映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

映画 「アリス・クリードの失踪」

2011年07月25日 | 日記

  

     2009年にイギリスで公開されると、そのユニークで綿密な独特の世界に、
     英米の批評家に絶賛されたと伝えられている作品です。

     これまでは脚本家として活躍してきたJ・ブレイクソンが初めて撮った作品
     で、登場人物はたったの3人、これ以外の人物はおろか声も聞こえません。
     更に場所もほとんどが拉致された部屋で進行しますし、低予算ながら知恵
     と情熱で撮った作品であることが伺えます。

     物語は二人の男が身代金目的の誘拐を企て、監禁する部屋を準備し、富豪
     の娘アリス拉致にまんまと成功、ベッドに手足を縛り付けます。
     アリスの親からまんまと身代金を手に入れたのですが、ここからアリスの
     反撃が始まります。そして3人の心理戦は最高潮に・・・。

     タフなヒロイン・アリスには「007/慰めの報酬」のジェマ・アータートンが、
     二人の誘拐犯役には「シャーロック・ホームズ」のエディ・マーサンと「SWEET
     SIXTEEN」のマーティン・コムストンが扮して熱演です。

     この新人監督は、このデビュー作品のために暖めていたアイデアを一挙に
     爆発させた感じで、101分の中で少し粗い場面もありますが、ストーリーが
     二転三転し、意外な展開とラストを上手く纏めた脚本と演出のクオリティの
     高さを大いに買ってやりたいです。

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映画 「あぜ道のダンディ」

2011年07月24日 | 日記

         

     「川の底からこんにちは」で注目された28才の石井裕也監督が、自ら脚本
     も手がけた最新作です。
     監督は男の美意識を描く人間ドラマにしたいと言っていたそうですが・・・。

     主人公の宮田(光石研)は、妻を亡くし男手ひとつで育ててきた息子や娘た
     ちの関係に悪戦苦闘する50才のシングル・ファーザーです。
     「駄目でも情けなくても、男は男を気取って生きて行くもの」と見栄を張る
     のですが、現実は中々厳しい毎日です。

     最近は体調も優れないし、胃がんだった亡き妻と同じ症状に悩み、幼友
     達の真田(田口トモロヲ)だけに悩みを打ち明けています。
     そななある日、二人の子供が東京の私立大学に合格、子供たちとの思い
     出をなんとかして作りたい主人公ですが、中々上手く行きません・・・。

     幼馴染の友人と行きつけの居酒屋で酔って怒鳴りあったり、本当の気持
     ちを確認したりの描写とか、「川の底からこんにちは」も同様ですが、
     ローカルの風景と入り混じった挿話の数々を面白く見ることが出来ます。
     最近の映画やテレビで、一発芸のギャグに飽き飽きしている我々にとって、
     そんなものではなくシチュエーションの面白さはとても新鮮に感じます。

     また友情出演者を除いてはスター級の役者を使わず、主人公役の光石研
     は、彼のデビュー作「博多っ子純情」以来33年ぶりの主演ですが演技賞
     クラスの好演、共演の田口トモロヲも素敵です。
     でも何よりの功績は、家族や友達などへの大切な思いやりを、さりげなく
     描きながら問題提起をしている脚本と、優しく温かい目を持った石井裕也
     の演出だと思います。
     新しいスタイルの人情喜劇として充分に楽しめますので、皆さまにお薦め
     です。

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博多座七月公演 「天璋院篤姫」

2011年07月23日 | 日記

         

     今月の博多座はパスするつもりだったのですが、親友Tと一緒に博多座か
     らご招待を受けて観てきました。

     幕末の混沌とした時代の中で、人々の心をゆさぶり、徳川三百年の崩壊と
     いう歴史の渦の中を生き抜いた女性、"篤姫"を描いた舞台です。
     宮尾登美子の原作で、NHKの大河ドラマにもなりよく知られていますが、
     舞台は原作の内容を大きく省略し、篤姫の出身地・薩摩との関係に重点を
     置いた内容に纏められています。

     篤姫には国仲涼子が初舞台で出演、薩摩の名君・島津斉彬には鹿児島出身
     の西郷輝彦が演じるほか、宮本真希・床嶋佳子・石川禅・青山良彦・富田
     恵子らが出演しています。

     スタッフは脚本・斉藤雅文、演出・金子良次、美術・朝倉摂というこの業
     界では著名な顔ぶれです。良くても悪くても大河ドラマで一般に周知され
     た物語だけに、やりにくい舞台だっただろうと思うのですが、それなりに
     上手く省略を効かして纏めてあります。

