日本裁判官ネットワークブログ
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 正月明けの三連休最終日の朝に見るにふさわしいDVDは何がよいかとしばらく考えて,少し前に購入した「王と鳥」というフランスアニメを見ることにした。宮崎駿・高畑勲両監督の原点ともされ,一昨年に「ゲド戦記」の裏で,三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー提供作品として高畑勲監督の翻訳字幕付きでささやかに公開された作品である(フランスでの公開は1980年)。
 最初のうちは,「フランスのアニメって,おしゃれね」などと気楽に,ヒットラーを風刺したとされる「王」(もっとも,私にはより近い国の人が思い浮かぶのだが)の愚行を笑い,「あれ,こんなシーン,宮崎アニメのどっかにありましたよね。」とニヤリとするのだが,終盤「鳥」が演説をするあたりから何やら雲行きが怪しくなる。そして,「えっ,これで終わりかよ」というエンディング。裁判員制度反対派には,「王」が守旧派刑事裁判官,「鳥」が高野隆弁護士や四宮啓弁護士,「下層市民」が被疑者・被告人に見えるのだろうなあ。「気をつけたまえ。この国は今こそ,罠だらけだからな。」という惹句は伊達じゃない。
 特典映像として,公開初日の高畑監督と爆笑問題・太田光氏(公式HPに掲げられた感想文を読めば,この人がただ者でないことを改めて感じさせられる。)の対談が収録されているが,これも必見。最近の高畑・宮崎両監督の微妙な関係性を知る者なら思いつくであろうことを,太田光が開口一番に言ってしまっている。こんなものを売っていいのか,スタジオジブリ。まあ,高畑監督としては,宮崎は「形」に触発されたが,オレは「精神」を承継した,と自負しているのかも知れないが。
 スタジオジブリ恐るべし。買うべし,見るべし。

 PS 現在は「動物農場」(あのジョージ・オーウェルの原作)が同じく三鷹の森ジブリ美術館提供作品としてささやかに公開されている。
(くまちん)


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