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 中学生の非行事件を担当していると,少年や保護者から,学校の先生に対する厳しい批判,というより非難を聞かされることがある。
「あの先生は,私にばかり服装のことで細かい注意をしてくる」
「あの先生は,うちの子のことをちっとも理解してくれない」
 だから,少年は,「学校に行く気にならない」,「先生に暴力を振るってしまう」となり,不登校や非行の弁解,口実になっている。

 少年がそのような考えを抱いているとき,その保護者も同様の批判を持っている場合が多い。いや,むしろ,保護者がそういう考えを持っているから,子供が,自らの非を棚に上げ,教師に対する不満不平を前面に押し出すようになるというべきだろう。

 しかしながら,少なくとも義務教育の場では,教師に対するこのような批判は,子供の教育上決してプラスにならない 
未熟な子供への教育は,「教える側」にある種の絶対的権威が必要である。教えられる側が,教える人を,否定的にみてバカにし,特に人格批判が度を超し,その「教え」を受け付けなくなったのでは,少なくとも初中級教育は成り立たない。
 保護者は,子供の前で,決して教師の悪口を言ってはいけない。子供の教師批判に同調してもいけない。

 もちろん,学校側・教師側に非のあるときもあるだろう。保護者がそれを批判し是正を求めることが必要な場合もあろう(もちろん,自子主義からではなく)。しかし,その方法は,慎重に選ぶべきである。子供の目の前でそれをすることは最大限に避けるべきであろう。

 「オレ様化」することによって,教師の権威を否定する子供達が増え,これが教育現場を影を落とし,非行対処に困難をもたらしている。
 これは,「モンスターペアレント」「自子主義」とも関連しているのだ。   (蕪勢)

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