井上ひさしの時代小説「東慶寺花だより」を原案に、「わが母の記」の原田眞人
監督が初めて手がけた人情時代劇です。
舞台は江戸時代の鎌倉。驚いたことに現代の倍の離婚率だったそうで、幕府公
認の駆込み寺・東慶寺には、事情があって離縁を求める女たちがやってきます
が、寺に駆け込む前に、御用宿・柏屋で聞き取り調査が行われます。
柏屋の居候で見習い医者なのに戯作者に憧れる信次郎は、柏屋の主・源兵衛
らとともに、ワケあり女たちの手助けすることになりますが、女たちの人生再出
発と共に自分も成長して行くことに・・・。
信次郎役に大泉洋、駆込み女に戸田恵梨香、満島ひかり。樹木希林、堤真一、
山崎努らの芸達者が脇を固めています。
テーマは面白いし、役者も演技派揃いですし、カメラも中々いいし、これは面白
くなりそうだと思いながら見ていると、段々と展開が平板になり退屈になってき
ました。
シーンがプツンプツンと絞られるし、切れる割には冗長だし、台詞は聞き取り難
い、演出にめりはりがないなどなど、気になり出したら落ち着いて見る気がしな
くなりました。
脚色が悪いのか、編集が駄目なのか、初の時代劇演出で戸惑いがあったのか、
折角の上手い演技陣を抱えながら、結局はいま一つ面白くない仕上がりだった
と思います。
もう一つ、上手いが大泉洋はミスキャスト。ですから私の総合点は残念作です。