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国立アイヌ民族博物館建設へ地鎮祭 工事の安全祈り伝統儀式-白老

2018-01-24 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2018/01/22
チセコテノミで国立アイヌ民族博物館建設工事の安全を祈る関係者
 2020年4月に白老町のポロト湖畔で開館する国立アイヌ民族博物館の建設予定地で20日、チセコテノミ(地鎮祭)が行われた。関係者が伝統の儀式で近く始まる施設本体の建設工事の安全を祈願した。
 国立博物館の開設は東京以北で初めて。施設は地上3階、延べ床面積約8600平方メートルで、間口は約130メートル、高さ約20メートル、奥行き約40メートル。1階は映像や音声でアイヌ文化を紹介するシアター、カフェ、ライブラリーなどで構成。2階には常設、特別、テーマの各展示スペースやポロト湖を一望できるロビー、収蔵庫などを配置する。
 土地を清め、工事の安全を祈るチセコテノミの実施はアイヌ民族博物館にとって1997年以来。地元や各地のアイヌ協会関係者が参加した儀式の開式に当たり、野本勝信代表理事は「私たちの目指す次の50年に向けた新たなポロトコタン像を描き出します」とあいさつ。同博物館の新井田幹夫さんが祭主を務め、火の神などへのオンカミ(拝礼)、「ホシキトウキ」(開式の祈り)、「シラリエカムイノミ」(酒かすによる祈り)、「オシトウキ」(閉式の祈り)などと伝統の儀式を執り行った。
 若手職員らも昨年7月から儀式を学ぶ研修を重ね、開式を前に建設予定地で「エパカリ」(測量)、イナウを立てる「イナウエプニ」、「アペアレ」(火の神を呼ぶ)、「フッサカラ」(敷地を清める)を取り仕切った。
 本体工事は竹中工務店・田中組JVが受注し、工期は19年9月末まで。今年度内に着工する計画だ。
https://www.tomamin.co.jp/news/main/13031/


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篠田節子作家生活25周年記念作品『インドクリスタル』取材旅行記

