悟浄出立
中国の有名な古典を題材にした
短編集になっています。
中国古典をモチーフに、
その古典に登場する
「脇役」だった人に焦点を当て
それぞれの古典の中の登場人物の抱える
悩みや鬱屈した心情が書かれています。
中国古典の世界を味わうことが出来ました。
「悟浄出立」
表題作になっている作品です。
西遊記の沙悟浄の葛藤。
これはいつもの万城目さんっぽい作品。
「趙雲西航」
三国志の趙雲の望郷の想い。
「法家孤憤」
始皇帝の暗殺を謀った男、
荊軻と読み方が同じの京科。
二人の出会い。
「虞姫寂静」
虞美人の命を懸けた舞。
潔さに胸が打たれました。
「父司馬遷」
司馬遷のことはネット検索しながら
読みました。
失望の中にいた父は
書くことを勧める娘の愛に救われます。
遠い昔の物語が、
作者によって蘇ります。
それぞれが切なさを伴い、
哀しみが余韻として残る、
静かでしっとりとした
物語になっていました。
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