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毎日新聞で昨日、今日と続けて、交通事故との因果関係に関して報じられています。
昨日の朝刊の「論点」では、「脳脊髄液減少症」(髄液漏れ)と交通事故との因果関係について賛否両論が掲載されました。さらに偶然にも、その因果関係を認めた14日の横浜検察審査会の不起訴不当議決が社会面で報じられました。
今日の朝刊の社会面では、「線維筋痛症」と交通事故との因果関係を認めた10月の山口地裁岩国支部判決が報道されています。
さらに医学的に解明を進めてほしい問題ですが、裁判所は現時点でどう判断すべきか、難しいですね。(チェックメイト)

(今日の毎日新聞から抜粋) 
線維筋痛症「交通事故に起因」地裁が初判断
山口・岩国支部 今年10月に
 交通事故後に全身が痛むようになり、「線維筋痛(せんいきんつう)症」と診断された男性(51)が「事故が原因だ」として、加害者らを相手取って治療費など4684万円余の支払いを求めた訴訟で、山口地裁岩国支部(寺元義人裁判官)が今年10月、「一応の因果関係が認められる」と528万円余の支払いを命じたことが分かった。患者団体などによると、事故との因果関係を認めた判決が明らかになったのは初めて。判決は1審で確定した。
 交通事故と発症を巡っては、脳脊髄(せきずい)液減少症(髄液漏れ)でも、しばしば争点となり、因果関係を認める地裁判決はこれまでに少なくとも2回出ている。
 線維筋痛症の発症の仕組みは未解明で、さまざまな説があり、裁判所の判断が注目された。判決は事故後の経緯を踏まえ、「特に頚椎(けいつい)外傷を受けた患者で発症率が高いことに照らせば、事故による頚椎捻挫(ねんざ)等と無関係に生じたとは考えがたい」と述べた。
 しかし、男性にも発症や症状が悪化した原因の一部があったとし、線維筋痛症に関する損害のうち25%に限って「事故に起因する」とした。
 男性は00年7月、車を運転中に追突された。翌日から首や腰などの痛みが出て通院を続けた。事故5年後の昨年7月、初めて線維筋痛症と診断された。
 裁判で加害者側は「事故で線維筋痛症になる仕組みが明らかでない。原因としてウイルス感染や化学物質過敏など多くの説がある。因果関係が立証されていない」と主張していた。
 男性の弁護士は「裁判官は、事故と発症との関係が医学的に完全には証明できなくても、被害者保護の観点から判決を導き出してくれた」と評価している。

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