く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<東大寺ミュージアム> 「国宝四天王立像」特別公開中

2022年04月02日 | 美術

【耐震工事中の戒壇堂から一時移転】

 東大寺南大門のすぐそばにある「東大寺ミュージアム」で、戒壇堂に安置されていた国宝の塑像四天王立像が特別公開されている。戒壇堂は755年の建立以来3回火災に遭い、現在の建物は江戸中期の1732年の再建。その耐震化と保存修理のための工事に伴って、四天王立像は同ミュージアムに移転安置されている。造立は奈良時代の中頃とみられ、天平彫刻の傑作と称えられている。

 四天王立像は中央第2室に入って左側に安置されている。右手の向かい側には重要文化財の木造千手観音立像(平安前期)や国宝の塑像日光・月光菩薩立像(奈良時代)など。四天王立像は戒壇堂では中央の宝塔の四隅に立っていたが、ここでは広目天、多聞天、持国天、増長天が横一列に並ぶ。カッと目を見開いた持国天と増長天に、眉を寄せて射すくめるような眼差しの広目天と多聞天。迫力満点の仏像に踏み付けられた邪鬼の表情からはその叫び声が聞こえてくるような気もした。

 東大寺ミュージアムは10年ほど前の2011年秋に開館した。入り口に近い第1室には「創建時の東大寺」として、国宝の金銅八角燈籠火袋羽目板や誕生釈迦仏立像をはじめ、東大寺金堂鎮壇具の刀剣類、西大門勅額、伎楽面などが並ぶ。第2室を通ってさらに進むと、特集展示として「東大寺大仏縁起絵巻」が展示されていた。室町時代後期の16世紀の作で、東大寺の創建、大仏の鋳造、鎌倉時代の再建などを上中下の3巻にまとめたもの。大仏の開眼供養会が営まれたのが1270年前の752年4月9日だったことに因んで、大仏造立の場面が描かれた絵巻の中巻などが展示されている。

 東大寺ミュージアムを出て、久しぶりに大仏殿に向かう。平日にかかわらず青空の好天で春休み中、しかも奈良公園の桜もほぼ満開とあって、多くの家族連れなどでにぎわっていた。大仏殿手前左側の桜も花盛りだった。大仏さまの威容にはいつも圧倒されるばかり。ただ新型コロナの影響で、観光客に人気の「柱の穴くぐり」の場所は板で塞がれ、回廊脇の賓頭廬(びんずる)尊者の木像には「当分触れていただけません」の張り紙が。病気を治す力があって「撫仏(なでぼとけ)」として人気のびんずるさんだが、気のせいかその表情も少し寂しげに思えた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする