かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

波乱の時代

2008年12月31日 | Books



今年も、暮れようとしている。2008年は、このアラン・グリーンスパンの書の題名が表すように、”波乱の時代”の幕開けの年だったように思う。

ちょうど、グリーンスパンが自伝を著したところに、このサブプライム問題が表面化したのだから、皮肉なものだ。それまで、この問題は、まだ文字通り”サブ”で、表面化していなかった。

そして、その後、急遽著されたのが、本書だ。しかし、本書の書かれたタイミングもやや早すぎたようだ。従来もいろいろバブルがあったが、その延長上での議論されているようにも見える。
ただ、その後の展開を示唆するようなフレーズも各所に見られ、この大変動の予想もある程度はされていたようだ。

リスクが割安に振れすぎていたという認識はあった。であるから、その揺り戻しが来ることは予想できた。ただし、高リスクのポジションを積み上げていっても、大洪水が起こる前に解消できると考えていた。そしてほとんど(いや全員と言ってもいい=かねやん注釈)の人が間違えていた。
もちろん当局としては、手綱を締めることによる景気後退も望ましくなく、かつ、インフレも、コントロール不能なほどひどくはないということであれば、グリーンスパン以上のコントロールをできた人は、いなかったろう。金余りの中、証券化商品の金融における比率が肥大化し、そのリスクの増大の程度の把握が、難しかったことも、対応が遅れてしまった一因だろう。
そういった意味で、この証券化の行き過ぎが、とれないリスクを皆とってしまった(とれてしまった)原因であることは、間違いない。

「危機が解決したときにあらわれてくる世界は、経済という面でみて、わたしたちが慣れ親しむようになってきた世界とは大きく違っているのではないかと思う。」と、グリーンスパンは本書で語っているが、その解が、2009年中に果たして見えてくるのだろうか。

I wish you a Happy New Year !!

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タタ財閥

2008年12月30日 | Books

tvレコ大が50周年ということだ。私の人生と共に歩んで来たようなものだ。懐かしの歌手も出ているし、懐かしの映像もたっぷり放映されている。スターは、いつまでたってもスターだなと感心している次第(まだ放送中)。
紅白の放送の前に、かぶりついて見た時代が懐かしい。今も、紅白よりは、ちょっと面白いかな?



原宿のGET BACK さんに久し振りに行ってみた。閉店してしまうのだそうだ。こちらは、1982年開店だったから、私の社会人生活と共に歩んで来たようなものだ。当初は、海賊版をたくさん扱っていて、特に、入手困難な映像ソフト(ダビング物で画質は悪かったが)は、今も私の宝物になっている。
今日は、このイエローサブマリンのBEARBRICKを買ってみたが、これは、日本製のオフィシャルグッズである。イギリスでも人気で、結構いい値段で取引されている。日本製と言えば、最近人気のCDの紙ジャケも、日本製が圧倒的な人気だそうで、以外なところにも、日本の物づくりの技術が生かされている。
GET BACKさんは、通販では商売は、続けるそうなので、これからもいい物を仕入れて、ファンに提供してもらいたい。



タタ財閥と言えば、知る人ぞ知るインドの企業グループの中でもトップグループ。インドに行くと、TATAのトラックばかり目につく。今回テロにあったタージマハルホテルのオーナーでもある。しかし、その実態は必ずにも明らかではなかった。
本書は、その実態に少しでも近づくべくチャレンジした本で、今手軽に入手できる本の中では、一番よくできている本ではないか。
TATA家は、ゾロアスター教徒で、収益の一部は、ヒンドゥ教でない彼らを受け入れてくれたインドへの感謝の気持ちを込めて、必ず還元している。
鉄香A自動車、エネルギー、ITと、手広く事業を行っているが、最近は、自動車のNANO(30万円ぐらいの乗用車製造販売プロジェクト)が、躓いたころから、あまりいいニュースがない。TATAグループの象徴的ホテルが、今回のテロの標的になったが、まさに逆恨みというものだろう。

今回の金融不況反転のカギは、アジア、特にインドや中国など潜在力の大きい国の立ち直りがキーになっていると思う。踏ん張って欲しい。


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強欲資本主義 ウォール街の自爆

2008年12月29日 | Books


早くも、年末が近づいてきた。現役世代にとっての、今年の一番のニュースは、米国発の金融危機、経済危機だろう。本もたくさん出た。たくさん出た本の中で、一番具体的にわかりやすいと思ったのは、この”強欲資本主義”だ。
タイトルは、ちょっとどぎついが、中身は、極めてまともで、かつわかりやすい。

