JA5DBE の Coffee Break

DXの話、製作記事、etc. ・・・ 気の向くままにまかせて掲載しています。

PLC高速電力線通信

2006年11月14日 | その他

 PLC高速電力線通信の製品が松下電器産業㈱から発表され、12月には店頭に並ぶようです。
 既にPLCについては、短波帯の信号電波を屋内配線に流し通信を行うことについては皆さんご存知かと思いますが、具体的な製品ができあがり発表され、デモンストレーションがなされています。
その様子を紹介したHPをたまたま発見したので、見たところの感想を以下に記載します。

 仕掛けはPLCモデムを屋内のコンセントに差込み、親機と子機の認証を行えば、それぞれのモデムに接続したPCやルーター等と通信を行えるというものです。
 問題は、屋内配線の元になる配電盤あるいは、引き込み口にフィルター類(LPF他)が入れられて無いため、PLCモデムから送られる短波帯の信号が屋内配線および配電盤をとおして引込み線へ出て行くこと。また、逆に引込み線で拾う電波がPLCモデムへ誘導されることです。

 具体的に言うと、1kWで送信しているアマチュア無線局の電波が、お隣の電力(AC)の引込み線にRF電流を誘起(コモンモード)し、屋内電力線へも流れます。屋内電力配線に接続されているPLCモデムの親機~子機間は平衡ラインによる通信で、誘導は受けにくいようになっているのでしょうけど、そのPLCモデム間の通信に影響を与えることは十分考えられます。(そもそも電力線を平衡ラインと考えるのは無理では?)
 私の所では、現実にご近所のインターホンやパソコンのスピーカーにコモンモード誘導によるインターフェアが発生し、そのラインにコモンモードフィルターやバイパスコンデンサを使った対策を行ってインターフェアを止めています。このように1kW出力のアマチュア無線局の運用では、ご近所へのコモンモード誘導は避けることができません。
 当然お隣さんは、PLC高速電力線通信に関わる新たなインターフェアが発生した場合、アマチュア無線局に対して苦情を間違いなく言ってくるでしょう。

 逆に、電力線(AC)の引き込みにローパスフィルター類が無いことは、PLCモデムの信号が電力(AC)の引込線がアンテナとなり、短波帯のノイズとして近所にばら撒かれことにもなりそうです。
 このばらまかれるPLCモデムの信号レベルが高ければ、DXの弱い信号はノイズにより埋もれてしまうことにもなります。
 PLCモデムには、アマチュア無線バンドの周波数対するノッチフィルターを信号ラインに組み込んで対策をとってあるとのことですが、このようなトラブルが発生した場合の窓口が、まだ案内されていないようです。前記のようなトラブルが発生した場合、解決するには困難が予想され、当然その間は電波の発射を中止せざるを得ません。

 この場合、JARL経由で該当メーカーに対し連絡ルートはあると思いますが、PLC高速電力線通信が手軽で便利なだけに、これから先PLCが普及してくると、田舎でもトラブルが発生してくるのではないでしょうか。
 商業ベースの通信のほとんどはVHF~SHFへ移行し、船舶の通信も衛星通信が主となってきていますが、無線を使った業務の一環として法律上も認められている「アマチュア無線業務」が短波帯を良く使っており、世界有数のアマチュア無線局を有する中で本当に共存できるのか疑問に思います。

 写真は松下電器産業㈱発表のPLCモデムで、信号が使用する周波数帯域は4~28MHzと発表されている。

Hdplc

 冒頭私が見た、PLC高速電力線通信の機器発表をレポートしている三上洋さんの「ライター三上@仕事場」のアドレスは以下のとおりです。

http://www.sv15.com/

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする