賞には終わらない、自然環境と人間との関係を考える意見交換となっています。
また今回は、これまで四谷会談にも参加をしてくださった森田系太郎さん、上村崇さん、そしてジャズ・ピアニストの上村美智子さんをお招きしました。お三方の語りにも注目です。

選挙から水不足、福島から沖縄まで不安と心配の種は尽きませんが、皆さまの心が少しでも軽くなりますように(反対に重くなってしまったらごめんなさい)、お楽しみいただけましたら幸いです。

《第24回 収録関係データ》
【収録日】 2016年7月1日(金)
【収録場所】 上智大学7号館9階北條研究室
【収録メンバー】山本洋平(司会・トーク:英米文学・環境文学)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世­史)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部))/上村崇(トーク・ゲスト:哲学・倫理学­)/上村美智子(トーク:応用昆虫学・音楽家)/森田系太郎(ゲスト:通翻訳者・環境文学)/北條勝­貴(司会・技術・トーク:歴史学・­東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第23.2回/学問の公共性から存在論的転回へ・後篇

2016-03-28 21:12:38 | ※ 四谷会談
「学問の公共性から存在論的転回へ」後篇です。

《第23.2回 収録関係データ》
【収録日】 2016年3月28日(月)
【収録場所】 上智大学7号館9階北條研究室
【収録メンバー】北條勝­貴(司会・技術・トーク:歴史学・­東アジア環境文化史・心性史)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世­史)/岩崎千夏(トーク:日­本文学・中国語)/天野怜(トーク:歴史学・中国近代史­)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部))
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第23.1回/学問の公共性から存在論的転回へ・前篇

2016-02-28 20:20:59 | ※ 四谷会談
気がつくと、新年度が始まっております。すでにもう息切れ、こんなことで1年間保つのかなと心配な皆さんもおいでかと思いますが、我々も一様にそんな状態です。四谷会談、第23回をお届けします。

今回は、収録時間が長くなってしまいましたので、例のごとく前後編に分けてお送りします。テーマは、「学問の公共性から存在論的転回へ」。まず、前回やや消化不良に終わってしまった「公共性」の問題について、列島社会でそれを論じることの恐ろしさを、社会の様態や歴史過程を視野に入れつつ意見交換してゆきます。それが紛れもなく、弱きもの、小さきものへの抑圧の歴史であることも…。そこから浮かび上がってくるのが、近年話題の、人類学における「存在論的転回」。ちょうど。会談メンバーの堀さんが、「転回」をめぐる出版の動きに絡んでいることもあり、現時点での受容のあり方、今後の課題や可能性などを中心に論じてゆきます。とくに、一般的には「人類学で動植物を扱うこと」と思われているこの動きを、無生物、サイボーグ、ハイブリッドなものへと拡張してゆく方向性が強調されています。どうぞ、ツッコミを入れながらお聴きください。

なお、初期メンバーの岩崎千夏さんが、一時中国へ移住される関係で、ひとまず今回が最後の出演となります。皆さまも、彼女の門出を
祝っていただければ幸甚です。


《第23.1回 収録関係データ》
【収録日】 2016年3月28日(月)
【収録場所】 上智大学7号館9階北條研究室
【収録メンバー】北條勝­貴(司会・技術・トーク:歴史学・­東アジア環境文化史・心性史)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世­史)/岩崎千夏(トーク:日­本文学・中国語)/天野怜(トーク:歴史学・中国近代史­)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部))
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第22回/学問の公共性

2016-01-22 21:08:00 | ※ 四谷会談
いつの間にやら2015年度ももうすぐ終わり。3ヶ月ぶりとなりますが、「四谷会談」第22回をお届けします。

今回は、このところあらゆる学問領域で耳にするところの、「学問の公共性」がテーマ。学問は公共性に、どのようにコミットできるのか。あるいは、学問に公共性は存在するのか。これまでの会談の傾向からすれば、少数民族と国民国家、キリスト教文化圏とイスラム教文化圏…などなどへ話が進みそうですが、なぜか今回は議論が混乱気味。優秀な司会者が、欠席だったからでしょうか。そして話題は、学問が育てられ、試される場でもある教室へ、教員と学生との関係へ…。しかしある意味でそれは、四谷会談に最も相応しい話題だったのかもしれません。

