小説は最後の最後まで切ないと聞かされた、森沢明夫の同名小説を映画化したもので
す。主人公・立花明海は恋人を亡くした空虚感からか、普段は手にしない自己啓発本を
古書店で購入します。その本には栞代わりに元の持ち主だった名刺が挟み込んであり、
すでに線が引かれたいくつかの文章は、明海が心を動かされたフレーズと合致していた
のです。気になった明海は名刺の「大滝あかね」に思い切って連絡をとり知り合いになり
ます。いつも前向きで笑顔の彼女は、見たもの全部を輝かせるきらきら眼鏡をかけている
のだと話してくれるあかねに、明海はいつしか恋心を描きますが・・・。
明海役を本作が映画デビューとなる金井浩人、あかね役を池脇千鶴が演じ、安藤政信、
古畑星夏らが脇を固めています。監督は「つむぐもの」の犬童一利、脚本はドラマ「相棒」
シリーズなどを手がける守口悠介。
素材がいいので佳作になる可能性があったのに、判ったようで判らない変な出来で、まる
で未編集の未完成作品を見せられた感じです。脚本も駄目なら演出も幼稚だし、俳優は
池脇千鶴を除いて全滅状態。出来上がった映画は、何を言いたいのか何を狙ったのかよ
く判りません。この程度の映画がどうして上映されるのかも判りません。こんなお遊びは、
もうやめて欲しいと思いますし、お金と時間の無駄です。