大映が倒産してから15年くらいの間、私は月に1~2本しか映画を見なかった
時期があります。
1987年ハリウッド製作のラブ・コメディ「月の輝く夜に」はそういった1本で、とて
も見たかった作品です。
しかも「月の輝く夜に」はご贔屓シェールの主演であり、その年のアカデミー賞
3部門を受賞。シェールが主演女優賞を、オリンピア・デュカキスが助演女優賞
を、更に脚本賞を獲っています。
もう一つ、シェールの最新作「バーレスク」の彼女と見比べてみたいという想い
がありました。
物語の背景はニューヨークのダウンタウンです。
夫と死別した独身のロレッタ(シェール)に、幼友だちのジョニーがプロポーズしま
す。彼女はOKしますが、ジョニーの母親の危篤で急遽故郷イタリアのシシリア
に帰ることに。
自分たちの結婚式への出席のため、ジョニーの弟ロニー(ニコラス・ケイジ)に会
ったロレッタは、兄とは仲たがいしていて不運な自分を嘆くロニーを優しく慰める
のでした。
そして満月の夜、結婚が決まりながらその弟と一夜をともにしてしまったロレッタ。
さあそれからが大変・・・。
人の心を狂わすという満月の夜に起こったイタリア系一家のあれこれをユーモラス
に描いたノーマン・ジェイソン監督の佳作です。
途中には家族の浮気話や恋愛騒動も上手く織り込まれていて楽しいし、ニューヨー
クの街が映像的にいい雰囲気をかもし出し、ディーン・マーチンが唄う「ザッツ・アモ
ーレ」がイタリアンな感じを奏でています。
それに劇中でメトロポリタン歌劇場が重要な役割で出てきますし、全編で小道具的
に使われているのがオペラ「ラ・ボエーム」で、洒落た使い方だと感心しました。
最後になりましたが一番言いたかったこと、それはシェールです。
この作品当時のシェールは40歳ですが、実に魅力的でホレボレしますが、去年の
作品「バーレスク」は65歳のシェールです。
いまなお歌って踊る彼女に私はボーっとなるばかりでした・・・。
左「月の輝く夜に」40歳のシェール。 右「バーレスク」のシェール65歳。