日本裁判官ネットワークブログ

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懲役14年

2006年12月02日 | Weblog
 犯行当時15歳10か月であった少年が両親を殺害した事件(板橋事件)で,東京地裁は懲役14年の刑を言い渡した(求刑・懲役15年)。弁護人が,少年院送致等の保護処分を念頭において家庭裁判所への移送を主張していたのを,退けた形である。朝日新聞によると,判決は「行為の重大性に即した刑罰により,社会が納得し,被告が将来社会に復帰した際,社会が被告を受容し,ひいては被告が健全な社会生活を営むのに資すると考えられる。」として刑事処分を選択したという。
 井垣康弘氏のコメントは「犯した行為の重大さを認識させ,責任を自覚させる前提として,念入りな性格の矯正がいるが,刑務所の手には余るだろうだろう。生み直し,育て直すほどの手間暇と専門的かかわりが必要だ。少年院には実績がある。」とし,元裁判官で少年法に詳しい広瀬健二立教大学法科大学院教授は,「重大な凶悪犯罪に対して保護処分のみで望むことが社会の納得が得られるのかどうか。ただ,根元的な問題を言えば,刑務所への収容か少年院での保護処分かという二分法的な発想には限界がある。実情にあったものに制度も運用も作り替えることが重要だ。処遇に選択の幅を持たせている英国のシステムなどを参考に,中間的な施設を設けることも議論していくべきだ。」としている。(以上,朝日新聞12月2日朝刊参照)(蕪勢)

「司法改革」文庫化

2006年12月02日 | Weblog
不肖瑞祥の友人姉小路祐さんが書いたリーガル推理小説「司法改革」が講談社文庫から文庫本で出版されました。3年前に出された本の文庫化です。不肖瑞祥が縁あって「解説」なるものを書いています。是非読んでください。

下記は、講談社のHPから本の紹介文の転載です。
              
               記
「改革を止めるな!」
現職裁判官も唸る衝撃作

司法改革推進委員のノンフィクション作家と、最高裁事務総局の裁判官。この2人が討論番組で舌戦を交わすオンエア中、衝撃の殺人事件が起きた。その真相を探ろうとするディレクター新藤に迫る不穏な気配……。日本の司法制度の問題点を鋭く抉(えぐ)り、参審制など改革論議に新たな一石を投じるリーガル・ミステリー。