かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

フランク・ロイド・ライト

2007年07月31日 | Books

未完の建築家 フランク・ロイド・ライト”という本を読んだ。

私が、ライトの名を知ったのは、学生時代、愛知県の明治村に行って、帝国ホテルの移築された姿を見た時だ。随分みすぼらしい印象があったのだが、この本を読むと、まだ移築作業の途中だったようだ。この帝国ホテルは、ライトの復活期の建築で、横浜が壊滅した関東大震災を乗り越えたこともあり、ライトの評価を不動のものとした。

その後、シカゴに住む機会を得て、シカゴ近郊のオークパーク(ライトの初期の作品が多く残されている)でのツアーや、ウィスコンシン州のスプリング・グリーンにあるタリアセンに、訳もわからず行ったのが、今や、貴重な思い出になっている。この本には、パーマーハウスホテルなど、シカゴにある有名な建物の名も多数出てくるので親しみがわく。

ライトの作品というと、落水荘(家の下を滝が流れる)や、グッゲンハイム美術館(建物全体がらせん状になっている)が有名だが、実現しなかったものも含めて、極めて多数の作品が今も残されている。それだけでも、膨大な量なのに、彼の私生活や、金銭感覚は、さらに超人的だったようだ。タリアセンの悲劇(精神異常者に、家族を皆殺しにされた)は、たまたまタリアセンに行った時に知ったが、それに負けず劣らずの荒波が(彼が自分で引き起こしたものも含めて)、何度も訪れては、それを彼は、乗り越えてきた。
彼の人生と、彼の作品についての部分のバランスが絶妙で、平易に書かれているという点で、建築に興味のある人にもない人にも楽しめる内容になっている。

彼の作品は、その土地や時代にあった、独創的なデザインが特徴。時々の最先端の技術や、無理なデザインの建築を、完結するかもわからぬまま着工するので、工期や、コストは、ほとんど無茶苦茶だったようだ。それに耐えられるパトロンがいる時はいいが、いない時は、当然ひもじい生活を強いられた。デザインは、本当に、すばらしい。内装や、調度類も含めて。

晩年には、シカゴに528階建ての、1マイル(1.6km)ビルを建てる構想を持っていたという。夢と現実の境界がほとんどないような感じで、人生を送られた方だ。

今ドバイでは、とんでもない高層ビルが建設されていると聞く。どんなビルになるのか。
凝った建築は、実用性からは、問題があるというのが常識。都庁ビルなどが典型だ。ライトの建物も、建築段階からトラブルが多く、その耐久性にも、問題があるものも多かったようだ。でも、その評価は、高まる一方だ。

建築は、芸術作品なのか。いろいろ考えさせられるが、読者は、ライトの破天荒な生き方に、まずは驚かされること、間違いなし。亡くなってからも、ある原因によって、翻弄される(読んでのお楽しみ)。

ハチャメチャで、派手で、天才と呼ばれるような人生を送りたい方にお勧め。

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The Traveling Wilburys その2

2007年07月30日 | The Beatles
選挙結果は、正直予想通り。個人的な感想は、安部首相の理想はわかるが、その前の基礎ができていなかったということかと思う。
TVで、塩爺が行っていたが、致命的だったのは、内閣組閣時の人事。基本的なチェックが甘かった。塩爺は、マスコミのことも言っていたが、全て、この人事を根っこにした緊張感のなさから、発生したものだと思う。近い内に組閣があるだろうから、基本的なチェックをしっかりやった上で、能力のある人を選んで欲しい。最悪、またミス人事をしたら、ばっさり交代させて欲しい。
国民(含む法人)は、自分の払った税や年金が、きちんと使われることを絶対求めるし、それがなされていないと知った時、許しはしない。
国民(含む法人)にとっては、金が、ちゃんと正しく、(政治家や、官僚や、準官僚に)使われているかが(最低限のこととして)一番重要。その上で、国がやるべきことを、推進して欲しい。景気がまだぱっとしない地方の方々には、その気持ちがより強いと思う。

週末にThe Traveling Wilburys を、聴いて、見た。流石、全英で6週連続TOP3を維持しているだけのことはある。本当に楽しそうに、かつ自己満足に陥らず、皆を楽しませようという精神に満ち溢れている。ジョージとその仲間達が、20年近く振りに、ふっと(あの世から?)現れた感じだ。
このメンバーの内、一人にでも興味のある方は、必聴、必見と思った。

