渥美マリは大映の経営が悪化した時期に、何とかして新しい女優を作り出そうとして選ばれた一人でした。すでに叶順子が引退して、若尾文子を筆頭に江波杏子・関根恵子・松坂慶子・藤村志保などがいましたが、客の呼べる女優を作ろうと会社は必死になっていたのです。
そこで本社宣伝部を中心に渥美の売出しを展開しましたが、そのために渥美マリは何回も九州に来ています。今でこそ明かせますが、会社の方針に加えて、勝ちゃんからも弟分の酒井修とマリが当時付き合っていたこともあり、私によろしく頼むと言われていたのです。
九州には一度につき3日間くらいの予定で入って来ましたが、九州での全責任は宣伝課長の私にあり、どうせやるなら街頭でど派手な撮影会をやろうと決断、あまりにも突飛だとの声もありましたが、福岡では街の中心部にある西中洲水上公園で強行、凄い人の波でした。
もう一か所は熊本に決めました。熊本ではデパートの屋上に撮影会場は用意されていたのですが、現地に入って現場を見た私は、ビルの壁面がバックでは味気ないので、会場を少々移動すれば、熊本城を背景に持ってこれるとして、急遽変更して実施しました。
結局は全国でこのような街の中心部で水着撮影会をやったのは九州だけで、それも大成功でした。後のスナップは、熊本大映で昼夜2回の舞台挨拶とサイン会のものです。