過去5年以上に渡って続いた景気拡大は、アメリカの浪費によって支えられてきたもので、決して世界経済がまともに成長した結果ではなかったのだ。そして、今、本来のゼロ成長時代にあっという間に戻った。意図してこんなバブルが引き起こされたわけではないが、短期収益に追われる金融(特に欧米の)業界が、経済全体を振り回した、結果的に引き起こしてしまった悲劇だ。

本書の結論は、

日本に課された課題は、現実を直視し、アメリカの子分であることも止め(子分であるということは、従属するとともに面唐ゥてもらうことでもある)、身の丈にあった新しい生き方を見つけることはないだろうか。「ゼロ成長時代の生き方」、「ゼロ成長時代に目標とする新たな指標」、「何を以て成功とるすのか、その成功の定義」を自ら考え見出さなければいけない時代にいま我々はいるのである。

まさに、そうだと思う。
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ビートルズの謎

2008年12月28日 | The Beatles


ビートルズ本は、次から次へと暇もなく発刊されていて、付き合っていたら切りがないのだが、この本あたりは、気軽に入手できるので、ちょっと読んでみた。

なかなか面白い!
新たに発行される本、雑誌にすべて目を通していたら、書けるのかもしれないが、目の付けどころが面白い!ビートルズ研究を続けて、この手の本が書けたら、本望だろう。
ビートルズの物語については、ハンターディビスの伝記が、入門書とされていると思うが(私も中学時代に読んだ)、今となっては、かなり間違いがあることが明らかになっている。
ビートルズ自身やその取り巻きが、故意に、おちゃらけで、世間を惑わそうとしたことに起因する間違いもあるからやめられない。この馬鹿し合いが、たまらない。
本書の内容をちょっとご紹介。

1、レイモンド・ジョーンズは実在したか

レイモンド・ジョーンズは、ビートルズのマネージャーとなったブライアン・エプスタインが経営していたレコード店に、最初にビートルズのレコードを買いにきて、ブライアンがマネージャーとなるきっかけを作ったとされる人物だが、果たして、それは真実かウソか?

2、シタールは、どこからやってきたのか

ビートルズは、西洋音楽の世界に、インド音楽を最初に導入したミュージッシャンとしても功績を残しているが、何故そうなったのか。
この話については、かなり私も知っていた。

3、「ラバーソウル」vs「ペットサウンズ」 伝説の死角を検証する

サイケの走りとなった両アルバムは、どっちがどっちに、どう影響を与えたのか?

4、”ブッチャーカヴァー”回収騒動の真相

数々の写真の分析から、時間的な前後関係を明らかにし、常識のウソを見破った著者の慧眼に敬服。

5、「リボルヴァー」は、どうして“回転式連発銃”なのか?

これも、目から鱗の章だった。一般的には、この風変わりなアルバムのタイトルは、日本公演の際の(過剰)警備にあたった警官が、皆リボルバーを持っていたことから名づけられたと言われているが、真実は?
この章の、著者の研究と分析には、かなりというか、完璧な説得力があり、脱帽だ。

6、「ホワイト・アルバム」限定番号は、世紀のペテンだった!?

これまた、脱帽の章。ローナンバーのホワイト・アルバムがとんでもない価格で取引されているが、実は、この番号は、通し番号ではなく、国別、製造工場別に、適当にナンバーリングされていたという話。これは、ペテンというより、ジョークと呼ぶべきだろう。当時、こんな形で、このナンバリングが重要になるとは、予想されていなかっただろうから。そのおちゃらけでできたナンバーによって、その価値が、千倍は違う。

7、映画「レット・イット・ビー」を巡る謎と推測

確かに、あの映画、特に、アップルビルでの屋上ライブの映像には、謎が多い。この本を読んで、ますます謎が深まった感じ。

8、ビートルズ解散劇の舞台裏

知らない話もたくさんあった。知ってる話も結構あったけど。

ということで、たくさん楽しめる。
その他にもいろいろ小話盛りだくさんで、ビートルズファンは、必読か?

