本書は、AMAZONの古本で、タイトルだけ見て買った。とんでも本ではないかと思って買ったが、とんでも本だった。
まず出版社が怪しい。第三書館という出版社だが、中の本の宣伝は、ドラッグカルチャーシリーズ。1992年の本だが、当時だから、ドラッグに甘い世界だったということはないだろう。
作者が怪しい。おきひかるさんという方だが、大谷大学大学院の修士様だ。でも、アメリカ、インド、ネパールを放浪し、著述業、サイコセラピスト、百姓が職業とある。
この、幼稚か、サイケかわからない絵も、氏が描かれたらしい。
話は、いきなりダンボ。ダンボが空を飛ぶ体験こそ、トリップそのものという。本人の経験談もリアルだ。
LSDの初体験は、サンフランシスコだそうだが、その時の体験は、こう表現されている。
「まず、最初に起こったことは、部屋の中にあるあらゆるものが、物質としての結び目をほどいて、エネルギーの次元に還りはじめたことです。タンスが角の方から虹色の光の粒子とななって溶け始め、エネルギーのさざめきに還ってしまいました。ベッドのシーツが、色とりどりの文様に揺らめき、絵具が解けるようにして、エネルギーに還ってしまいました。そのとき、私は一瞬にして、あらゆるサイケデリック・アートがどうしてあのような色彩と文様で、描かれていたのかを理解しました。また、チベット密教などに見られる極彩色のマンダラが、どうしてあのような色彩と紋様で描かれていたのかも理解しました。」
ドラッグ体験から、般若心経を読み解くのだが、これは、流石、大谷大学の修士様だけあって、しっかり書かれている。
マリファナ、トルエン、LSD、そして最近話題になったエクスタシーなど、いろんな薬を体験している。エクスタシーは、当時、一番安全なドラッグとされていたようだ。先般、とんでもない事件が起こったが。
ビートルズについては、サイケの時代の話かと思ったら、Let it Be だった。
「自分の生命をにぎりしめる手に力をこめて、何かを守ろう、何かを成し遂げようとするのではなく、ただただ手を放して流れに身を任せること。しかも生きるか死ぬかということすら預け切ってしまうこと。」
「あるがままの、ただ今ここに生きて在ることの、エクスタシー!」
怪しいばかりだけの本でもないようなのだが。