映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

午前十時の映画祭 「月の輝く夜に」

2011年10月31日 | 日記

     

     大映が倒産してから15年くらいの間、私は月に1~2本しか映画を見なかった
     時期があります。
     1987年ハリウッド製作のラブ・コメディ「月の輝く夜に」はそういった1本で、とて
     も見たかった作品です。
     しかも「月の輝く夜に」はご贔屓シェールの主演であり、その年のアカデミー賞
     3部門を受賞。シェールが主演女優賞を、オリンピア・デュカキスが助演女優賞
     を、更に脚本賞を獲っています。
     もう一つ、シェールの最新作「バーレスク」の彼女と見比べてみたいという想い
     がありました。

     物語の背景はニューヨークのダウンタウンです。
     夫と死別した独身のロレッタ(シェール)に、幼友だちのジョニーがプロポーズしま
     す。彼女はOKしますが、ジョニーの母親の危篤で急遽故郷イタリアのシシリア
     に帰ることに。
     自分たちの結婚式への出席のため、ジョニーの弟ロニー(ニコラス・ケイジ)に会
     ったロレッタは、兄とは仲たがいしていて不運な自分を嘆くロニーを優しく慰める
     のでした。
     そして満月の夜、結婚が決まりながらその弟と一夜をともにしてしまったロレッタ。
     さあそれからが大変・・・。
     人の心を狂わすという満月の夜に起こったイタリア系一家のあれこれをユーモラス
     に描いたノーマン・ジェイソン監督の佳作です。

     途中には家族の浮気話や恋愛騒動も上手く織り込まれていて楽しいし、ニューヨー
     クの街が映像的にいい雰囲気をかもし出し、ディーン・マーチンが唄う「ザッツ・アモ
     ーレ」がイタリアンな感じを奏でています。
     それに劇中でメトロポリタン歌劇場が重要な役割で出てきますし、全編で小道具的
     に使われているのがオペラ「ラ・ボエーム」で、洒落た使い方だと感心しました。

     最後になりましたが一番言いたかったこと、それはシェールです。
     この作品当時のシェールは40歳ですが、実に魅力的でホレボレしますが、去年の
     作品「バーレスク」は65歳のシェールです。
     いまなお歌って踊る彼女に私はボーっとなるばかりでした・・・。

  
     左「月の輝く夜に」40歳のシェール。     右「バーレスク」のシェール65歳。

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映画 「RAIL WAYS 愛を伝えられない大人たちへ」

2011年10月29日 | 日記
  
        

     この作品は人生を鉄道になぞらえて描く「RAIL WAYS」シリーズの第2作で、
     12月公開なのですが、現在私が見た映画のストックは未公開作品ばかり。
     来週は公開中の作品を出来るだけ見て書きますので、お許しください。

     仕事一筋42年の鉄道運転士・滝島徹は59歳、彼を支えてきた妻・佐和子は
     55歳です。
     夫の定年退職を1ヶ月後に控えたある日、妻が結婚した時を契機に止めた
     看護師の仕事を再開したいと言い出します。
     妻の突然の申し出を理解できない徹は激しい口論になり、佐和子は家を飛
     び出してしまうのでした。

     徹は定年という第2の人生を目前に、これからは妻と一緒に過ごしたいと思
     っていたし、妻はあることをキッカケに、これからは自分の人生を大事に生き
     たいと願っていたのでした。
     そばにいるのが当り前過ぎて上手く言葉に出来なかった夫でしたが、この
     すれ違う夫婦の想いはどうなるのでしょうか・・・。

     雄大な北アルプスを望む富山地方の田園を背景に、古い電車がゴトゴトと
     走り、中々絵になっています。
     定年を前に感じる焦りや迷い、それが喜びと幸せに繋がるのか・・・は、映画
     なりの答えを出してくれます。
     どちらかというと地味な物語りだし、スターバリューがある作品ではないけど、
     この切ない夫婦役を三浦友和と余貴美子が上手く演じています。
     特に三浦友和がいい味を出して素敵です。

     監督は「RAIL WAYS 49歳で電車の運転手になった男の物語」で助監督を務
     めた蔵方正俊が初メガホンを取っています。
     正攻法の演出で好感は持てるのですが、情緒とか余韻とかを計算し過ぎて不
     要なカットやシーンが結構多く、それらを10分ばかりカットすると締まった作品
     になったと思います。これは編集の責任かも知れません。
     このシリーズはそれぞれ人物・内容が異なり、新鮮さを保てるので、内容を強
     化して今後も続けるべきでしょう。  (12月3日公開)

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映画 「ミッション:8ミニッツ」

2011年10月28日 | 日記
  
     デビット・ボウイの息子であり、「月に囚われた男」で長編映画監督デビュー
     し、英国アカデミー賞新人監督賞など多くの賞に輝いたダンカン・ジョーンズ
     監督の新作なので、少なからず期待していた作品です。

     ある朝、スティーヴンス大尉(ジェイク・ギレンホール)はシカゴ行き列車の座
     席で目覚めます。
     前の席の魅力的な女性(ミシェル・モナハン)が親しげに話しかけてきますが、
     彼は自分がなぜここにいて、彼女が誰か判らない。アフガンで戦闘ヘリを操
     縦しているはずなのに・・・。
     それは列車爆発テロの犯人を突き止めるため、犠牲者が死亡する爆破8分
     間の意識に入り込み、犯人を見つけ出すという任務遂行のために選ばれた
     スティーヴンス大尉だったのです。

