ちょうど、インテリジェンス 武器なき戦争という本を読了したところだった。この本は、平易にかかれているし、NHKで、御馴染みの手嶋氏との対談だから、佐藤氏の一方的な論理に基づいた内容でもないということで、すんなり読める。皮肉にも、9.11以降、イラク、北朝鮮、そして、今回のロシアスパイの怪死の問題等、インテリジェンスの存在・重要性が、クローズアップされている。
インテリジェンスは、昔の言葉で言えばスパイ。戦前までは、高かった日本のインテリジェンスのレベルは、戦後、アメリカへの国防の依存度が高まり、急低下した。ただ、個人技で、きらりと光るヒットは、多くあった。佐藤氏は、その個人技を持った人だった。手嶋氏も、その個人技を持った人だったが、NHKの現役時代は、ジャーナリストとしての、顔を持っていたので、その能力は表に出さなかった。
この本によると、秘密情報の98%は、公の情報を再整理するだけで、得られるという。ということは、組織を作れば、情報取得はかなりのレベルで可能ということだ。
例えば、北朝鮮について言うと
①核クラブ(既核保有国)は、北朝鮮をメンバーに加えることはない。
②インテリジェンス・コミュニティでは、北朝鮮が、ミサイル、核を手放す可能性はないと考えている。
③核クラブとイスラエルは、北朝鮮からの核の第三国への移転阻止を最大の目的にしている。
④核クラブは、北朝鮮との対話に踏み切り、それを通じて、金正日政権に隙間をつくりだそうとしている。
まさにその通りではないか!
某党元党首のガセメールつかませれた事件は、記憶に新しいが、インテリジェンスの世界から、見ると、最低レベルのお粗末事件らしい。そりゃそうだ。
最後の方に、ユダヤ人のビザ発給を行った杉原氏の話が出てくるが、彼も超一級のインテリジェンスだったそうだ。ビザ発給は、もちろん、当時のルールを破った行動だったろうが、今は、シンドラーズリストの影響もあり、美談化されている。もっとも、この美談を、故意に、盛り上げようとしていた向きもあったらしい。
シカゴの先物市場の中興の祖であるメラメッド氏や、クリントンを窮地に陥れたモニカ・ルインスキー氏の祖父も、杉原氏のビザで生き延びた人なのだそうだ。
私も、インテリジェンス的な動き方ができれば、もっと違った人生を歩んでいただろうに?? 素質も必要なのだそうである。私には、その素質はない!!某党元党首のタイプである!?
世界情勢、外交に興味のある人は、必読の書ではないか。
日本にインテリジェンス組織の必要性を感じさせる書でもある。アメリカ型とイギリス型があるそうだ。
日本国民がバカを見ないために。