日本裁判官ネットワークブログ
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 明けましておめでとうございます。
 
 昨年はいろいろとお世話になり,ありがとうございました。今年も当ブログ及び日本裁判官ネットワークのホームページ(http://www.j-j-n.com/)をよろしくお願い致します。ブログやホームページは,今以上に内容の充実を図っていきたいと考えていますので,コメントやご意見をどしどしお寄せ下さい。お待ちしております。

 ところで,今日,拙宅に届いた年賀状には,法律家以外の知人名で,「いよいよ裁判員制度が始まりますね」「裁判員制度,がんばって下さい」「賛否両論ありますが,一度経験したいと思っています」「今年は,司法の世界が随分近くなるように実感しています」などと書かれたものがいくつもありました。様々な議論はあるのですが,年の初めに,今年という年を象徴するものだと感じざるを得ませんでした。

 いよいよ今年の5月21日から,裁判員裁判が始まります。同裁判では,沢山の裁判員候補者の方々が裁判所に来られ,裁判員6人(必要なら補充裁判員も)が選任され,裁判官3人と併せて9人が審理に臨み,有罪か無罪か,有罪ならどんな刑にすべきかを評議・評決します。そして,最後は,9人で判決言渡しに臨むことになります。今まで無かった光景が全国の裁判所で日常的に見られることになるのです。不安もありますが,裁判官と裁判員の方々の交流が日常的なものとなることは間違いなく,これを核として,裁判所,裁判官及び裁判所職員と国民の皆さんとの関係も新たな段階になるのではないかと感じています。

 ただ,裁判員裁判そのものに対する不安もさることながら,個人的には,心から憂慮していることがあります。それは,昨年12月27日の「今年の司法10大ニュース」の一つに掲げた昨年の司法の大きな不祥事に関すること,すなわち,下山事件で戦後8回目の弾劾裁判による6人目の罷免がなされたことや,京都家庭裁判所書記官が私文書偽造等で逮捕・起訴されたことです。後者に関しては,これから審理される予定であり,事実関係が判明する前に軽々に述べることはできませんが,報道されていることが仮に事実であるとするなら,前者と共に,国民の皆さんの司法への信頼を大きく揺るがしかねない出来事といわざるを得ません。裁判員裁判によって,上記のとおり,裁判所及び裁判官等と国民の皆さんとの関係が新たな段階になり,また国民の皆さんにも,正直,負担をお願いすることになるにもかかわらず,司法へ疑念が生まれるとすれば,残念極まりないものというほかありません。

 私は,司法を構成する一員として,微力ながら,国民の皆さんの司法への信頼を維持できるように精一杯努力したいと考えています。周囲の人にも,その想いを伝え,身近なところで具体策を協議・実行していくことが是非とも必要と思っています。それと共に,不祥事というものは,悩みやストレスとは無縁ではないのでないかという印象を強く持っていますので,職場での仕事には前向きでありつつも,悩みやストレスを吸収・解消することができる職場づくりのために,尽力したいと考えています。

 堅苦しい最後になったかもしれませんが,今年が,皆様にとって,よき一年でありますよう心からお祈り致します。(瑞祥)


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