く~にゃん雑記帳

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<来年は鑑真和上1250年御遠忌> 「戒律は現代のすさんだ世相を正す原動力」

2012年12月15日 | 考古・歴史

【帝塚山大学の公開講座で石田太一・唐招提寺執事】

 奈良時代、度重なる海難を乗り越えて中国から渡来し、日本の仏教界に新風を吹き込んだ鑑真和上。来年は没後1250年の節目を迎える。鑑真は東大寺に戒壇を設け授戒するとともに、律宗の開祖として唐招提寺を創建した。奈良市の帝塚山大学で15日開かれた市民公開講座「鑑真大和上1250年御遠忌に向けて」の中で、講師の石田太一・唐招提寺執事(写真)は「戒律は現在のすさんだ世相を正す原動力となる。鑑真和上が伝えた法は1250年経ってなお、私たちにそれを教えてくれている」と説いた。

 

 戒律の「戒」は自分で誓う自律的なものでいわば道徳。「律」は遵守すべき法律で他律的なもの。授戒(受戒)は戒律を守ると誓う儀式で、「誓いを立てることで戒めを守ろうとする勇気が備わる。たとえ戒を破ろうとも自責の念を生むことになり、明日への努力につながる」と石田執事。鑑真は平城京に到着した754年に東大寺で聖武上皇や孝謙天皇らに授戒した。(写真㊨は唐招提寺の戒壇上での授戒会の様子)

 在家仏教信者が守るべきものとして「五戒」を挙げる。不殺生戒(生き物をことさらに殺さない)、不偸盗(ふちゅうとう)戒(あらゆるものを盗まない)、不邪淫戒(不適切な関係を持たない)、不妄語戒(嘘をつかない)、不飲酒(ふおんじゅ)戒(酒を飲みすぎない)。「口で唱えることに意味がある」として、講義中にこの五戒を数回唱和させられた。

 律宗では「七衆」といって7種類の集団に分類される。一人前の僧は比丘(びく)、尼僧は比丘尼(びくに)、見習いの沙弥(しゃみ)と沙弥尼(しゃみに)、沙弥尼から比丘尼になるまでの猶予期間中(約2年)の式叉摩那(しきしゃまな)、在家男性の優婆塞(うばそく)、在家女性の優婆夷(うばい)。1人前の比丘には日常生活全般にわたって250に上る戒律が定められており、破ると罰則がある。最も重いのは悟ってもいないのに「悟りを得た」といって妄語戒を破る場合で、教団追放処分になるそうだ。

 唐招提寺では来年の御遠忌に向けて、国宝の鑑真和上坐像(脱活乾漆造り)を模した「平成の御影像」の制作を、仏師集団の財団法人美術院に依頼中。来年6月5日には開眼法要の予定で、年に数日しか拝観できない国宝像に代わって常時公開されることになるという。

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