2018-01-24 | 先住民族関連
カドブン (プレスリリース) 2018.01.23 readings 「本の旅人」2015年1月号より

『インドクリスタル 上』
篠田 節子
定価 821円
(本体760円+税)
発売日:2018年01月25日
デビュー二十五周年記念作品として、インドを舞台にしたビジネス冒険大作『インドクリスタル』を書き上げた篠田節子さん。第10回中央公論文芸賞を受賞した本作が1月25日に文庫化されます。
意外にもこの本のための取材で初めてインドに足を踏み入れたという篠田さんに、特別に取材旅行記を書き下ろしていただきました。
<この記事は「本の旅人」2015年1月号に掲載されたものです>
インド人も行ったことのない奥地へ
「朝、ベッドから出たら、靴をはくまえに必ず振るうんだよ。サソリが入っているからね」
「鉱山の帰り道はね、行けども行けどもスラムですよ。一面、灰色なんです。凄まじい光景です、ただただ気分が塞いできますよ……」
「ホテルのベッドは汚いし虫がいますから、袋状のマイシーツはマストです」
「僕の友達の男がさ、寝台車で軍人に犯されたんだよ」
「どんな人でも、絶対、下痢しますから。で、トイレは——以下省略——」
 ビジネスマンからバックパッカー、そして元外交官まで、だれもが怖い話を聞かせる。極めつけは、紺のターバンを巻き付けた旅行会社の社長さん(もちろんインド人)だ。
「そんな田舎、僕も行ったことがない」
したたる緑 美しい家々
 オリッサ州の州都、ブバネシュワールから車で約九時間。共産主義過激派の跳梁跋扈する山中を避け、アンドラプラデッシュ州を経由する高速道路で大回りして先住民族の町ラヤガダへ向かう。
 反対車線を使って追い越しをかける話は聞いていたから驚きはしなかったが、まさか高速道路を山羊、牛、水牛の群れが行進し、籠を頭にのせたおばさんや子供が横断しているとは……。ときおり路面には山羊や牛の轢死体が転がっている(さすがに人間のはない)。
 テンションを極限まで上げ、ヤケクソ気分で到着したラヤガダは、サリー姿でバイクに乗ったかあちゃんたちが行き交う、何やら開放的な感じの町だった。ホテルにサソリは出ず、汚れ具合も我が家と大差ない。
 現地のNGO(非政府組織)の方々に案内していただき、バリ島を雄大にしたようなしたたる緑の中を一時間半ほどかけてマリ族の村、タンディプールへ。車を降りると異臭が鼻をついた。道の両脇に人と家畜の糞が層をなしている。
 踏まないように抜き足差し足で集落に入ると、内部は掃き清められたような赤土の小道が美しく、屋根の低い草葺きの家が整然と連なっている。垣根の間から子供たちが好奇心一杯の視線を送ってくる活気のある村だ。しゃれた文様の描かれた土間から、低い入り口を通って家の中を見学させてもらうと、土間にベッドが置かれただけの真っ暗な寝室と竈やこね棒のある台所を抜け、狭い中庭に出る。植木や神棚の周りを鶏が歩き回るすこぶる心地好い空間だ。屋根が低く開口部が前後にある造りは、風の強い地域でもあり、突風を家の内部を通して逃す工夫らしい。いくつか回った村ごとに家の造りは異なっていたが、緑濃い自然に溶け込む家々の美しいたたずまいは共通している。
 空のペットボトルを差し上げたお返しにと、近隣の村の女性にいただいた小さな茹でトウモロコシは、幼い頃に食べた甲州種に似て硬く、噛みしめるほどに香ばしい。
「部族は怖いから怒らせないように」とNGOの方には忠告されたのだが、行く先々で会った人々のだれもが、苛烈なインドのイメージを覆すように、人あたりが柔らかく、笑顔に濃い情を滲ませていた。
圧倒的な貧しさ 封じられた未来
 長閑な村に見えるが、人々の生活は、電気は一部だけ、水道、トイレはない圧倒的な貧しさの中にある。平日の午前中から村の小道に子供が群れているのは、義務教育から遠ざけられているということでもある。サリー姿の児童のような母親が赤ん坊を抱いている図は、「文化の多様性」では糊塗できない、未来を封じられた女性たちの姿そのものだ。
 マオイストが入り込み活動拠点を築くのはそういう村だ。貧しいが美しい村は、いつ対政府軍、対警察との戦場に変わるかわからない。
 今回、私たちを案内してくれたインドのNGOが取り組んでいるのは、先住民の経済力の向上や教育の普及だ。マオイスト勢力の動きを根本的に封じ込めるものは掃討作戦ではなく、貧困や差別の解消であることを考えれば、彼らの活動が単なるヒューマニズムを越えた、より政策的で国内の安定に関わるものなのだと納得する。
 雨宿りをさせてもらったバトポラシ村では、母親にだっこされた赤ん坊が私の人差し指をぎゅっと握り締めてきた。その湿り気と意外な力強さを思い出すにつけ、その小さな手が、より明るい未来をつかみ取ってくれることを祈るばかりだ。
しのだ・せつこ 1955年東京生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。97年『ゴサインタン—神の座—』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に『夏の災厄』『第4の神話』『ブラックボックス』『長女たち』など多数。
https://kadobun.jp/readings/153/f4608415

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台湾・シラヤ族の闘い/中 古文書解読の奇跡

2018-01-24 | 先住民族関連
毎日新聞2018年1月23日 東京夕刊
 台湾南部・台南市に住むシラヤ族の末裔(まつえい)、萬正雄(まんせいゆう)さん(74)一家は、シラヤ語復興のためローマ字で書かれたシラヤ語の古文書を集めた。2002年1月、正雄さんの娘婿でフィリピン人、エドガーさん(55)が古文書を見て発した言葉が一家を驚かせた。「大まかな意味なら分かるよ」
 エドガーさんの母はフィリピンの先住民ビサヤ族だ。ビサヤ語とシラヤ語は同系列の言語だった。「数字も1から10のうち七つが同じ。まるで兄弟のような言語」。エドガーさんは興奮ぎみに当時を振り返る。
 1991年、マニラに留学していた正雄さんの長女淑娟(しゅくえん)さん(54)と出会い、結婚。2人で台南に来た。淑娟さんはエドガーさんを見つめて言う。「遠い外国の人だと思っていたら、親戚のような民族だった。彼がシラヤに奇跡をもたらすとは当時は思いもよらなかった」
 エドガーさんは音楽家で言語学の素養はなかったが、「シラヤ語復興が自分の使命だと感じた」と言う。台湾や豪州の学者に教えを請い、シラヤ語の辞書づくりを始めた。古文書の多くは長く散逸していた。だが日本統治時代(1895~1945年)、台北帝国大教授の村上直次郎や小川尚義らが収集し、かなりの研究成果を残していた。シラヤ文化・言語研究で知られる台湾中央研究院の翁佳音副研究員(60)は「日本人の研究なしにシラヤ語復興は不可能だった」と断言する。 (全文949文字) 
https://mainichi.jp/articles/20180123/dde/007/030/032000c

