く~にゃん雑記帳

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<飛鳥資料館> 秋季特別展「キトラ古墳と天の科学」

2015年11月03日 | 考古・歴史

【古墳天井の天文図複製陶板などを展示】

 奈良文化財研究所の飛鳥資料館(奈良県明日香村)で開館40周年を記念する秋季特別展「キトラ古墳と天の科学」が開かれている(11月29日まで)。キトラ古墳は飛鳥時代の7世紀末~8世紀初頭に築造されたとみられる壁画古墳。天井には現存する世界最古級の本格的な天文図が描かれていた(写真㊨)。その精密な複製陶板を展示するとともに、最新の研究成果を紹介している。

   

 天文図に描かれているのは中国式の円形星図と日月像。3つの同心円と北西側にずれた1つの円が描かれ、その中に約350個の星を朱線で結んだ70を超える星座が配置されている。キトラ古墳の北約1.2キロにある高松塚古墳の星縮図に描かれているのは「二十八宿」と呼ばれる一部の星座などだけで、天の赤道や黄道などを示す円も描かれていない。

 キトラ古墳の星の大半は直径約6ミリの円形の金箔で表現されているが、3つの星はやや大きい9ミリの円形で示されていた。この3つは「天狼」「北落師門」「土司空」とみられるが、「その大きさは星の明るさを示すものではないようで、古代人にとってどんな重要な意味があったかは不明」という。

 天井に描かれた天文図はこれまで3つの同心円の大きさなどから観測地は北緯37.6度付近で、朝鮮半島の高句麗から伝わってきたのではないかといわれてきた。だが国立天文台助教の相馬充氏や元帝京平成大学教授の中村士(つこう)氏による星の位置の解析で、原図は中国からもたらされた可能性が高まってきた。天文図の推定観測年代は相馬氏が紀元4世紀頃、中村氏が紀元前1世紀頃とやや幅があるものの、観測地は北緯34度付近で当時中国の都があった長安や洛陽で観測された可能性が高いとみる。

 特別展ではキトラ古墳の石室の色味や質感を忠実に再現した模型や高松塚古墳の壁画の高精細スキャンパネル、キトラ古墳出土の棺の金具やガラス玉、石神遺跡から見つかった国内最古のカレンダー「具注暦」、水落遺跡出土の漏刻模型なども展示している。キトラ古墳の壁面、天井の壁画は漆喰の剥離が激しいため、現在取り外して保存修復中。2016年度に国営飛鳥歴史公園のキトラ古墳周辺地区に整備する保存・展示施設で公開される予定。

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