また今回は、再び関西方面よりゲストをお招きしています。我々会談メンバーとは旧知の仲、新進気鋭の民俗学者 大阪大学大学院の黛友明さんです。黛さんの冷静なツッコミが、どこにどう入るかも聞きどころ。しばらくお付き合いください。

《第22回 収録関係データ》
【収録日】 2016年1月22日(金)
【収録場所】 上智大学7号館9階北條研究室
【収録メンバー】是澤櫻子(司会・トーク:歴史学・アイヌ史・口承文芸論)/黛友明(トーク・ゲスト:民俗学­)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世­史)/岩崎千夏(トーク:日­本文学・中国語)/天野怜(トーク:歴史学・中国近代史­)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部)/北條勝­貴(技術・トーク:歴史学・­東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第21.2回/ドメスティケーション後篇

2015-11-02 21:05:53 | ※ 四谷会談
第21回、後篇です。前篇と合わせてお聴きください。

《第21.2回 収録関係データ》
【収録日】 2015年11月2日(月)
【収録場所】 上智大学7号館9階北條研究室
【収録メンバー】山本洋平(司会・トーク:英米文学・環境文学)/是澤櫻子(司会・トーク:歴史学・アイヌ史・口承文芸論)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世­史)/岩崎千夏(トーク:日­本文学・中国語)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部)/北條勝­貴(技術・トーク:歴史学・­東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第21.1回/ドメスティケーション前篇

2015-11-02 21:01:06 | ※ 四谷会談
11月も下旬に差しかかりましたが、異常なくらいに暖かい日々が続いております。何かの影響か…と勘繰るのは、穿ちすぎでしょうか。「四谷会談」第21回をお届けします。

今回は、第20回「絶滅」の余韻を受けて、「ドメスティケーション」をテーマに据えました。現在、我々を取り巻く「自然」は、驚くほどに品種改良をされたものばかりとなっています。ペットとして飼っている犬や猫、観賞用に並べられた草花、人間の食生活の根本をなす種々の農作物、家畜たち。これまで自然だ、野生だと思ってきたものまで、遺伝子レベルで操作されていることも屡々です。
近年、人類にとって最初の家畜であるイヌが、15000年前に中央アジアで誕生したとの、DNA分析による研究成果が発表されました。まだ、人類が定住せず、移動生活を営んでいた頃のことです。それほどの昔から、人間は自然を生命レベルで作り変えてきたのです。
いま、そのことによって何が問題として起きているのか、起きつつあるのか。私たちはその現実を、どのように受け止めていったらよいのか。

今回は、正当なるリスナーとしてこの番組を「発見」してくださっていた、大阪大学大学院の日下宗大さんをゲストにお迎えし、例のごとくとりとめもなく議論してゆきます。秋の夜長のおともに、ぜひどうぞ。

※ なお、収録時間が長くなったため、前篇/後篇に分けてお送りします。

《第21.1回 収録関係データ》
【収録日】 2015年11月2日(月)
【収録場所】 上智大学7号館9階北條研究室
【収録メンバー】山本洋平(司会・トーク:英米文学・環境文学)/是澤櫻子(司会・トーク:歴史学・アイヌ史・口承文芸論)/日下宗大(トーク・ゲスト:英文学­)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世­史)/岩崎千夏(トーク:日­本文学・中国語)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部)/北條勝­貴(技術・トーク:歴史学・­東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第20.2回 思想としての生態系と"絶滅"2

2015-10-25 04:41:18 | ※ 四谷会談
10月もいつの間にやら下旬となり、朝夕も肌寒い陽気となってまいりました。「四谷会談」第20.2回をお届けします。
今回は、福山から誕生日を迎えたばかりの上村崇さん、四谷会談をずっとサポートして下さっているライターのヤマザキ・マミコさん(仮名)をゲストにお迎えし、前回より引き続き「絶滅」について議論します。
安保法制の「採択」以来きな臭い世のなか、「絶滅」はよりリアルさを増して我々の眼前に立ち現れています。またそのなかで、戦後の日本が慣れ親しんできた「平和」という言葉も、その意味を変容させつつあるようです。「絶滅」とは何か、「平和」とは何か。長尺でユーモアたっぷりに炸裂する上村トーク、ヤマザキさんの貴重な体験談、翻弄されるレギュラー・メンバー。佐藤壮広さんの沖縄からの報告もあります。
今回も聞きどころ満載?ですので、どうぞ最後までお付きあい下さい。