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遺骨返還の風、京大拒否 <標本にされた「祖先」>

2018-01-23 | アイヌ民族関連
京都新聞2018年01月22日 17時00分
 昨年11月13日、京都市伏見区の龍谷大深草キャンパス。北海道から「コタンの会」代表清水裕二さん(76)が訪れ、アイヌ民族としての思いを学生に語りかけた。授業に招いたのは、京都帝国大助教授が沖縄から持ち去った人骨の返還を求めている経済学部の松島泰勝教授(沖縄出身)。
 清水さんは「アイヌモシリを北海道という名に勝手に変えられた。家をアイヌ語で『チセ』と言いますが、政府は『官有地第三種』として奪い去った」と旧土人保護法(1997年に廃止)などで抑圧された歴史を語る。「山で実を採っても罰せられた。北海道大や京大がアイヌの墓地をあばき、研究材料にされたんです」
 北大を相手取った遺骨返還訴訟の記録映像が教室で上映され、原告で訴訟中に亡くなった城野口ユリさんがアイヌ歌謡を歌う。
 それは13歳ほどの女の子が奉公先で主人の性的暴力を受けて祈る歌。カラスの神よ、こんなつらいことになったよ。カラスの神よ、故郷の父さん母さんに海を越えて伝えてよ。
 歌の意味を清水さんが説明する。この歌を聴くたびに泣けてしまう、と。学生の私語でざわつく大教室。配布レジメに記された「エカシ」を説明するとき、「私語をやめないか!」と一喝した。
 静まりかえる教室。「エカシは翁(おきな)という意味だけども、年をとれば誰でもエカシと呼ばれるわけではない。厳格な3条件があるんです。ラメトク=勇敢であること。シレトク=威厳を備えていること。パエトク=雄弁であること。その例えとして、ちょっと声を出しました」。自分はエカシではないとも。
 講義を終え、清水さんと松島教授が京大総務課(左京区)へ向かう。アイヌ遺骨返還運動に取り組んでおり、京大の遺骨情報を知りたいとの来意を告げてあったが、玄関のガードマンを介して「会う必要はない」。建物入り口で総務課に電話する松島教授ら。「北海道から来たんです」「アイヌ遺骨報告書を見せてもらえませんか」
 総務課は「今お会いしてお話することはありません。名刺交換の必要性はありません」。なぜですかと松島教授。「その理由もお示ししません」
 たたんだアイヌ民族衣装を手に玄関前に無言で立つ清水さん。威厳と静かな怒りがあった。面会で着るつもりでしたかとは、記者はなぜか聞けなかった。
 ドイツの学術団体が昨年、外交ルートを通じアイヌ遺骨を北海道アイヌ協会などに返還した。オーストラリアの博物館もアイヌ遺骨返還を交渉中だ。台湾大は帝国大時代に日本人研究者が台湾少数民族の居住地や沖縄から掘り出した遺骨を、それぞれの古里に返還すると申し出た。世界で、人骨標本を先住民族や本来の共同体に返還する新しい風が吹いている。
 京大医学部教授の清野謙次が論文でアイヌ遺骨17体を発掘したとする北海道根室市のオホーツク海側沿岸を歩いた。アイヌの人々が暮らしたなごりに行き当たらず、強く冷たい海風が鳴っていた。
 ◇
 「広島のものは広島に。長崎のものは長崎に」。それが、米軍が京大などから持ち去った被爆者の病理標本などが、1973年に返還された時の原則だった。大事な原則だと思う。調査した学者ではなく、患者や子孫が暮らす地域へ。そこで複数の資料が有機的に結びつけば、研究は生かされ、語り継ぐ礎となる。
 遺骨を持ち去った京大の医師たち。時代の多数者の側の要請と、研究目的という「大義」はあったのだろう。だが得られた知識を現地の人に返さず、奪われる側の痛みにまひすれば、どうなるだろう。旧満州にあった関東軍防疫給水部「731部隊」では京大出身の医師たちが細菌戦の実験や多数の人体解剖を行ったが、その成果は軍事機密の闇に閉ざされたままである。
 医学は、正常と異常を区別する学問だ。大多数の側に立ち、少数者を「異常」や「劣ったもの」と見なし、犠牲にする危うさは、現代も付きまとう。奪い去る側に立たないために、歴史をたどり直すことが問われている。
(12回続きの11回目)
http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20180122000102

