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民法900条3号の合理性は?

2008年04月03日 | チェックメイト
先週の「兄弟喧嘩をなくすには」の投稿に批判のコメントを複数いただいた。
確かに「知恵がない」という表現は良くなかったと感じられる。
ただ、この投稿の主眼は、結びの一文「しかし、いっそのこと、兄弟姉妹に4分の1の法定相続分を認めた民法の規定は廃止してもよいのではないだろうか。」にあった。
つまり、民法900条3号「配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。」という規定は(関連して兄弟姉妹の相続権について規定する民法889条の規定も)、そろそろ改正を考えてはどうか、ということである。
このような規定を合理的と考えて、法教育などで周知すべきという方向の意見ではない(一般論としては、法の周知が大切なことには、もちろん異論がない)。
被相続人に、兄弟姉妹しかいない場合であればともかく、配偶者もいる場合に、兄弟姉妹にも4分の1の法定相続分があるということは、現代では相当な違和感を生じつつあるのではないだろうか。「配偶者に全部相続させる」との遺言書を残す(兄弟姉妹には遺留分までは無いので、これだけで対策としては必要十分である。)ことによって紛争を予防しなかった被相続人の中には、想定外だった人が多いだろうと推察している。そうであったとしても、無理もないのではないか。
皆さんは、この点についてはどのように感じられているだろうか。
(チェックメイト)