【公式戦3年間・83戦無敗を止める】
全国高校ラグビーでこの1月に3連覇を果たしたばかりの東福岡高が、ついに福岡県のライバルチーム筑紫高に敗れた。2月5日開催の全九州新人大会福岡県予選の決勝で、スコアは20―25。東福岡は2009年1月、全国大会準決勝で常翔啓光学園に破れて以来、国内の高校相手の公式戦では83戦無敗(1引き分けを含む)と、3年間無敵を誇っていた。
筑紫高は県立進学校。九州の高校ラグビー界では知られた強豪校だが、最近は全国大会福岡県予選の決勝で東福岡にことごとくはね返され、花園への切符に手が届かなかった。筑紫は県予選で過去7年間に東福岡と6回対戦しているが、2005年度はわずか1点差、08年度も2点差など、いずれも手に汗握る接戦ばかりだ。
<福岡県予選> <全国大会>
筑紫―東福岡 東福岡の成績
2005年度 27―28 ベスト16
06年度 15―25 準優勝
07年度 7―19 初優勝
08年度 10―12 ベスト4
09年度 12―17 優勝
10年度 対戦なし 優勝
11年度 12―23 優勝
全国大会に駒を進めた東福岡はこの7年間に、史上5校目の3連覇を含め優勝4回、準優勝、ベスト4各1回という好成績を挙げている。東福岡が2回目の優勝を飾った09年度の全国大会では、5試合で274点も入れ、失点はわずか24点だった。一方、全国大会前の県予選はわずか1トライ差の激戦で、筑紫が涙をのんでいた。
【福岡県にも全国切符2枠を、の声も】
東福岡にとって最も手ごわかった相手は花園で戦った相手ではなく、県予選決勝の筑紫だったのではないか――。09年度の全国大会後、関係者の間でこんな話が流れた。全国大会では大阪に3校、東京、北海道にも2校の枠が割り当てられているが、福岡県も2校出場を認めるべきではないか。地元ファンの間でそんな声が出始めたのもそのころからだ。筑紫が全国レベルでもシード校並みの実力校であることは間違いない。
今の東福岡があるのも好敵手・筑紫の存在を抜きにしては語れない。東福岡は昨年まで新人戦県予選でも6年連続で優勝(通算19回)していた。筑紫は「ヒガシを倒せ!」を目標に猛練習に励み、ついに東福岡の分厚い壁に一つ風穴を開けた。熱血指導で知られる筑紫監督の西村寛久は「(東福岡の無敗を止めたのが)関東や関西のチームではなく、福岡県勢でよかった」と話す。
一方、東福岡監督の谷崎重幸は「これで(無敗神話の)呪縛から解放され、チャレンジ精神を取り戻せる」。約30年間監督を務め常勝軍団に育て上げた谷崎はこの3月末で監督を退任するが、引き続き「ラグビー部統括」として指導に当たるという。
筑紫、東福岡の両校は2月17日から鹿児島で始まる全九州新人大会に出場する。組み合わせにもよるが、佐賀工業、大分舞鶴など九州各県の強豪が集うその大会で、両校が勝ち抜いて、また顔を合わせるのか。高校ラグビーファンにとっては見逃せない大会になってきた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます