く~にゃん雑記帳

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<桜井市立埋文センター> 企画展「ウチの土器、ヨソの土器」

2018年01月26日 | 考古・歴史

【纒向遺跡などから出土した古墳時代前期の外来系土器】

 奈良県桜井市の市立埋蔵文化財センターで企画展「ウチの土器、ヨソの土器~古墳時代前期の外来系土器」が開かれている(4月15日まで)。三輪山西麓の纒向遺跡など古墳時代前期の古墳群が分布する桜井市内からは、様々な地域の土器が大量に出土している。その範囲は瀬戸内海沿岸や山陰、北部九州、東海、北陸などにまたがり、近年、朝鮮半島製とみられる土器も見つかった。膨大かつ広範な〝外来系土器〟の出土は当時の活発な人と物の流れを映すとともに、この地域が中心的な役割を果たしていたことを物語る。

 外来系の〝ヨソの土器〟には大和以外の地域の土や技法で作られ運び込まれた土器のほか、他地域の影響を受け地元の土で作られた土器も含まれる。上の写真は纒向遺跡から出土した外来系土器。一口に外来系といっても、当然、各地域の土器には特徴がある。四国の土器のうち阿波地域のものは赤みがかった色をし、上部に成形したときの指の跡が残っている。ホケノ山古墳から出土した壷は工人が四国から大和に移って作ったとみられる。山陰の出雲国や伯耆国で作られた甕は口縁部が上下二段の複合口縁になっているのが特徴。

  

 東海地域の土器を代表するものに口縁部の断面が「S」の字形になっている甕がある。「S字状口縁台付き甕」と呼ばれる(上の写真㊧)。底に脚部が付けられているのも特徴の一つ。近江地域の甕や壷は口縁部が折り曲がった受け口状で、口縁部や体部には櫛描文やへら描文が施されている。北陸地域の〝装飾器台〟は土器を載せる器台に装飾を施したもの。纒向遺跡からは朝鮮半島から運び込まれたとみられる韓式系土器5点も見つかっている。

 

 奈良盆地の土で作られた地元大和の〝ウチの土器〟(上の写真㊧)は、古墳時代前期初頭の3世紀前半のものが「庄内式土器」、その後の3世紀後半~4世紀後半のものが「布留式土器」と呼ばれる。甕を比較すると、庄内式は成形時に表面を板状の工具で叩いた〝タタキ〟の跡が見られるのに対し、布留式は表面を〝ハケメ〟と呼ばれる薄い板状の工具でなでつけた線が見られる。また底部は庄内式が尖り気味なのに対し、布留式は丸底になっているという違いもある。(写真㊨の左側が庄内式の甕、右側が布留式の甕)


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