1945年の敗戦直前、日本軍の反乱兵たちによって大量の金塊が海に沈めら
れます。
それはGHQによって接収され、極秘に運用されてきたといわれる、通称「M
資金」をめぐって2014年に繰り広げられる陰謀を描いた作品です。
「亡国のイージス」でも阪本監督とタッグを組んだ作家の福井晴敏による書き
下ろした小説を、福井と阪本監督が共同で脚本を執筆しています。
金融ブローカーを名乗って詐欺を繰り返す真舟雄一(佐藤浩市)の前に、石優
樹(森山未來)という男が現れ、M資金を管理しているという財団「日本国際文
化振興会」が真舟を待っていると告げられます。
M資金の存在を疑いながらも真舟は財団のビルを訪ねた時、高速美由紀(観
月ありさ)が率いる秘密組織の襲撃を受けますが、石の助けられて連れて行
かれた先で本庄一義(岸部一徳)という男から「報酬50億円を出すので10兆円
のM資金を盗み出してほしい」と依頼され、真舟はM資金に隠された秘密をめ
ぐる争いに引き込まれて行くのでした・・・。
上記のほか香取慎吾、オダギリジョー、仲代達矢、韓国のユ・ジテ、アメリカ
のビンセント・ギャロと中々の豪華キャストだし、ロシア、タイ、アメリカの4カ国
で撮影が行われ、米映画以外では初となるニューヨークの国連本部での撮影
も行なわれています。
と書けば期待させられるし、大作の臭いがしますが出来上がったモノは、これ
がプロが作った映画かと思うくらい支離滅裂で説得力がない作品です。
M資金といえば誰もが興味を持つ題材であり、これを巡る醜い人間の本質を見
たかったのですが、結局は何を描きたかったのか訴えたかったのか良く判りま
せん。キャストも少し辛口かも知れませんが合格点は森山未來のみです。
それでも滑り出しは興味をそそられるし期待したのですが、直ぐに肩透かしを
食らいました。
もっと構成を変えるなり、整理をすれば面白い作品になっただろうと思いますが、
期待はずれの一番の責任は脚本です。そしてこの脚本に振り回された監督で、
残念至極です。