ちなみに、メンバーの正体は、

Nelson Wilbery → George Harisson
Lefty Wilbury → Roy Orbison
Charlie T. Jur. → Tom Petty
Lucky Wllbury → Bob Dylan
Otis Wilbury → Jeff Lynne

である。

DVDでは、ドラムのJim Keltner が、Buster Sidebury と紹介されているが、正式クレジットされないで、この不思議(考えようによっては失礼な名前)な名で紹介されているのは、より親密である証(あかし)か。

ジョージの人間性、音楽性、サービス精神、改めて感服した。時代を超越している。

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恋するフェルメール

2007年07月29日 | Books

昨日のサッカーは予想通り、締まらない感じ。全体としては、悪くはないのだが、決め手に欠ける。ただ、まだまだオシムサッカーはこれから。今回の敗戦を糧にして欲しい。
セリーグも混セになってきた。絶対的な贔屓のチームがないというのは、気楽でいい(ちょっとずるい感じもするが)。

恋するフェルメールという本を読んだ。有吉さんというちょっと変わった経歴の方が書いた本で、フェルメールの絵を全部見ようと、世界各国を旅行する本(全点踏破という別の本も去年出た)。フェルメールは何せ世界で、36点しかないことになっており、内1点は盗難にあって行方不明だから、35点を全部見れば、制覇したことになる。
絵は、その6割以上が、ヨーロッパにあるから(亜細亜には、一点もない)、ヨーロッパ渡航経験2回の私には、そもそもチャンスが少なかったし、知識の無さもあり、内何点見たのかわからない。筆者も、そんな状態からスタートし、はまっていったようだ。庶民的に、主観的に書かれており、読みやすい。ミーハー的ですらある。私小説的な部分もある。2006年12月に見た”遣り手婆”で達成したというから、出来立てのホヤホヤである。

フェルメールといえば、やはり、”真珠の耳飾りの少女”。映画にもなった。この青は、ラピスラズリというアフガニスタン原産の石からできる顔料で、フェルメール・ブルーとも呼ばれる独特の色だ。ちょっと前に、修復され、色が明るくなって、当初やや違和感があったが、今は、もうこちらの修復後の絵が当たり前になった。一万円の図書券を買うと、その図柄にも使われている。

もう一点あげるとすれば、フェルメールが一生(43年間)住み続けた”デルフトの眺望”。今も、変わらない町並み、風景が広がるらしい。土地への愛着と、時間の普遍性を感じさせる絵だ。どちらも、オランダのマウリッツハイス美術館にあるから、フェルメールの絵の探索は、やはり生涯住み続けたオランダからスタートするのが、正道だろう。

最後にベルリンの至宝展と、ドレスデン国立博物館展の話が出てくるが、ここのみ私の経験と重なる。私は、何となく見ているが、筆者によると、すばらしい展覧会だったのだそうだ。メトロポリタン美術館にも、何度か行っているのだが、所蔵のフェルメールの作品を全部見たか、定かではないのが情けない。"窓辺で水差しを持つ女”を見たのは、間違いないが。筆者のいうように、大きな美術館に行く時は、テーマを決めて、何度も足を運ぶのがよい。そういった意味では、シカゴ博物館は、印象派の絵がなんと言ってもよく、わかりやすかった。



これは、ドレスデン国立美術館展で見た”窓辺で手紙を読む女”。ただの絵葉書だが、絵の雰囲気は伝わってくると思う。光の使い方が、絶妙で、意図的かどうかはともかく、絵のストーリー性が感じられるのだ(筆者は、物語性の功罪を本書で論じている)。

この秋来日予定の、”牛乳を注ぐ女”は、絶対見るぞ。

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横浜 北仲地区

2007年07月28日 | Yokohama ( Japan )

今晩は、インドネシアのパレンバンで、韓国戦。
決勝戦だったらよかったんだけど、相手が韓国だから、次のオリンピック、ワールドカップ予選を想定して、貴重な経験を積んでもらいたい。勝っても負けてもいいけど。
でも、なぜ、パレンバンなんだろう?シンガポール駐在時代も敢えて行かなかった。産業は、ゴムや、パーム椰ぐらいしかなかったんじゃないかな。せめて、インドネシアなら、ジャカルタでやって欲しかった。観客は、ちゃんと入るのだろうか。
バグダッドや、ピョンヤンでやるよりは、いいけど。