     ただどうしても苦言を呈したくなるのが、出演者の顔ぶれの弱さです。
     西郷はまあまあですが、国仲は始めから最後まで町娘的な篤姫で、もっと
     年代で変化して行く演技でないといけないし、セリフも通りません。
     あとは主演者を囲む脇役陣ですが、名の通った人が少なく厚みがでないの
     が残念です。
     総じて言えば味わいの薄い舞台だったが正直な感想です。

     支配人と立ち話ですが、彼は脚本はいいのですが客の入りがいま一つ足り
     ないのです・・・と。私はキャストの弱さでしょう・・・と言っておきました。

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映画 「神様のカルテ」

2011年07月22日 | 日記

          

     原作は現業の医師である夏川草介が、第10回小学館文庫小説賞を受賞した
     デビュー作で、2010年に本屋大賞で2位となった作品です。
     "嵐"の櫻井翔と宮崎あおいが夫婦役を演じ、地方医療の現実と向き合いな
     がら成長する医師の姿を描いた内容です。

     勤務5年目の内科医である主人公は、医師不足の中、24時間365日対応で
     激務をこなしています。
     家にはカメラマンの妻や、アパートの風変わりな住人たちとの温かい触れ合
     いがあるのですが、多忙で結婚記念日も忘れる始末。
     ある日、大学病院から見放された末期がん患者が転院してきたのをキッカケ
     で、主人公は医療とは何かを考え始めます。
     そんな時に大学病院に勤めないかという誘いがきて・・・。

     出演は、櫻井翔・宮崎あおい・要潤・吉瀬美智子・加賀まりこ・柄本明ほか。
     監督は「白夜行」の深川栄洋です。

     この作品は8月27日に公開されるのですが、同じ匂いがする作品で少し後で
     すが10月8日に公開される東映の「ツレがうつになりまして」があります。
     こちらのキャストはトップが宮崎あおいで共演は堺雅人、佐々部清監督です。
     本当は2作品を並べて感想を書きたかったのですが、取敢えず「神様のカルテ」
     を少々書きます。

     このところ東宝系の作品を見て、質的に優れた感動作というか面白い作品が
     極端に少ないと思います。
     東宝は宣伝上手ですから興行的には上の部で推移しているものの、とても気
     懸かりです。

     本作も辛口にならざるを得ないのですが、まず脚本と監督の出来が全く悪い
     上に、主演・櫻井の演技がお世辞にも上手いと言えません。宮崎といういい
     相手役を得ているのですからこの夫婦の生活ぶりとか、医者としての言動と
     かがもう少しどうにかならなかったのか、至極残念です。
     また途中に不要な挿話が多く、2時間8分は長過ぎます。

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映画 「BIUTIFUL ビューティフル」

2011年07月21日 | 日記

          
     
     この作品は、今年のカンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞、アカデミー賞
     主演男優賞・外国語映画賞にノミネートされ、私の期待の一作でした。
     スペインのバルセロナの極低下層である移民地区で暮らす父と幼い姉弟。
     映画の題名は、劇の中で娘に「ビューティフルの綴りってどう書くの?」
     と聞かれて父親は"題名"の綴りだよと、間違った綴りで答えるシーンから
     きています。


     監督はデビュー作「アキーレス・ペロス」で注目され「21グラム」「バベル」
     で確固たる地位を獲得したアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥで、死に
     直面した男の心理描写に焦点を究極まで当てた物語です。


     背景はバルセロナに潜む闇世界。主人公のウスパル(ハビエル・バルデム)
     は麻薬依存の妻と別れ、二人の子供と暮らしています。彼の仕事はアフリカ
     や中国からの不法移民の世話をする仕事ですが、病院で検査を受けた彼は、
     前立腺がんで余命二ヶ月と宣告されます。
     彼は子供を残して死ぬわけに行かないと思い、麻薬依存から更生しようとす
     る妻と再び暮らそうと考えるのでした。
     そんな時、工場で働いていた中国人たちが、ウスパルの与えた粗悪暖房機
     から出た一酸化炭素で全員が死亡して大変なことに・・・。

     19歳で初めて黒沢明監督の「生きる」に出会った監督は、斬新なストーリーテ
     リングに衝撃を受けたそうで、この作品はその感動を発展たものと述べていて、
     劇中には「生きる」のワンシーンを引用するなど、黒沢作品へのオマージュが
     盛り込められています。


     そして素晴らしいのがハビエル・バルデムの存在感ある演技で、色々な受賞
     は当然でしょう。
     観光都市として著名なバルセロナの裏面の闇社会で繰り広げられる物語です
     から、明るさは皆無だし見てて暗く重い気分になるのは仕方がないのかも知
     れません。
     更に全編を通じて死者の場面が多過ぎるのも考えものです・・・。
     それでも物語がよく出来ていて魅力を感じる作品なので不思議です。

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