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花ごよみ

映画、本、写真など・

坂の途中の家  角田光代

2017-01-05 | 本 か行(作家)

坂の途中の家

裁判員裁判の通知が届いたところから
日々の暮らしに変化がもたらされていく。

みんなが同じ所で、
同時に話を聞いていても
心の持ち方によって、
それぞれが違う思いを持ってしまう。

裁判員に選ばれた主人公の里沙子は
被告となった女性に対し
自分を重ね合わして行く。


自分と被告の境目が見えなくなって
恐怖感を感じるようになってしまいます。

自分は本当に我が子を愛していたのか
自分に自信が持てず
心に猜疑心を抱えてしまいます。

審理に加わることがなかったなら
気づかなかった私ではない私。

蓋をしていた心の闇が
裁判員になったのを機会に
開き放たれてしまいます。

気分が落ち込んでいくような
重い物語でした。

ネガティブな方向にどんどん突き進んで行き
心に不安感が満ちてくる様子が
うまく描かれています。



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傷  堂場瞬一

2017-01-05 | 本 さ、た行(作家)

傷 (講談社文庫)

プロ野球のスター選手である石地孝哉が
わざと靭帯を切断され症状が悪化。

膝の手術を担当した医者を刑事告発。
しかし執刀した医師、高嶺は失踪。
所在不明となる。

若手刑事と社会部の女性記者が
事件の真相を追求する。

傷を持つ男たちの、
嫉妬、欲望にまみれた
球界が舞台の小説。

所轄新米刑事、青井由紀と遊軍記者、西潟理恵、
この二人がコンビとなって事件を追います。
青井由紀は男性ですが
ゆきちゃんと呼ばれています。

被害者、加害者の過去を調査します。
医者と関わり合った人物が徐々に
明白になってきます。

プロ野球の闇を垣間見たような物語。

青井の心の動きなどが
うまく表現されています。
事件の核心に近づくにつれ
青井の成長が見られます。

ストーリーは変化に乏しく
ハラハラする場面などはなかったです。



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