《第20.2回 収録関係データ》
【収録日】 2015年10月9日(金)
【収録場所】 上智大学7号館9階北條研究室
【収録メンバー】 是澤櫻子(司会:歴史学・アイヌ史・口承文芸論)/上村崇(トーク・ゲスト:哲学・倫理学­)/ヤマザキ・マミコ(トーク・ゲスト:ライター)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世­史)/北條勝­貴(技術・トーク:歴史学・­東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第20.1回 思想としての生態系と"絶滅"1

2015-10-03 04:38:07 | ※ 四谷会談
金木犀の薫るなか、大学では新学期も始まりました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか­。「四谷会談」第20.1回をお届けします。
今回は、20回記念に相応しい、「絶滅」をテーマに議論します。先頃、会談メンバーとも­繋がりのある青原さとし監督による、相馬移民の歴史を追ったドキュメンタリー映画『土徳流­離』が完成、東京の築地本願寺でも試写会が行われました。会談メンバーも駆け付けて­拝見しましたので、前半はその振り返りから。列島社会における移動の問題、真宗民俗の具体相、信仰の問題、そして災害や環境について。メンバー個々人が、自分の生と重ね合わせながら語ってゆきます。
後半は、雑誌『現代思想』9月号の特集を手がかりに、「絶滅」を思想としてどう扱うかを意見交­換。人間は生命である限り、常に個体としての「死」と、生物種としての「絶滅」と、隣り合­わせに存在しています。しかし日常の思考からは、多くそのことが排除されていたり、意­図的に想起しなくなっていることが多い。それがいかなる問題を孕むのか、また、「絶滅­」を思考することでどのような可能性が開けるのか。冷戦下の体験や心性のありよう、優生思想と人間の「耐用年数」、日常生活のなかの「絶滅」の問題などから考えてゆきます。よろしくお付き合いくだ­さい。

《第20.1回 収録関係データ》
【収録日】 2015年9月25日(金)
【収録場所】 上智大学7号館9階北條研究室
【収録メンバー】 山本洋平(司会・トーク:英米文学・環境文学)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世­史)/岩崎千夏(トーク:日­本文学・中国語)/天野怜(トーク:歴史学・中国近代史­)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部)/北條勝­貴(技術・トーク:歴史学・­東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第19.2b回 北茨城五浦海岸合宿編2

2015-09-21 04:35:01 | ※ 四谷会談
北茨城五浦海岸合宿編、Bパートです。話はスタジオ・ジブリ作品、『千と千尋の神隠し』『崖の上のポニョ』へ移ってゆきますが、議論はやはり海岸、海そのものと人間との関わりへ。脱線に脱線を重ね、どこにたどりつきますやら。
しかし、あらためて聞き直すと、合宿らしく、いつも以上にぐだぐだしていますねえ。ごめんなさい…。

《第19.2b回 収録関係データ》
【収録日】 2015年8月28日(金)
【収録場所】 五浦観光ホテル大観荘
【収録メンバー】 山本洋平(司会・トーク:英米文学・環境文学)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世史)/岩崎千夏(トーク:日­本文学・中国語)/天野怜(トーク:歴史学・中国近代史)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部)/北條勝­貴(技術・トーク:歴史学・東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第19.2a回 北茨城五浦海岸合宿編1

2015-09-21 04:31:52 | ※ 四谷会談
数々の災害の経験、記憶とともに、暑かった夏も過ぎ去り、9月も下旬に入ってきました。ようやく秋の気配も深まってまいりましたが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。「四谷会談」第19.2回をお届けします。

