捜査一課調査官・倉石義男、
事件現場での初動捜査、
死者の発する声を読み取り、
捜査を的確に行う。
あだ名は『終身検死官』。
八編の短編からなる警察小説。
倉石という調査官、
各短編それぞれの登場人物の
性格描写もすぐれていて、
短編集ながらも内容の濃い物語です。
細微なことでも見逃さない、
倉石の確かな目、
被害者に向かう心ある目。
短編集に登場する人物は変わっていても
対する倉石のぶれない心性。
暗い感じのストーリーの中にあっても、
事件の被害者に接する、
彼の心はあたたかく、
優しさがこもっている。
特に印象に残った物語は「餞」。
悲しい女の心が涙を誘います。
テレビ朝日でドラマ化。
今夜から始まります。
倉石役には内野聖陽さん。
倉石をどういう風に演じるのか
楽しみです。
倉石という人間の魅力、
各短編の主人公達の巧妙な心理描写、
謎解きに至るまでの過程。
緻密な構成。
短編ながらも奥が深い物語でした。