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台湾・シラヤ族の闘い/上 母語蘇生を模索

2018-01-23 | 先住民族関連
毎日新聞2018年1月22日 東京夕刊

シラヤ族の復興について熱っぽく語る萬正雄さん=台南市で
 台湾南部・台南市郊外の森にある池のほとり。萬正雄(まんせいゆう)さん(74)は独特の文様の上着を身につけて現れ、とつとつと語り始めた。「小さいころ、級友から『蕃(ばん)』(先住民への差別語)とからかわれた。後になって自分がシラヤ族の末裔(まつえい)だと知った」
 台湾は古来、無数の先住民族がおり、シラヤ族は今の台南市などに住んだ。17世紀以降、中国大陸から漢民族の移民が本格化し、シラヤ族は次第に同化された。シラヤ語も19世紀に失われた。「単語はわずかに残っている。例えばキノコは『バリウ』。シラヤ族しか知らない言葉じゃ」
 台湾は戦後、中国から渡ってきた蒋介石が独裁統治した。先住民族であると主張することすら許されなかった。
だが1980年代、民主化が進み、言論の自由が広がった。先住民の間にも自らの民族を認めるよう求める運動が起きた。
 94年に先住民の存在が憲法に明記され、その後、戸籍に民族名を登記できるようになった。ただ法律で固有の民族と認められたのはアミ族、パイワン族など、人口が多く言語や風習も残る9民族のみ。萬さんは「文化復興の必要性」を強く感じ、シラヤ族の認定を目指す運動を始めた。
… (全文1043文字)
https://mainichi.jp/articles/20180122/dde/007/030/020000c

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ゴールデンカムイ テレビアニメ版の脱獄王・白石役に伊藤健太郎

2018-01-23 | アイヌ民族関連
毎日新聞2018年1月22日

 野田サトルさんのマンガが原作のテレビアニメ「ゴールデンカムイ」で、伊藤健太郎さんが脱獄王の白石由竹を演じることが22日、分かった。
伊藤さんは「(野田さんのマンガ)『スピナマラダ!』を読んだ時、なんてぶっ飛んだ作家さんなんだろうと驚がくした。そんな方がこの設定でエンタメを描くんだから、さぞかしぶっ飛ぶだろうと想像はしたが、皆さんご存じの通りそれをはるかに超えたぶっ飛んだマンガが今作である。その世界に白石はいる。彼の役割も重々承知だ。一人のYJ読者として最大級のプレッシャーを感じている。声優として、読者の方々の想像通りの白石を目指し、なおかつ想像以上の白石を目指します!」と意気込んでいる。
 「ゴールデンカムイ」は、2014年から「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載中のマンガ。かつて日露戦争で活躍した“不死身の杉元”が、北海道で死刑囚が隠した埋蔵金の手掛かりをつかみ、アイヌの少女アシリパらと共に冒険を繰り広げる姿を描いている。アイヌの文化や歴史、食事の描写なども評価され、「マンガ大賞2016」で大賞を受賞した。
 アニメは、劇場版アニメ「虐殺器官」(村瀬修功監督)を手がけたアニメ制作会社「ジェノスタジオ」が制作する。小林親弘さんが杉元、白石晴香さんがアシリパをそれぞれ演じる。4月からTOKYO MXほかで放送。 
https://mainichi.jp/articles/20180122/dyo/00m/200/020000c

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総合振興局がニセコ地域で27日にPRイベント【胆振】

2018-01-23 | アイヌ民族関連
北海道ニュースリンク2018.01.22室蘭民報
 胆振総合振興局は、ニセコ地域への訪日外国人をターゲットにした「胆振PRイベント」を開く。27日に倶知安町内のホテルで、「胆振の食と観光」と「胆振四大遺産(洞爺湖有珠山ジオパーク、アイヌ文化、縄文遺跡群、むかわ竜)」をテーマにしたイベントをそれぞれ開催する。胆振の魅力を積極的に発信し、管内への誘客につなげていきたい考え。
 同局によると、ニセコ地域の外国人宿泊客数は年間66万人に上り、倶知安町内の滞在日数も平均5日程度という。同局では2016年度(平成28年度)から長期滞在の外国人をターゲットにしたPRイベントを開催してきた。
 17年度も胆振管内の強みである1~3次産業を生かして、誘客促進・交流人口拡大を図る「いぶり・6次観光推進プロジェクト」に伴う取り組みの一つとして実施する。17年度は「胆振の食と観光」と「胆振四大遺産」のイベントを同日開催し、胆振を集中的にPRする。
 当日は①白老牛サイコロステーキや噴火湾ホタテのバター焼きの試食などができる「いぶり 食・観光ウインターイベントinニセコ」②アイヌ民族の古式舞踊・伝統楽器演奏、ムックリ体験ワークショップ、アイヌ衣装試着、縄文アクセサリー作り体験などによる「胆振四大遺産inニセコ」を開催する。
 同局では英文チラシ1600枚を作成、倶知安町内のホテルやニセコ町内のスキー場で配布している。本間研一局長は「訪日外国人がより来場しやすい内容とした」とし、「ニセコ地域と近い胆振が魅力ある地域であることを、PRイベントを通じてしっかり訴えたい」としている。
http://www.hokkaido-nl.jp/article/4612

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国立アイヌ民族博物館建設へ地鎮祭 工事の安全祈り伝統儀式-白老

