く~にゃん雑記帳

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<ショパンコンクール③> 反田恭平、2位入賞の快挙!

2021年10月21日 | 音楽

【2回目挑戦の小林愛実も4位入賞】

 ポーランドのワルシャワで開催された第18回ショパン国際ピアノコンクールの本選ファイナルで、反田恭平(27)が2位、小林愛実(26)も4位と日本人2人が入賞に輝いた。日本時間21日朝、主催者の国立ショパン研究所が発表した。世界最高峰のこのピアノコンクールで過去の日本人の最高位は1970年第8回大会での内田光子の2位。反田は惜しくも優勝には届かなかったものの、51年ぶりにそれと肩を並べた。前回2015年にファイナリストとなりながら入賞を逃した小林も今回悲願の入賞を果たした。

 

 審査結果は当初日本時間の21日午前6時半(現地時間20日午後11時半)ごろ発表の予定だった。ところが現地の日付が変わってもなかなか発表されず、結局、審査員たちが発表会場に現れたのは午前9時(同21日午前2時)すぎだった。今回は7月の予備予選応募者が世界約50カ国・地域から500人を超え、10月の1次予選出場者は87人(当初予定80人)、2次進出者45人(同40人)、3次進出者23人(20人)と予定枠より多く、本選にも反田と小林を含む12人(同10人)が進出していた。それだけ有能な若手ピアニストが数多く参加していたことを表す。甲乙つけがたいファイナル進出者12人をどう評価するか。審査員17人が議論に議論を重ねるうち審査時間が大幅に長引いたのだろう。入賞者は通常1~6位の6人だが、今回は2位と4位が2人ずつとなって受賞者は計8人に。その異例の入賞者数と変則的な順位付けが、悩みに悩み抜いた審査員たちの苦悩ぶりを物語っているようだ。

 入賞者は次の通り。【1位】ブルース・リウ(カナダ24歳)【2位】反田恭平(27歳)、アレクサンデル・ガジェヴ(イタリア/スロベニア26歳、ソナタ賞も)【3位】マルティン・ガルシア・ガルシア(スペイン24歳、コンチェルト賞も)【4位】小林愛実(26歳)、ヤクブ・クシュリス(ポーランド24歳、マズルカ賞も)【5位】レオノラ・アルメリーニ(イタリア29歳)【6位】ジェイ・ジェイ・ジュン・リー・ブイ(カナダ17歳)。入賞者の年齢は17歳~29歳と幅広い。ファイナルには17歳がもう2人進出していた。今後の活躍が楽しみだ。

 18~20日の3日間行われた本選ファイナルでは12人がショパンのピアノ協奏曲をワルシャワフィルハーモニー管弦楽団と共演した。協奏曲第1番を演奏したのが9人、残りの3人が第2番だった。反田恭平は初日の3番目に登場し第1番を演奏。緩急・強弱のメリハリの利いた豊かな響きで、第3楽章の最後の1音が鳴ると同時に、まだオーケストラの演奏が終わらないうちにホール全体から大きな拍手が沸き起こった。弾き終えた反田の表情は長丁場のコンクールをやりきった安堵感と達成感にあふれていた。3日目の1番目に登場した小林愛実はやはり協奏曲第1番を選択、繊細なタッチで1音1音を慈しむように響かせて、万雷の拍手に包まれた。

 反田は桐朋女子高校(男女共学)の音楽科に在学中、日本音楽コンクールで第1位・聴衆賞を受賞。その後、モスクワのチャイコフスキー音楽院に進み、4年前からはワルシャワのショパン音楽大学で学ぶ。師事するピオトル・パレチニ教授はポーランドを代表するピアニスト。頻繁に来日公演する傍ら、若手日本人ピアニストを多く指導してきた。2019年にはその功績が認められて旭日中綬章を受章している。ショパンコンクールの常連の審査員でもある(ただし審査員は生徒を採点できない決まりがある)。パレチニ教授は教え子の反田が自分の3位(1970年の第8回大会)を上回る2位に選ばれたことをことのほか喜んでいるに違いない。

 なお優勝者ブルース・リウが弾いたピアノはイタリアのファツィオリで、3位と5位もファツィオリだった。反田恭平と小林愛実の使用ピアノはスタインウェイ。反田と同じ2位のアレクサンデル・ガジェヴと、6位のジェイ⋅ジェイ⋅ジュン⋅リー⋅ブイは日本のカワイだった。カワイピアノの大健闘に関係者もさぞ喜びに沸いていることだろう。

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