今回は、会談メンバー恒例の合宿から。場所は、山本洋平氏の勤める明治大学生田キャンパス内の平和教育陸軍登戸研究所資料館から、工藤健一氏や堀郁夫氏の故郷にほど近い北茨城の五浦海岸へ。第2次世界大戦末期に陸軍が開発・使用した、風船爆弾の痕跡を追っての旅となりました。前回も自然環境と戦争との関係が話題にのぼりましたが、今回もそれを引き継ぎながら思考を巡らせてゆきます。
なお、合宿の気楽さから話が長引いてしまっているため、第19.2回はAパート/Bパートに分けてお送りします。まずはAパート、新メンバーの天野怜さんも加えて、見学した資料館の印象、風船爆弾の「意義」、五浦の海岸との関係などについて語り合います。ツッコミを入れつつ聴いていただければ幸いです。

《第19.2a回 収録関係データ》
【収録日】 2015年8月28日(金)
【収録場所】 五浦観光ホテル大観荘
【収録メンバー】 山本洋平(司会・トーク:英米文学・環境文学)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世史)/岩崎千夏(トーク:日­本文学・中国語)/天野怜(トーク:歴史学・中国近代史)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部)/北條勝­貴(技術・トーク:歴史学・東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第19.1回 番外編1 / "三人衆"降臨

2015-09-02 04:29:50 | ※ 四谷会談
いつぞやの猛暑が嘘のように退き、早くも秋の気配が感じられるような陽気となってまいりました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。「四谷会談」第9.1回をお届けします。

今回は、いうなれば番外編。上智大学で秋学期より始まる授業「ジャパノロジー・ゼミ」の打ち合わせに際し、ご来校いただいた野田研一さん、飯田高誉さん、奥野克巳さんをお迎えして、8月に想起される戦争のこと、戦争と自然環境との関わりのこと、そこから照射される文学やアートの関わり等々、縦横無尽に語りあいます。
野田さんは、以前にも登場していただいた、アメリカ文学におけるネイチャー・ライティングの専門家。文学を自然環境の視点から批判的に捉えなおす〈エコクリティシズム〉を、日本へ紹介し根づかせたひとでもあります。
飯田さんは、数々のアート・キュレーションを担当されてきた国際的なキュレーター。ガタリらの現代思想をいち早くアートの世界へ採り入れ、近年では戦争絵画の再発掘、アートから原発を打つ試みを続けています。
奥野さんは、動物や植物など、人外の存在を照射する希有な文化人類学者。宗教や医療にも造詣が深く、いまもっとも注目すべきエスノグラフィーを発表しているひとです。
この3人が顔を合わせること自体、ほかではありえないことです。四谷会談のレギュラーも含め、一体どのような議論が飛び出すか、ご期待ください。

なお、今回は収録場所がやや大きめの会議室で、1本のマイクを大人数で囲んだため、ノイズが多く音声を聴き取りにくくなっています。予めご容赦ください。

《第19.1回収録関係データ》
【収録日】 2015年8月10日(月)
【収録場所】 上智大学四谷キャンパス 7号館4階共用室A
【収録メンバー】 山本洋平(司会・トーク:英米文学・環境文学)/野田研一(ゲスト:英米文学・環境文学)/飯田高誉(ゲスト:インディペンデント・キュレーター)/奥野克巳(ゲスト:文化人類学)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世史)/佐藤壮広(主題歌・トーク:宗教人類学・シ­ャーマニズム研究)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部)/北條勝­貴(技術・トーク:歴史学・東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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2015年度「四谷会談」夏合宿:五浦海岸に近代を想う

2015-09-01 04:55:16 | ※ 四谷会談
8月も終わろうとしている28~29日、四谷会談のメンバーで、恒例の夏合宿を行った。目的地は、福島・茨城の境界に近い五浦海岸。この地を選んだもともとの理由は、
・岡倉天心により日本美術院が移され、横山大観や下村観山らが共同生活を始めて、日本近代美術の発祥に大きく関わった場所であること、
・天心が思索を深めた六角堂が東日本大震災の津波により流失し、災害と文化財を考えるうえでの象徴的な建物となったこと、
などであった。しかし第二次大戦末期、アメリカ本土を攻撃するため旧日本軍に使用された風船爆弾の放球台跡が付近に存在したことから、環境と戦争、アートとの関わりを論じた前回会談の余韻を継ぎ、「戦争を考える」ことがにわかに巡見の中心に据えられたのである。
28日、JR登戸駅に集合し最初に訪問したのは、明治大学生田キャンパスに設置された平和教育登戸研究所資料館。かつて風船爆弾を開発した秘密戦研究の担当部署、陸軍登戸研究所の跡地を明治大学が購入、遺構をそのままに使用し資料館とした施設である。会談のメンバー山本洋平さんが、ちょうど生田キャンパスの教員であることもあり、まずはこの施設で同爆弾の基礎知識を勉強させていただくことにした。非常にしっかりとした展示で(パネルの情報量がとにかく多い!)、地域や中高の平和教育にも力を入れており、我々が訪ねたときも数十人の市民グループが訪れ熱心に説明を受けていた。また、入館料も無料、充実したパンフレットも無料配付! 大学関係者として大いに見習いたいところだ。同風船には釜山で開発した生物兵器(牛疫ウィルス)を搭載する計画があったこと、個々の人的被害ではなく山火事などを生じさせ社会的攪乱を狙ったことなど、環境史的見地からも大変に勉強になった。同時に、研究者倫理の問題も重く心にのしかかった。宮崎駿『風立ちぬ』ではないが、真面目で目的意識の強い研究者ほど、国家のため国民のためと、後世「残酷」と批判されるような研究に没頭しやすいのかもしれない(それゆえ常に我々は、「国家」と「国民」を相対化する視座を堅持していなければならないのだ)。
資料館を出たあとは、生田キャンパス内に残る研究所遺構を散策。動物慰霊碑は、人体実験の供養塔なのではないかともいわれているが、なかなかに立派なものだった。動植物も含めての「総力戦」を喧伝する遺構ともいえるが、平和な現在あまり顧みられていないように感じられるのは、一種の皮肉といえるだろう(明治の理工学部は、生物実験の倫理的処理をどのように行っているのだろうか?)。
さて、登戸をあとにして、一行は一路北茨城へ。途中SAでの休憩を挟みつつ、現地でまず訪ねたのは、磯原の北茨城市歴史民俗資料館。風船爆弾に関する多少の紹介もあるが、現時点では、同地出身の詩人 野口雨情記念館(併設)の位置づけが強い。もう少し歴史民俗系の展示を…と思っていたら、詩碑に刻まれた雨情作の新民謡、「磯原小唄」の一節へ目が釘付けになった。
  天妃山から ハ・東をね
  東を見れば テモヤレコラサ
  見えはしないが 見えたなら
  あれはアメリカ チョイト合衆国
東日本の海岸線に立って太平洋をみはるかすとき、遙か水平線の向こう側にはアメリカが存在することが、明確に自覚されているのである。アメリカに憧憬を持つ雨情は、故郷の磯原を世界へ向けてひらこうとしたのかもしれないが、海を介したその想像力は、どこかで、海洋横断兵器である風船爆弾とも繋がっているに違いない。

