く~にゃん雑記帳

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<詩人ビナードさん> 「タマムシ色の日本の未来」と題し講演

2015年11月25日 | メモ

【橿原市昆虫館で、「疑い深く見ることが大切」】

 米国出身の詩人・随筆家、アーサー・ビナードさんの講演会がこのほど奈良県の橿原市昆虫館で開かれた。「タマムシ色の日本の未来」と題して講演したビナードさんは「言葉を掘り下げることで、それまでタマムシ色で終わっていたものが見えてくる」「(新聞などの)報道も国際関係も疑い深くみることが必要」などと話した。

          

 ビナードさんは1967年米国ミシガン州生まれ。大学卒業後の1990年に来日し、日本語での詩作を始めた。2001年に詩集『釣り上げては』で中原中也賞を受賞したのを皮切りに、絵本『ここが家だ―ベン・シャーンの第五福竜丸』で日本絵本賞、詩集『左右の安全』で山本健吉文学賞など次々と受賞を重ねた。他にエッセー集『亜米利加ニモ負ケズ』『日々の非常口』など多くの著作がある。

 虫好きのビナードさんが橿原市昆虫館で講演するのは2回目。まずタイトルのタマムシ色について「本物のタマムシは決してあいまいな存在ではない。タマムシ色という言葉は濡れ衣でタマムシに対し失礼」と指摘。もう1つの「未来」という言葉についても「同じくらい胡散くさい。この言葉にもごまかしができるという意味が込められている」と話す。

 パリ同時多発テロの発生で即座に「9.11の記憶が蘇った」という。当時の米ブッシュ政権は「War on Terror(テロとの戦い)」を標榜しイラクを攻撃する。ところが「とんでもない逆効果の〝あるある詐欺〟だった。この14年間にテロはうなぎ登り、難民も急増した」。ラムズフェルド元国防長官へ旭日大綬章という秋の叙勲について「国際法違反として裁かれなければいけない人物。アベコベもいいところ」と酷評する。

 ビナードさんは『裸の王様』(原題『皇帝の新しい服』)を引き合いに、「最後に声を上げて、みんなが目覚めるのは詩人の言葉によって」「迎合したら詩人ではない」と話す。「この人抜きに日本の文学は語れない」として挙げたのは福島県南相馬市在住の詩人若松丈太郎さん。チェルノブイリを訪問し福島原発事故を想定した作品『神隠しの街』を、実際に事故が起きる7年前に発表した。

 ビナードさんにも『もんじゃ』と題した詩がある。中原中也賞の受賞詩集に収められた作品だ。

――朝鮮仏教徒連盟中央委員会は言う、日本の高速増殖原型炉「もんじゅ」、文殊菩薩を冒瀆――と。それを読んでぼくは悟りを開いた。

四月の臨界からずっと あれはいつか月島の方で食べた お好み焼きのぐしゃぐしゃしたやつ、うまい名前をつけたな、と。

 ビナードさんは最後にある選挙ポスターを掲げた。そこには「ウソつかない TPP断固反対 ブレない 自民党」とあった。そして「ウソをつかないという人に限ってウソをつく。過去から学び、いろいろなレンズを使って、これから起こるものを見抜かなければならない」と結んだ。

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