2018-01-23 | アイヌ民族関連
苫小牧民報2018/1/22

 2020年4月に白老町のポロト湖畔で開館する国立アイヌ民族博物館の建設予定地で20日、チセコテノミ(地鎮祭)が行われた。関係者が伝統の儀式で近く始まる施設本体の建設工事の安全を祈願した。
 国立博物館の開設は東京以北で初めて。施設は地上3階、延べ床面積約8600平方メートルで、間口は約130メートル、高さ約20メートル、奥行き約40メートル。1階は映像や音声でアイヌ文化を紹介するシアター、カフェ、ライブラリーなどで構成。2階には常設、特別、テーマの各展示スペースやポロト湖を一望できるロビー、収蔵庫などを配置する。
 土地を清め、工事の安全を祈るチセコテノミの実施はアイヌ民族博物館にとって1997年以来。地元や各地のアイヌ協会関係者が参加した儀式の開式に当たり、野本勝信代表理事は「私たちの目指す次の50年に向けた新たなポロトコタン像を描き出します」とあいさつ。同博物館の新井田幹夫さんが祭主を務め、火の神などへのオンカミ(拝礼)、「ホシキトウキ」(開式の祈り)、「シラリエカムイノミ」(酒かすによる祈り)、「オシトウキ」(閉式の祈り)などと伝統の儀式を執り行った。
 若手職員らも昨年7月から儀式を学ぶ研修を重ね、開式を前に建設予定地で「エパカリ」(測量)、イナウを立てる「イナウエプニ」、「アペアレ」(火の神を呼ぶ)、「フッサカラ」(敷地を清める)を取り仕切った。
 本体工事は竹中工務店・田中組JVが受注し、工期は19年9月末まで。今年度内に着工する計画だ。
https://www.tomamin.co.jp/news/main/13031/



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平穏な1年 火の神に祈り 苫小牧アイヌ協会「カムイノミ」

2018-01-23 | アイヌ民族関連
北海道新聞01/22 09:21 更新

アイヌ民族の伝統的なアシリパカムイノミ(新年の祈り)とイチャルパ(先祖供養)が21日、苫小牧市矢代町の市生活館で行われ、今年1年の安全や幸福をおごそかに祈った。
 苫小牧アイヌ協会(沢田一憲会長)の主催で23回目。同協会や静内民族文化保存会、白糠アイヌ文化保存会の会員ら約100人が参加した。
 アシリパカムイノミでは民族衣装を着た約30人がいろりを囲んで座り、にごり酒をイクパスイと呼ばれる木製の捧酒箸に振りかけ、火の神に祈りをささげた。その後、焼き魚や団子料理などの供物をいろりの前に置き、先祖を供養した。
 続いて行われた新年交流会では、苫小牧アイヌ文化保存会のメンバーらがアイヌ舞踊を披露。会場ではサケの塩汁などのアイヌ料理が振る舞われ、参加者たちが新年を祝った。(山田一輝)
◆イチャルパのルは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/158349

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江戸後期の松前藩、道東のアイヌ民族へ文書 ロシアで確認

2018-01-22 | アイヌ民族関連
北海道新聞 2018/01/21

松前藩がアイヌ民族の有力者に宛てた文書(サンクトペテルブルクのロシア国立図書館所蔵、東京大史料編纂所提供)
 江戸時代後期、松前藩が道東のアイヌ民族の有力者に対し、和人の漂着者の介抱などを指示する文書が、ロシアの国立図書館に所蔵されているのを、東京大史料編纂所(へんさんじょ)などの研究チームが確認した。松前藩がアイヌ民族に出した文書の原本が見つかるのは初めて。専門家は「藩の勢力が、従来考えられていた時期より以前から道東に及んでいた可能性を示す貴重な史料」と話している。
 文書は、海外に所蔵されている日本関連史料を調査している研究チームが、サンクトペテルブルクのロシア国立図書館で発見した。書面の記載から、松前藩が1778年(安永7年)7月、「ノッカマップ」(現在の根室市)を拠点としたアイヌ民族の首長「ションコ」に宛てたものとみられる。
 内容は命令を意味する「定」の題字に続き、《1》アイヌ民族がけんかや口論を行わない《2》アイヌ民族と和人が取引する商い小屋「運上小家」の火事に注意する《3》和人の漂着船が流れ着いた際は、定書を見せて漂着者を介抱する《4》漂着者はアイヌ民族の村々を順に送り、和人の滞在地まで送り届ける―の4カ条。最後に「背いた際には厳しく処罰する」と記されている。
 これまで、道東のアイヌ民族は江戸後期まで比較的、自立した地位を保ち、1789年(寛政元年)に国後島や羅臼、標津のアイヌ民族が和人の搾取に対して起こした「クナシリ・メナシの戦い」を経て、松前藩の支配が及ぶようになったとされてきた。ションコは戦いを終息に導いた人物として画家の蠣崎波響(かきざきはきょう)の作品「夷酋列像(いしゅうれつぞう)」の一人にも描かれている。
 共同研究者として、サンクトペテルブルクで文書を確認した北海道博物館の東(あずま)俊佑学芸員(近世史)は「文書の発見は、1778年に既に藩がションコに命令を出す立場にあった可能性を示唆する。江戸時代後期の松前藩と道東のアイヌ民族の関係をとらえ直すきっかけになる」と指摘する。
 文書ではこのほか、これまで知られていなかった松前藩の「蝦夷地(えぞち)奉行」と呼ばれる役名、もしくは機関の存在も明らかになった。文書がロシアに渡った経緯も不明で、ロシアとアイヌ民族の接点を明らかにする手がかりの一つとなる可能性もあるという。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/158148

