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 長い間議論され続けてきた取調べの可視化については,検察庁が踏み出しましたが,取調状況の撮影結果をどう使うのかについて,相次いで報道がされています。弁護側も,自白調書の任意性・信用性の争い方について,新たなステージを求められるのでしょうか。以下,時事通信と読売新聞からです。

「DVDで真実明らか」=検察側が論告-保険金殺人・東京地裁
(時事通信)

 保険金目的殺人の共犯として殺人罪などに問われた元不動産会社社員山本俊孝被告(56)の論告求刑公判が19日、東京地裁(高木順子裁判長)で開かれ、検察側は、法廷で初めて上映された同被告の取り調べ状況のDVD映像について、「真実を語っているのは明らか」として、懲役30年を求刑した。
 山本被告は捜査段階で関与を認めたが、公判で否認。検察側は自白の任意性などの立証のためDVDを証拠申請した。
 論告で検察側は「映像と法廷での供述態度を比べれば、どちらが真実かは一目瞭然(りょうぜん)」と指摘。否認供述を「責任逃れの弁解」と非難した。 

取り調べDVD、公判前に弁護側へ提示…大阪の殺人未遂
(読売新聞)

 殺人未遂事件を巡る大阪地裁の公判前整理手続きの中で、大阪地検が先月末、男性被告の取り調べ状況を録画したDVDを弁護側に提供していたことがわかった。

 取り調べ映像が公判で証拠採用された例はあるが、公判前に弁護側に渡されるのは異例という。

 関係者によると、被告は大阪市内で同じアパートに住む男性を刃物で刺したとして殺人未遂罪で起訴。DVDには、検事が被告の供述調書を読み上げ、被告が「その通り」と答える映像が収められているという。


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 弁護士増員に反対の意見がでています。こうした意見がでるのは予想できまるのですが,法曹人口増は,司法制度改革審議会意見書の重要な部分であり,同意見書の全体像とも関わりますので,慎重な検討が必要でしょうね。以下,中日新聞からです。

弁護士増員に反対 中弁連に中部6県の有志が議案提出

 司法試験の年間合格者数を増やし、二〇一〇年には三千人とする司法制度改革の政府方針について、有志の弁護士グループが十八日、中部六県(愛知、岐阜、三重、福井、石川、富山)の各弁護士会から成る中部弁護士会連合会(中弁連)に対し、十月に開かれる定期大会で政府方針に反対を表明する議案を提出した。愛知県弁護士会では、今年二月に三千人増員計画の見直しを求める意見書を採択。中弁連でも可決される可能性があり、政府と方針をともにしている日本弁護士連合会との間でねじれが生じることになりかねない。

 提出したのは、同県弁護士会の司法問題対策特別委員会委員長の纐纈和義弁護士らをはじめ、中部六県の弁護士百五十五人。さらに約八十人以上が議案に賛成しているという。

 纐纈弁護士らは、定期大会は十月十九日に金沢市で開かれることから、出席者数は中弁連全体の約千四百七十人のうち二百人以下と推測。「議案賛同者のうち約百人は出席する見込みなので、可決される可能性も大きい」と話す。

 議案名は「適正な弁護士人口に関する決議」。「(弁護士増加で)就職できず、無給で事務所を使用させてもらう『ノキ弁』として働く弁護士がいる」と指摘。増加が続けば「自己の利益のために、原告が勝ち目のない事件で訴訟提起したり、法外な報酬を請求したりする弁護士も生まれかねない」と主張している。

 纐纈弁護士は「増加が続けば、過当競争が進み、これまで担ってきた公共的な役割を全うできなくなる。国民のためにも悪影響だ」と訴える。

 日弁連は一九九五年に「司法の機能充実や国民の法的ニーズにこたえるため」として、法曹人口の増加について賛成の決議をしている。



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