翌29日は、まず、ホテルに隣接する岡倉天心の邸宅と観瀾亭六角堂へ。未だ台風の影響が残っているものか、波は白く荒立ち轟音が響き渡っていた。しかし、岬の突端でこの情景を眺め、空気の振動に身を浸しての思索は、恐らく驚異的な集中力を生んだことだろう。山林修行の瞑想は、木々や虫、鳥や獣の生む多様な音声のなかで自己を解体する作業となるが、浪響に支配された海岸での思索は、集中を乱す雑音を遮断する状態に近い。あくまで経験的にしか論じられないが、まったくの無音はかえって種々の妄想を生む温床となるものの、一種類の音響に抱かれている環境は、適度な刺激のなかで思考・感性を活発化するように思う。六角堂から水平線を眺めつつ、しばし天心の瞑想を体感できたような気がした(例えば京都の六角堂が仏菩薩の夢告を受ける参籠の場であったことを考えると、やはりこの観瀾亭の建築様式は象徴的なのだ)。
続いて、車で大津・勿来の放球台跡へ移動。大津は台跡の形状をよく留めていたが、付近には案内板らしきものもなく、車道に面していながら、注意して探さなければ見落としてしまう状態だった。例外的に肌寒い陽気となっているが、いまは夏も真っ盛り、山々には緑が溢れているため、地形も枝葉に覆われて少々把握しにくい。戦前・戦中の山丘はかなりの低植生だったはずで(恐らく、多少の松がみられた程度だろう)、放球と地形、自然環境との関係を考えるには、やはり冬に来なければだめだなと痛感した。
勿来は現在、施設の跡地に製材工場・住宅地・学校などが立地しているため、地図をみながらある程度の位置関係を確認するにとどまった(これまでの調査でも遺構を確認していないようなので、本当はもっと時間を取って探したかったのだけれど)。修験と関わりがあるかと思われる名称を持つ小高い山、かつては湧水があり、それゆえに溜池も作られている山間の谷戸的地形に施設が点在しているので、自然環境との関係でいうと大津より面白い場所である。放球台設置前の民俗や伝承にも、興味深いものがあるかもしれない(「水神鎮圧の伝承地に怨敵攻撃の兵器が設置されてしまう」といった、長い時間的スパンにおける土地利用の「類似性」にも想像が飛んだ)。
最後は、環境史的な関心から、現在鵜飼のウの捕獲地として唯一機能している伊師浜海岸 鵜の岬へ。残念ながら、風雨と高波のためこの日の公開は休止となっていたが、岬の側面から、望遠でウミウの姿を捉えることができた(写真)。本岬は渡りの休憩地で、棲息しているわけではないのだろうから、見学用に配置されている個体だろうか。あるいは、付近の自生地から飛来してくるものもあるのか。春・秋の渡りの時期にここで捕獲されたウミウが、宮内庁式部所管の御料鵜飼でも使用されているのだから、いうなれば「王権」とも関わりがある場所である。「王権」が世界の生態系に介入する現場でもある。そこに、最大の回転率を誇る国民宿舎が存在するというのも、文化現象としては「ツッコミどころ」満載といえる。
総じて、北関東から東北に至る海岸線に息づく環境文化の、伝統的生業から戦争協力に及ぶ「豊かな」環境文化を確認できた旅となった。地形にしろ、地名にしろ、寺社やそこに安置・奉祀されている神仏にしろ、歩いて詳しく調査してみなければ実態が分からない。近海を通じて列島全域と繋がりを持つ海岸線の文化、狭い平野に川を通じて迫っている山の文化、それらの多様な交渉・交流と、時代・社会情況によるその操作・攪乱が、これらの地域に多様な顔を生み出している。またゆっくりと訪ねてみたい衝動に駆られた。
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人文学系情報発信型ポッドキャスト「四谷会談」第18回 / "フィールド"とは何か2:〈生〉のフィールド化

2015-08-11 04:22:02 | ※ 四谷会談
生命の危険を感じるような酷暑が続いておりますが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか。「四谷会談」第18回をお届け致します。
今回は、第17回に引き続き、フィールドワークがテーマ。『フィールド哲学入門』を手がかりに、フィールドとは何か、フィールドワークが学問実践に占める意味とは何かを考えます。また、前回は少し話が抽象的に過ぎたということもあり、司会の是澤櫻子さんが学生として感じた疑問を、個々のメンバーにぶつけるという形をとりました。レギュラーの参加者は、それぞれ日本文学、英米文学、歴史学が専門ですが、各々の個別の経験(学問的な意味ではもちろん、そしてひとりの人間としても)のなかからフィールドについて熟考し、回答する体裁になっています。
さて、メンバーは司会の鋭い質問に答えられるのか。思わぬ告白も飛び出しますので、どうぞご期待?ください。
《第18回収録関係データ》
【収録日】 2015年7月24日(金)
【収録場所】 上智大学四谷キャンパス北條研究室
【収録メンバー】 是澤櫻子(司会:歴史学・アイヌ史・口承文芸論)/山本洋平(司会・トーク:英米文学・環境文学)/工藤健一(トーク:歴史学・日本中世史)/堀郁夫(トーク:株式会社勉誠出版編集部)/北條勝­貴(技術・トーク:歴史学・東アジア環境文化史・心性史)
【主題歌】 「自分の感受性くらい」(作詞:茨木のり子、曲・歌:佐藤壮広)
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