経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

キシノミクス・コロナが収まっても停滞続く

2022年07月10日 | 経済(主なもの)
 5月の経済指標が概ね出揃ったが、景気は停滞したままだ。鉱工業生産が大きく減退して、中国のロックダウンによる一時的なものとされてはいるものの、昨年6月をピークに、低下傾向は1年に及ぶ。コロナの行動制限が緩和され、消費は正常化してきたが、物価高、原材料高が圧迫するようにもなっている。これから、中国が持ち直せるのか、インフレ対策の金融引締めで米国が景気後退になるのか、うまく渡り切れるか心配なところである。

………
 5月の鉱工業生産は、前月比-6.8とネガティブサプライズであった。自動車だけでなく、生産用機械、汎用機械も落ちている。6,7月の予測は+12.0、+2.5と大きいが、原指数で見ると6月は前年並みで、7月がやや高めといった程度になる。資本財(除く輸送機械)は、前月比-1.6の減となり、こちらも6月の予測は+9.5と大きいものの、やはり原指数では前年並みだ。予測値を含む4-6月期の前期比は+0.1と、前期に続く横バイ状態である。

 他方、消費については、5月の商業動態・小売業が前月比+0.6と順調に伸び、4,5月平均の前期比は+2.1にもなるが、CPIの財で割り引くと+0.6まで縮んでしまう。また、5月の統計局CTIマクロは、5月は-0.2だったものの、4,5月平均の前期比は実質で+1.3である。同じく、日銀・消費活動指数は+2.1と更に高い。家計調査の消費性向を見ると、5月は前月の反動で低下したものの、緩やかな上昇傾向が続いている。

 雇用については、5月の失業率は2.6%に上昇し、雇用者数は-24万人となったけれども、前月が高かった反動の範囲内である。ただし、女性の雇用者は伸びている一方で、男性は横バイ状態のままだ。また、5月の新規求人倍率は2.27倍と前月比+0.08だった。こちらは順調に回復が進み、2017年のレベルに来ている。産業別では、卸小売業、宿泊飲食業の増が進み、製造業は増勢にやや陰りが見える。

 6月の意識指標では、消費者態度指数が前月比-2.0と低下した。特に、物価高の影響を受ける「暮らし向き」が-2.6と大きかった。景気ウォッチャーも前月比-1.1となり、サービス関連以外が軒並み低下した。コメントを見ても、物価高、原材料高の悪影響の言及が多い。先行きについては、前月比-4.9と更に厳しいものになっている。これでは、4-6月期の消費の伸びは縮みそうである。

(図)


………
 7/1公表の日銀短観では、大企業製造業が原材料高で3月調査から-5となり、大企業非製造業は+4という、やはり、強弱が交差する結果であった。確かに、コロナの収束によって、サービスを中心に消費は回復しているが、物価高、原材料高が圧迫するようになり、輸出と生産は、停滞が続いて上向かない。とりあえず、4-6月期のGDPは、消費の伸びでプラスになっても、先行きは、なかなか厳しいものがある。


(今日までの日経)
 安倍元首相、撃たれ死亡。米雇用、予想上回る力強さ。世界のコロナ感染、2週で3割増。米住宅価格、高騰続く 不動産ファンドが買い占め。商品相場、景気懸念で変調。


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 7/6の日経 | トップ | 7/13の日経 »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (三郎)
2022-07-10 09:38:34
もう日本は終わりだよ。安倍氏がいなくなって自民党は財政再建一色になる。コロナ増税と称して消費税15%はなる。
筆者さんが好きな原敬が暗殺されたのと同じくらい日本のその後を暗転させる事件だよ。
絶望感が凄い。

コメントを投稿

経済(主なもの)」カテゴリの最新記事