今日は、野暮用で、横浜と銀座に行ってきた。これは、横浜の北仲地区。かつての倉庫群で、なぜか、Mビルと地場の業者が入手し、再開発計画が(たぶん)決まっている。海をはさんだ向こうの新港地区、みなとみらい地区に負けない複合施設を作るらしい。高層ビル建設も計画されている。
今は、昔の倉庫群が、芸術家のたまり場になっていて、これも、また横浜らしくていいのだが。
この蔦が覆う帝蚕倉庫の姿も、そろそろ見納めになるのか。



銀座では、岡本太郎さんによるものと思われる塔に遭遇。ただ、周りが、イマイチで、パッとしない。

明日は、いよいよだな。アメリカの株も総崩れだし、結果によっては、月曜はたいへんそうだ。

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What is Human History ? 大英帝国という経験

2007年07月27日 | Books

某大臣が、領収書の問題で、また話題になっている。どんな人物かは知らないが(報道で見る限り政治家には向かないように見える)、一般企業だったら、もちろん首。首に出来ない社長も、世間からの糾弾を浴びる。首にしても、その社員のプライベートな素行までは社長は事前に調べきれないから、この程度で、社長の任命責任はない。どうだろうか。もう明後日になった。

世界史を復習すべく、講談社の興亡の世界史というシリーズを読もうと意を決して、買ってはいるのだが、まだ、積読(つんどく)。やっと、一冊読んだ。
ヨーロッパの歴史など、高校時代以来だから、とっつきにくいが、ひじょうに面白い。受験時代に勉強した世界史とは、ちょっと違う味わいがある。

最初に読んだのは、大英帝国の話。感じたのは、やはりイギリスは、国として大先輩だということ。近代国家としての、成熟度が違う。アメリカに独立されてから、アフリカ、アジアを植民地化し、君臨した。もちろん、今から見れば、ひどい話なのだが、その負の歴史を直視できる大人の国だ。
日本は、急に近代国家になったが、その辺の詰め込み教育の後、第二次世界大戦の大敗北で破綻したから、その後の対応方法がわからず、結局60年以上経っても、非難され続けている(ように思う)。

この本で見つけた、こぼれ話をを少々。

☆ アメリカの独立は、アジア・アフリカの現地人による独立と違い、アメリカ植民地人による、イギリス(祖国)からの独立だった。ちょっと違っていれば、アメリカは、イギリスの一部であり続けた。アメリカ植民地人の考え方の変化が根っこにあり、当時のフランスの動きによりはずみがついて、独立することになったということらしい。

☆ 奴隷貿易は、イギリスの歴史における大きな汚点だが、ターナーの絵(ボストン美術館にあるというから、私も見たのかもしれない)にも、荒れ狂う海の中で、奴隷を投棄する様子が描かれている。そして、だんだん奴隷売買に対する考え方の変化が起こってきた。イギリスは、奴隷貿易の国から、博愛主義の帝国、自由主義の帝国、苦境に陥った現地人を救済する帝国に変貌していったのである。シンガポールで、感じたイギリス人像は、後者であった。誤った過去の制度に対する謝罪の方法についての議論も、堂々と行われている。

☆ ジョージマーチンのスタジオがあることで有名な、カリブのモントセラト島は、奴隷を労働源とした農園の島だった。

☆ イギリスは、紅茶で有名だが、元々は、他のヨーロッパと同じく、コーヒーも人気があった。ただ、コーヒーは男の飲み物というイメージがあり、女性から反対運動が起こった。高価だった紅茶を、インド、スリランカでシーズナブル価格で生産できるようになり、紅茶が優勢になるに至った。

☆ 大英博物館は、まさに博物館の走り。当時、ミステリアスなエジプトミイラが人気を博したこともあり、様々な逸話が残されている。トーマス・クックは、エジプト旅行を大衆化し、近代観光の父と呼ばれた。

☆ フーリガンという言葉の発祥もイギリスだが、その語源については、定説がない。アイルランドのゲール語が起源らしい。ただ、この話も、フーリガンなどという野蛮なものは、イギリス本家のものではないという意識が作用している可能性がある。

ということで、近代世界は、やはりイギリスを中心としたヨーロッパ起源であることを再認識させられた。単なる歴史書ではなく、いろんな観点から、素人にも興味深く読めるよう工夫されていると思った。

イギリスが残した最大の負の遺産は、現在の中東の混迷であるということも、再認識した。イギリスのイラク戦争へののめりこみようも、この負の遺産への償いの気持ちと無縁ではあるまいと感じた次第。

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