何年連続になるだろうか。日帰りで、正倉院展に行ってきた。
そろそろやめようと思っていたのだが、今年は19年振りに、あの五弦琵琶が出展されると知り、行かないわけには、いかなくなった?
平城遷都1300年で、大賑わいの奈良。今日も平城京址には、多くの人が訪れていた。
今年の正倉院展は、光明皇后1250年御遠忌ということで、この琵琶の他、光明皇后が、献納した薬などユニークな展示がある。今もまだ、薬効が残っているという。
平城遷都1300年にちなんで、当時の暮らし振りを伝える宝物も展示されており、面白い。租庸調制度に関連する書物や、それにより納められた絹布なども展示され、本物のタイムトリップが体験できる。書物には、道鏡さん直筆のものもあるし、日本最古の戸籍もある、凄く細かくて、びっくり。制度が始まったばかりなのだが。
ただ、何といっても抜群に鮮やかなのが、五弦琵琶。信じられないほどすばらしい芸術品だ。間近に見るには、行列に並ばなければならないが(1時間と言っていた)、並ばなくても、十分、ゆっくり見れる。
昭和20年代に鳴らした時の音が流されている。これは、1980年代のNHKのシルクロードの番組で、その時の中央アジアの人々に聞かせていたものと同じ音源だと思う。当時、現地の人は、聞いたことがないと答えていた。
遠い昔に忘れ去られた楽器なのだ。五弦琵琶は、ペルシャではなく、インドが発祥という説もあるが、今となっては、ミステリアスな楽器になってしまった。
ヤシの木のような木の下で、ラクダに乗った人が琵琶を弾いているデザインなのだが、こちらの方は、四弦琵琶なのが面白い。当時は、四弦と五弦が、両方存在していたのか、五弦は、既に廃れかけていたのか。
752年の大仏開眼会の儀式に使用されたお面も凄い。当時の奈良の国際性に驚かされる。
これらのお宝は、1250年間生き抜いてきたのだが、今後1250年間生き抜けるのだろうか。
その時は、紀元3260年。気が遠くなりそうだ。
正倉院展を満喫した後、唐招提寺に行った。2年前に行ったのだが、その時は、金堂の解体修理が終わったばかりで、仏様の荷ほどきが終わっていなかった。今は、完全復活。仏像は、お堂の中に収まってちょっと見にくくなったけど。
お参りする人も増えたし、門前お食堂もにぎわっていた。2年前は、閑古鳥だったのに。
今回は、鑑真さんの御廟にも行った。途中の苔がビロードのようで、不思議な色だった。
最後の訪れたのは、興福寺。
五重塔内陣が公開されているのだが、時間が迫っていたのと、値段が高いのでやめて、前から行きたかった、新装なった国宝館に行った。
入場制限をしていたが、10分ぐらいで、入れた。
同じ国宝館だけど、断然よくなった。前のは、古色蒼然とした、昔ながらの国宝館だったが、どこに出しても恥ずかしくない国宝館になった。ガラスもなくなって、照明も奇麗でよく見える。展示物も素晴らしすぎる。寺社にある国宝館の中では、日本一ではないか。
ただ、これは、上野の阿修羅展の時にも感じたのだが、空調や、照明が、仏像を痛めることになりやしないかと、ちょっと心配になる。
金堂再建も佳境に入ってきたようだ。資金集めもたいへんなのかな?
いやぁ。今年の正倉院展も見逃せないのでは。
蛇足だが、新幹線で、謎の老人に会った。往復はがき100枚ほどを、一所懸命折っている。宛先を見ると、紅白歌合戦の観覧応募はがきだった。紅白歌合戦を観覧するには、これだけの投資が必要なのか。葉書代、1万円!このおじいさんに、ジャニーズ系歌手は、似合わない。