     何度もミッションを繰り返し、その度に結果が微妙に変化することから、事故
     で死ぬはずの女性を何とかして助けたいと思うのですが、同時に彼の中であ
     る疑惑が膨らんでいくのでした・・・。

     SFアクションというか、タイムトラベル・パラドックスというべきか、この新人
     監督のスリリングな演出は新人離れしています。
     この手の物語は理屈っぽくなるのが通常ですが、上手く纏めた方でしょう。
     それでもあまり深く考えながら見ると余計に判らなくなる恐れがあるし、出
     来るだけ頭を単純モードに切り換えた方がより楽しく見ることが出来ます。
     ほとんど同じシーンが繰り返し展開するので、どうして?と思いながら見て
     いて終盤に近づく程に納得するし、衝撃の場面は唸って見るしかありません。
     話のタネです、良かったらご覧になりませんか・・・。
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映画 「1911」

2011年10月27日 | 日記
 
     ジャッキー・チェン映画出演100本目を記念すべき作品に選ばれたのが
     「1911」です。
     中華民国建国のきっかけとなった辛亥革命が1911年に起きてから、今年
     でちょうど100年。どちらも数字の100にあわせた記念映画という訳です。

     物語はラストエンペラーの時代、中国は欧米列強の脅威にさらされ清王
     朝は衰退する一方でした。
     この状態を憂い、新しい国を作るため民衆が立ち上がります。
     それを指揮する孫文の参謀である黄興(ジャッキー・チェーン)は、一気に
     総督府に攻め込みますが、情報が洩れていて朝廷側に厳戒態勢を敷か
     れ大失敗に終わります。
     この戦いで多くの命を失った黄興らは戦意を失って行くのですが、果たし
     て崩壊直前の祖国と愛する人々を救うことが出来るのか・・・。

     ジャッキー・チェンは自ら総監督も務めるほどの力の入れようで、黄興の
     妻役はリー・ビンビン、孫文役はウィンストン・チャオ、袁世凱役には
     スン・チュンなどを配して固め、更に息子のジェイシー・チェンも出演さ
     せています。
     最近のジャッキー・チェンは「ベスト・キッド」ではカンフー達者な老人役
     をやって新境地と思われたのですが、今回の作品を見て年齢的にも彼
     の今後には大きな課題があることを感じます。

     構想10年、製作費30億円をかけたと伝えられています。たしかにスケー
     ルは大きいしお金もかかっていることは認めますが、大作の割りにその
     重みがいま一つ感じられないのは、構成がゆるい脚本と大味の演出です。
     それもその筈で、監督は「レッドクリフ」で撮影監督をつとめたチャン・リー
     を起用したとのことで、私の謎は解けました。あー勿体ない・・・です。
                     (11月5日公開)

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映画 「スマグラー おまえの未来を運べ」

2011年10月26日 | 日記

 

     「スマグラー」は私の知人の間でも賛否両論になってる作品です。
     どちらにしても見ておかないと話にならないと思い映画館へ。

     原作は小学館漫画賞を受賞した真鍋昌平の作品で、"月刊アフタヌーン"
     に2000年5月号から8月号に掲載されたものです。

     役者志望のフリーター砧涼助(妻夫木聡)は、パチスロ店でつまらない儲
     け話にのって失敗、多額の借金を背負うところから物語は始まります。
     砧は借金返済のために、裏社会の便利屋・山岡(松雪泰子)の紹介で、
     日給5万円という高額報酬の秘密運送屋(=スマグラー)で働くことになる
     のですが、その内容は訳ありの死体などヤバイ荷物の運搬と処理だった
     のです。
     たった一度のミスは命取りになる危険な世界に足を踏み入れた砧は・・・。

     俳優陣は肝心の妻夫木が主役感に乏しいものの、永瀬正敏・松雪泰子・
     満島ひかり・安藤政信・小日向文世たちが大熱演だし、チョイ役で顔を出
     す松田翔太・大杉漣・寺島進は中々上手な出し方です。
     つまり妻夫木はほかの役者から喰われた感じです。

     見てる間はどんどん事件が進み、暴力・グロの連続で退屈することはあり
     ませんが、全体的にリアリティがなく必然性が感じられないのが致命的な
     のです。
     特に高嶋政宏の狂気の演技は怖いより滑稽だし、相手を拷問するスタイル
     がオムツ姿なんていうのはこの監督は変態かと思わせるほどでいただけま
     せん。

     監督は「肌鮫男と桃尻女」「茶の味」「山のあなた 徳市の恋」を撮った石井
     克人で、いくつかの新鮮なシーンがあり、バイオレンス・ムービーを目指した
     エネルギーは評価しても、残念ながら自己満足になり過ぎていて惜しいと思
     います。
     私の意見と違って反対の思いをされてる方も居られる筈で、大いに論議を交
     わしたいと思うのですが如何でしょう・・・。


       
         「悪人」のロケ地の一つ、三瀬峠で。


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