犯行当時15歳10か月であった少年が両親を殺害した事件(板橋事件)で,東京地裁は懲役14年の刑を言い渡した(求刑・懲役15年)。弁護人が,少年院送致等の保護処分を念頭において家庭裁判所への移送を主張していたのを,退けた形である。朝日新聞によると,判決は「行為の重大性に即した刑罰により,社会が納得し,被告が将来社会に復帰した際,社会が被告を受容し,ひいては被告が健全な社会生活を営むのに資すると考えられる。」として刑事処分を選択したという。
井垣康弘氏のコメントは「犯した行為の重大さを認識させ,責任を自覚させる前提として,念入りな性格の矯正がいるが,刑務所の手には余るだろうだろう。生み直し,育て直すほどの手間暇と専門的かかわりが必要だ。少年院には実績がある。」とし,元裁判官で少年法に詳しい広瀬健二立教大学法科大学院教授は,「重大な凶悪犯罪に対して保護処分のみで望むことが社会の納得が得られるのかどうか。ただ,根元的な問題を言えば,刑務所への収容か少年院での保護処分かという二分法的な発想には限界がある。実情にあったものに制度も運用も作り替えることが重要だ。処遇に選択の幅を持たせている英国のシステムなどを参考に,中間的な施設を設けることも議論していくべきだ。」としている。(以上,朝日新聞12月2日朝刊参照)(蕪勢)
井垣康弘氏のコメントは「犯した行為の重大さを認識させ,責任を自覚させる前提として,念入りな性格の矯正がいるが,刑務所の手には余るだろうだろう。生み直し,育て直すほどの手間暇と専門的かかわりが必要だ。少年院には実績がある。」とし,元裁判官で少年法に詳しい広瀬健二立教大学法科大学院教授は,「重大な凶悪犯罪に対して保護処分のみで望むことが社会の納得が得られるのかどうか。ただ,根元的な問題を言えば,刑務所への収容か少年院での保護処分かという二分法的な発想には限界がある。実情にあったものに制度も運用も作り替えることが重要だ。処遇に選択の幅を持たせている英国のシステムなどを参考に,中間的な施設を設けることも議論していくべきだ。」としている。(以上,朝日新聞12月2日朝刊参照)(蕪勢)