続き。練習に関してはここ最近は「言わない」ようにしていました。技術的な部分も含めて。本当に求められているのかというところもあったので。
が、「前に進む」ためにこちらもある程度のイニシアティブをとる必要があるなと感じました。「選手なりの一生懸命」で何かをやっていってもロスが大きくなる。それをどうするか。個別な話もしますがこの日は意図的に「何をするのか」を徹底することに。暑いので休憩をはさみながらの練習になります。それだけ練習時間は長くなる。もちろん、意図的に長くしているという部分もあるのですが。
基本的なことをやってからスイッチング。さらにスイッチングラン。スイッチングランに関しては一昨年までかなりやっていました。動きが作れない選手が増えてきたので取りやめていました。が、やはり「走りの中でどのように動かすか」というところを考えるために「再導入」です。もちろんできません。説明をしますし、動画も見せます。その中で「何を意図しているのか」「何が目的なのか」が分かるかどうかは大きい。「やろう」とするかどうかも大きく影響します。
更にはそこから「バトン」について。これまでも何度も説明をしてきました。が、結局「できていない」のです。なんとなくやっている。「10バトン」にも「25並走」にも「狙い」があります。その「狙い」が分からずに「渡せばいい」と思っている選手もいます。これでは「バトンで稼ぐ」というのではなく「負けるためにやっている」感じになります。
理由も含めて説明。できなかったら「やり直し」という形にしました。このような「罰」の意味合いを持つ練習はできればしたくない。とはいえ、「ミスはできない」という感覚を持たせる必要もあると。狙いを理解しているかどうかも大きく影響してきます。
「合流走」も。この日はマークの位置を「5m」にしていたようです。これはでは「競争」にはなりません。考えるべきです。「合流走」は「追いかける者」にも「逃げる者」にも意味があります。単純に走っていけばいいという話ではない。スピード曲線を使って説明を何度もしています。どのような意識で走るべきなのか。重要だと思います。「分かっているだろう」ではなく「徹底していく」というところに戻ろうかなと。ここは得意なので。
暑いので種目を削りながら。久々に瞬発系シャフトを。これもここ最近はやっていませんでした。ショートスプリントの向上を目指すためにはこの部分は必要だと思っています。身体の使いかたや力の出し方を覚えるためにどうするか。ここに組み合わせてハードルジャンプも。練習には「段階」があると思っています。前やったことをどのようにつなげていくか。単純にやるだけではなく「走りにつなげるため」にどうするか。これを考えていくのが我々の役割だと考えています。
90mを走って最後に60バトン。走る量としてはそれほどではありません。が、暑いので時間がかかります。集中力も切れてしまう危険性があります。それであれば「量」をもっと減らしておけばいいのではないか。それもあると思います。
例年であれば夏には「夏季合宿」を行います。今年は宿泊を伴う練習などは極力避けたいということもあり実施しません。他校との合同練習さえもやっていません。単独でやるというのはしんどい。他校の選手の力を借りながらチーム作りをしていくというのもあります。が、自分たちの力で超えていく必要性がある。今回はそこだと思っています。単独でどこまできちんとできるか。
練習中に気になっていることがありました。チームをずっと引っ張ってきている選手の表情が曇っていました。元気もありません。練習中はあえて話をせず。終わってから個別に話をしました。「これまでできていたことができなくなっている」ことに対しての感情が大きくなっていたようです。間違いなくかなり力がついているという状況でした。色々なことが重なり自分の力が出せなくなっています。それがあるだけに「苦しい」のだと思います。
が、「乗り越える」必要があります。これも3年生が最後に「感情のコントロール」というのを言っていました。ここができないと「良い練習」はできないのです。間違いなく「負のスパイラル」にはまっています。「できない」のでそれに対して考える。「苦手」を克服しようとして時間をかけるが「できない」のでさらに気持ちが下がる。それによりまた「できない」になり落ちていく。ここを抜け出せるかどうかは「自分次第」だと思っています。もちろん力は貸します。が、最後は自分自身です。
力がついている。それは間違いない。が、去年のような走りができない。正確にいうと「春の走りができない」のです。ここが苦しくなっている原因。できることを増やしていって元に戻すしかない。技術的な部分もありますがそれ以外の要素も大きい。そうであれば「乗り越え方」を身につけなければいけません。
本当に一生懸命にやる選手です。この姿を見て多くの指導者が「応援したくなる」と言ってくれます。だからこそ「超える」ということが必要です。過去の自分をどのように超えるのか。「前はできたのに」と言っていても何も進みません。そうであれば「何をするべきか」をもっともっと理解するべきです。日誌も見直す。そうやって「何が必要か」を見直す。
選手に寄り添いながら。そう思っています。「本気でやりたい」と思う選手に対してはこちらも最大限のことをやるつもりです。それが今の職業だと思うからです。求められないことに対してこちらがイニシアティブをとる必要はないかなと。
進みたい。進ませたい。強くそう思います。