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白老の国立民博工事、安全祈る 21年ぶりアイヌ民族の「地鎮祭」

2018-01-22 | アイヌ民族関連
北海道新聞01/21 09:42 更新

 【白老】アイヌ民族博物館は20日、町内のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間」の中核施設となる国立アイヌ民族博物館の建設予定地で、建物を建てる際の伝統儀式「チセコテノミ(地鎮祭)」を21年ぶりに執り行った。
 チセコテノミは土地を清め、工事の安全を願うために行う。前回は1997年、アイヌ民族博物館敷地内のチセ(家)の建設前に行っている。
 今回は同博物館職員や白老アイヌ協会会員ら約20人が出席。雪が舞う中、神を迎え入れる3本の木が立てかけられたいろりに酒かすをささげ、国立アイヌ民族博物館建設工事で事故がないよう神に祈った。
 国立アイヌ民族博物館は3月までに着工し、2020年の開館を予定している。(後藤真)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/158204

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白老に「共生象徴空間」 アイヌ民族らしさ集客の鍵 報道センター村田亮

2018-01-22 | アイヌ民族関連
北海道新聞01/21 09:46
 政府は2020年、胆振管内白老町にアイヌ文化復興の拠点「民族共生象徴空間」を開設する。東北以北で初となる国立博物館をはじめ各施設の造成工事は既に始まり、展示物や体験学習の概要も徐々に分かってきた。ただ、その内容からは年間来場者100万人の目標達成は難しいとの指摘もある。道内外の多くの人を招くことが、アイヌ民族の歴史や現状への理解を広め、差別の解消や誇りの回復につながる。今こそ関係者はアイヌ民族の声に耳を傾け、多彩な文化の魅力を発信する方策に知恵を絞ってほしい。
 象徴空間の開設は、アイヌ民族を先住民族と認めた政府が設置した有識者懇談会で09年に提言され、14年6月に基本方針を閣議決定した。基本構想には「アイヌの人々による歴史・伝統・文化等の継承・創造の拠点」「国内外の人々の理解を促進する拠点」などを掲げた。
 政府は昨年、国立博物館の基本設計のほか、民族舞踊を観覧できる体験交流ホールや伝統料理を食べられる体験学習館など各施設の概要を公表した。ポロト湖畔で現在民間で運営するアイヌ民族博物館は本年度末で閉館し、その跡地に建つ博物館などの工事が新年度から本格化する。
 開設準備には遅れが目立っている。昨年度中に決まるはずだった歴史講話や舞踊公演などの体験交流活動は、いまだに具体的な内容が見えない。これに伴い入場料の設定や従業員数なども決まらず、来場者誘致に向けた本格的な議論は進んでいない状態だ。
 さらに昨年公表された各施設のイメージ図は近代建築様式が中心だった。政府のアイヌ政策推進会議作業部会委員の一人は「アイヌ文化を楽しめる施設に見えず、何度も訪れたくなる魅力が感じられない」と指摘。別の委員は「この建物では一般の公共施設と同じ。時間がないからと、やっつけ仕事になっていないか」と疑問を呈した。
 政府関係者は「来場者100万人は難しいかもしれない」と漏らす。準備が遅れる背景には、前例のないアイヌ民族関連の施設を開設する難しさに加え、内閣官房や国土交通省、文部科学省など関係省庁が複数にまたがり、意思決定が遅れる「縦割りの弊害」も影響しているようだ。
 既に建物の基本構造は固まり、大幅な見直しは難しい。それでも、アイヌ文化の魅力がより感じられる施設にするため、長年道内で観光客らに文化を伝え、育んできたアイヌ民族らの意見を聞くことが重要ではないか。
 釧路市阿寒湖温泉のアイヌコタンでは、観光地として幅広い層にエンターテインメント性があるアイヌ文化を発信してきた。日高管内平取町二風谷では工芸作家が独創的なアイヌアートを制作し、観光客らに現代社会に生きるアイヌの思いを伝えてきた。白老では民間のアイヌ民族博物館で、アイヌが主体となって道内外のツアー客に多彩な魅力を提供してきた経緯がある。
 象徴空間も各地に伝わるアイヌ文様や工芸、伝統的なチセ(家)の建築様式などを施設の外観や内装に最大限生かし、アイヌ民族らしさを追求してほしい。何げなく立ち寄った観光客に理解してもらうためには、エンターテインメント性も大切だ。来場者がアイヌ文化の魅力に触れ、感動してもらうことで、アイヌ民族への親しみが湧き、再来訪につながると思う。
 <ことば>民族共生象徴空間 胆振管内白老町のポロト湖畔に国立アイヌ民族博物館と国立民族共生公園、慰霊施設を整備する。博物館は地上2階(一部3階)建て、延べ床面積は約8600平方メートル。民族共生公園は敷地面積約9・6ヘクタールで、体験交流ホールや体験学習館を建設する。アイヌ民族の遺骨を納める慰霊施設も設置。総事業費は100億円超と見込まれている。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/158210