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国力論

2008年12月27日 | Books



今日は、今年最後のゴルフだった。不調は、続いているが、天気が思いのほかよかったので、楽しく回れた。お天道様に感謝。

”国力論”という本は、何かの書評で、褒めていたので読んでみた。
知らない学者の話がたくさん出てきて、失敗したと思ったのだが、読み進む内に、今巷で学問とされている経済学は、学問でも何でもなく、時々の政治、ナショナリズムを正当化するため、もしくは、それを背景にしてもっともらしく論理展開しているだけで、実は、経済学という独自の学問としては、まだまだ発展途上、もしくは、学問とも呼べる代物ではないのではないかという気がしてきた。

その証拠に、今まで、登場したさまざまな理論は、政治に利用され、ナショナリストに利用され、そして、それが変わると、経済学でもまた新たな学説が台頭する。そして、それは、進歩というよりは、退歩したり、まったく違う論理世界を形成するのだ。
そして、この本が世に出た後、奇しくも、このサブプライム問題で、また今までの経済学は、出直しを迫られている。

印象に残ったフレーズを、備忘のために、羅列しておく。

幼稚産業や、後進国が、その不利を克服するために、国家介入によって自らを保護あるいは振興することは、正当化しうる。ただし、その保護あるいは産業振興は一時的であるべきであり、かつ幼稚産業や戦略的産業に限定されるべきである。一定の発展段階に達した産業や戦略的産業と言えない産業の発展にとっては、自由貿易は好ましいものになとなる。つまり、国内市場を開放するために国際経済と、国内経済との間を調整する国家の能力が必要なのだ。(リスト)

国家政策の目的は、個人の経済厚生の向上や、資源配分の効率性ではなく、ネイションの力の形成、維持あるいは増進にある。経済政策のターゲットは、国富そのものではなく、国富を生み出す原泉である国力に向けられるのである。経済は、独立した自律的なメカニズムをもつ一領域でなく政治、社会、文化と密接に関連しているもであるからして、経済の理解とは、社会そのものの解釈を必要とするものである。経済発展にとって特に重要な社会的条件とは、国民統合である。国民統合によって生み出される社会的な力が、大規模な国内市場を用意し、経済発展を可能とする。(ハミルトンとリスト)

ネイションは、一種の共同体として理解される。対照的にステイトは、強制力、法の支配または権威といった様々な手段によって人民を統合する政治的な団体である。重商主義は、ステイトの財政学であって、ネイションの政治経済学ではない。したがって、経済ナショナリズムは、ネイションなきステイトにおいては、存在しない。(リスト)

経済研究の対象あるいは経済政策の目的は、国富そのものよりも、国富を生む国力の増進にある。経済発展は、人間や社会の能力の発展として理解されるものである。そのため、経済の理解のためには、社会全体の包括的で総合的な解釈が必要である。経済発展とネイションの力は、お互いを強化する関係にある。経済の発展と産業の多様化は、各産業間、地域間そして生産者と消費者の間の相互依存関係を深め、ネイションの社会的統合を促す。人や物の移動やコミュニケーションの活性化がそれをさらに強化する。そして、統合し、安定したネイションの下では、自由な秩序が保たれるが、それは経済発展に不可欠な条件である。(ヒューム)

重商主義であれ、経済自由主義者であり、その関心は、富の相対的配分のあり方にある。それを、「ゼロサム」とみるか、「ポジティブ・サム」とみるかという点は、違うが、富の配分のあり方を分析対象とする点は同じである。経済自由主義と重商主義のもうひとつの共通点は、両者とも、「ステイト」と区別される「ネイション」の概念を持っていなかったことである。

(切りがないので、ずずっとスキップして)

国事を悪用したり、思いつきの議論や思想を信用して実験を企てようとしたりすることは、時代の重要事項を重視する賢明な行政官が決してやってはならないことである。そてひ、仮に、公共の善のために何らかの改善措置を施そうとする場合すらも、新たに行う事項は、可能な限り古代からの社会構造に合うように調整すべきであり、国体の主要な柱を梁は、そっくりそのまま保守しなければならない。 (ヒューム)

我々は、日本の国柄(ナショナリテイ)を保守するための改革を実行しなければならないのである。それがなぜ望ましいのかなについては、本書が、近代西洋思想史における経済ナショナリズムの解釈学的な考察を通じて、明らかにしたはずである。(著者)





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