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花ごよみ

映画、本、写真など・

永遠の出口  (森 絵都)

2005-07-22 | 本 ま、や行(作家)
 
あの頃の私、 
(永遠)という響きに
めっぽう弱かった。。。 
 
 
少女から大人にへと変化していく 
一人の女の子を描いている。 
 
思春期の心の動揺と成長を描いた物語。

ガラス細工のような少女の精神の危うさ、もろさ、 
でもしっかりと強く生きたいという願望。 

偶然が足下を狂わすことを経験していく。 

世間、大人との隔離感。
そして和解。 

他の人から見たらくだらないことでも
自分に取っては大切で、
周りが見えなくなる頃。

十代の心の不安定な心の動き。 
 
心の欠陥を繕っている仮面が崩れる恐怖。 

奥の方に閉じこめてしまった事柄も 
引きだされてきて、 
忘れてしまった過去が 
なつかしさを伴い、 
苦い思い出とともによみがえってくる。

読み始めると一気に読んでしまう。  
 
遠くなってしまった過去を 
思い出し共感してしまう。
コメント (2)
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最後の願い  (光原 百合)

2005-04-20 | 本 ま、や行(作家)
新しく劇団を作るための人材集めの過程で 
出逢う人達・ 遭遇する謎…… 
その中で一人ずつ魅力的な 
メンバーがそろってくる。 
 
連作短編集の形をとっているが 
長編といっても
いいと思います。 

人間の心理のミステリー。
人が行動を起こす、 
その行動の基盤となる心の動き
心理状態がうまく描かれている。 

細密な構成なので 
集中力不足状態で読んでいたら 
行為の端緒となる遠因が分からなくなり 
ページを遡って読み直さなければ 
ならなくなってしまいました。 

心の深奥の優しさがにじみ出ていて 
味わい深い物語になっています。

作者もきっと優しい人のような気がします


コメント (4)
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四畳半神話大系&太陽の塔 (森見 登美彦)

2005-03-25 | 本 ま、や行(作家)

トンチキな大学生の妄想が再び京都の街を駆け抜ける!!! 

4つの話が平行に進展していきます。
4つのサークルの選択肢が有る内どれを選んでいたら
どうなっていたかと思いながら・・・

いずれの話にも唾棄すべきまでと書かれている 
宿敵の、でも憎みきれない小津っていう 
ヘンテコな盟友が絡んできます。 
 
蛾を異常に怯える明石さんは
その恐怖を共有出来るものとしての
共感度、大 ! ! ! 

その他の登場人物も個性的で魅力一杯です。 
 
小さなクマのぬいぐるみも 
面白い場面で登場します。



 〔太陽の塔〕(ファンタジー・ノベル大賞受賞作)と 
まるで同一人物の様な 
主人公の日常は
究極のバカバカしさで
おかしいやら情けないやらで
なぜか悲哀感さえも漂わせてくる程。。。。 

前作「太陽の塔 」では切ないエンディングが
心にグッときました。 
今回はそこまでは行かないけど。。。

内容に反して文体は 
硬質で品格さえも感じられる。 
その落差も面白い。 

ばかばかしい内容と格調高い文体が
妙な調和を醸し出している。 


次作ははどんな方向に
進んでいくのでしょうか ? ?

また、おなじだったりして……




コメント (4)
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TVピープル (村上 春樹)

2005-03-17 | 本 ま、や行(作家)
          ◇TVピープル   

          ◆飛行機―あるいは彼はいかにして詩を読むように  
           ひとりごとを言ったか
 
          ◇我らの時代のフォークロア―高度資本主義前史

          ◆加納クレタ

          ◇ゾンビ

          ◆眠り

              以上の6作品からなる短編集(1990年刊行)
 
存在感のない自己、孤独、恐怖、 
生の不可思議などが作品全体を覆い、 
朽ちかけのベンチに座っている様な 
不安で落ち着きのない感覚に陥ります。 
 
心の隅っこに微妙に反応するフレーズの数々・・・
これらの世界は現実か?夢の世界なのか?
 
◆TVピープル
いくぶん小さいピープルが勝手にソニーのテレビを置いていく。 
変テコリンな情景が面白い。 
得体の知れない不安感が漂ってくる。 
 
◇眠り
作者特有の奇妙な現実と非現実の境目の
不思議な恐怖感が心に残ります。
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