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台湾先住民作家が日本で講演会 著作の日本語版出版「非常に光栄」

2018-01-22 | 先住民族関連
中央社フォーカス台湾 2018/01/21 16:06

(台北 21日 中央社)離島・蘭嶼出身で台湾原住民(先住民)タオ族の作家、シャマン・ラポガンさんが20日、台北駐日経済文化代表処台湾文化センター(東京都)で講演会を行った。シャマンさんは、昨年日本語版が出版された自身の著作「大海浮夢(大海に生きる夢)」やその創作過程について紹介。日本での出版について「われわれの部族や自身、そして家族にとっても非常に光栄なことだ」と喜びを語った。
タオ族は主に漁業などで生活する台湾先住民で唯一の海洋民族。作品では、シャマンさんの海での体験や蘭嶼での家族との生活が描かれた。シャマンさんは自身を海洋文学作家と位置づけ、自身の作品について「われわれの部族の海洋文学であり、日常生活についての海洋文学だ」と語る。
一方、伝統文化の侵略や伝承の阻害に対する危機感を覚えているシャマンさん。伝統的な漁業が衰退していることに触れながら、作品が台湾や日本の異なる世代の子供たちに読んでもらえることは非常にありがたいことだと語った。 (黄名璽/編集:楊千慧)
http://japan.cna.com.tw/news/asoc/201801210002.aspx

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沖縄で収集遺骨、京大に返還要請へ 昭和初期の26体

2018-01-22 | アイヌ民族関連
京都新聞2018年01月21日 10時13分
 京都帝国大医学部解剖学教室助教授だった金関丈夫が昭和4(1929)年、沖縄県今帰仁村(なきじんそん)にある村指定文化財「百按司(ももじゃな)墓」から研究目的で京大に持ち帰った人骨について、今帰仁村教育委員会が返還を求めて京大と交渉する方針であることが、20日分かった。村教委は京大が少なくとも26体、保管しているとみている。
 アイヌ民族の遺骨を巡っては旧帝国大が人類学などの研究目的に無断で掘り出した遺骨の返還が問題になっているが、京大が収集人骨の返還に応じた例はないとみられる。また、自治体が大学に返還を要請するのも異例だ。
 金関が戦前公表した雑誌連載によると、百按司墓から多数の人骨を採取。古人骨だけでなく、当時でみて「最近の人骨」もあった。行き倒れた人を埋葬した那覇市内の墓地でも10体を掘り、中城村(なかぐすくそん)では無断で墓地から人骨を持ち去ろうとして現地の人から制止されたことなどを記述している。のち金関は、日本領だった台湾の台北帝国大(現・台湾大)医学部教授に就任した。
 今帰仁村教委によると昨年11月、台湾大から、金関が医学部に持ち込むなどした人骨63体分を現地に返還したいと申し出があった。
 同月29日に沖縄県教委と村教委が合同で受け入れると回答。2004年に百按司墓木棺を修理した際、村教委は京大総合博物館で百按司墓から持ち出されたとみられる人骨26体分を確認していたことや、台湾大が保管するのはすべて頭骨のみであることから、京大にも返還できないか要請していくことにしたという。
 これとは別に、「琉球民族遺骨返還研究会」の松島泰勝龍谷大教授らは、京大が沖縄から持ち去った人骨の保管数や保管状況について回答を拒んでいることなどから、アイヌ団体が北海道大を相手取り遺骨返還訴訟を起こし、返還が実現していることを参考に、人骨返還訴訟の提訴を視野に運動を進めている。
 沖縄で収集した遺骨について、京大広報課は京都新聞の取材に、「問い合わせに応じない」としている。
■百按司墓
 今帰仁村運天の崖の中腹にある墓所。按司とは地方の有力首長の呼称で、「数多くの按司の墓」の意味。16世紀以前に成立したとの見方もあり、漆を塗った家型の木棺など、琉球の葬制を知る上で最古級の資料とされる。
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20180121000024

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遺骨87体未返還、尊厳無視 <医の倫理根源 京大の収集>

2018-01-22 | アイヌ民族関連
京都新聞 2018年01月21日 18時35分
 京都大は、大正時代から京都帝国大医学部の清野謙次教授らが収集したアイヌ民族の遺骨のほか、沖縄や各地での収集遺骨も含め、保管状況を「回答しない」という。京大が2012年にまとめたアイヌ遺骨報告書を入手し、記載94体を戦前の論文と照合したところ、カタカナ絵本「明治44年 花咲じい」を副葬品とする子どもの遺骨番号もあった。葬られて数年でしかない子どもの遺体を、無断で墓から掘り出している。
 旧帝大などが研究目的として墓地から無断で発掘した遺骨について、12年以降、北海道のアイヌ民族からもともとの地域のアイヌ団体に返還するよう求める訴訟が相次ぐ。当初拒んでいた北海道大は各返還訴訟で和解、返還に応じる姿勢に転じている。それ以前でも、北大は約千体の遺骨の保管状況を説明し、白木の箱に収めて納骨堂をキャンパス内に建て、慰霊祭を行っている。京大の対応とは対照的だ。
 国会は08年にアイヌ民族を先住民とすることを求める決議をし、国の有識者懇談会は、各大学が遺骨を返還することや尊厳ある慰霊をする配慮を提言した。文部科学省は保管状況を各大学に報告させ、京大も12年にアイヌ人骨保管状況等調査ワーキング報告書をまとめた。だが、京大広報課は、昨年文科省に遺骨の数を94体から87体に修正した理由も含め「問い合わせには応じない」という。
 京大報告書によると、内訳は樺太アイヌが56体、根室市や網走市など北海道アイヌが38体。
 発掘当時は日本領だった南樺太での発掘は清野が手掛けている。いま北海道のアイヌの人々は、遺骨の子や孫だと特定できなくても「発掘した場所のコミュニティーへ返すべきだ」と、少数民族の権利運動として返還運動を展開している。
 その意味で、京大は北海道各地のアイヌ団体へ、そして、現在のロシアとの国境線に関わらず樺太アイヌの人々に、遺骨を保管していることを伝えるべきではないのか。「樺太アイヌ語」を母語とする最後の話者は1994年に亡くなり、一人もいなくなった。でも日本人は誰でも一言だけ、樺太アイヌ語を知っている。「トナカイ」は樺太アイヌ語だ。
 清野ら京大医学部の人骨調査についての戦前の論文、紀行などをさらに調べると、京大が人骨に整理番号を付けていたことが分かる。日本の領土が拡大するにつれて、遺骨の収集エリアも広がっている。アイヌや沖縄の人が墓地を掘り返したり人骨に触れたりすることに抵抗を感じているのに発掘した例が書き残されていた。
 あなたの祖父や祖母が、番号を付けられ大学の研究材料にされているところを想像してほしい、と北海道で出会ったアイヌの人たちはいう。
 清野たち京大医学部はなぜ、人骨を収集したのか。明治以降の日本は国境を拡大し、「外地」「内地」という言葉ができた。少数民族の人たちも、併合した朝鮮の人たちも、台湾の山岳少数民族も、「日本帝国臣民」になった。
 日本民族とは何か、いつから、どこに住んでいたのかは政治的にも思想上も、重要問題だった。清野は、古代にアイヌ民族の土地を日本民族が征服し奪ったのではなく、枝分かれする前は同じ「日本原人」だったとの説をとなえ、時代の寵児(ちょうじ)になった。そのために科学が動員された。
 「適者を適所に置いて、その能力を発揮せしむるのが、差し当たって大東亜共栄圏を開発するに有効な手段である。之れが為には、優良民族に保護を加えて、其人口を増加せしめて開発を促進すべきである」(日本人種論変遷史、44年)。この清野の言葉は、民族の優劣を付ける優生学であり、ナチスを生んだ土壌につながるのではないか。
(12回続きの10回目)
 【次回】 帝国の版図は拡大し、学問が本質的に持つ帝国主義的な側面も、露骨になり、強化された。1940年時点で清野研究室は、満州や琉球人骨を含めて計1500体を収集していた。また、樺太の少数民族ウイルタの女性遺骨を京大が保有していたことも、戦前の論文から分かる。琉球人骨を多数収集した京大医学部の金関丈夫(戦後に九州大教授)をめぐって今、海をはさんで国際的な波が起きている。
http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20180121000089

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