先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

スタンレーパークに「先住民文化村」今年も-スピリット列車が人気に

2011-08-06 | 先住民族関連
バンクーバ新聞 2011年8月6日(土)

 バンクーバーの観光名所スタンレーパーク内に今年もカナダの先住民文化村「Klahowya Village」がオープンし、多くの市民や観光客でにぎわっている。
 10月にはハロウィーン、12月にはクリスマスをテーマにデコレーションを施したミニチュア列車が家族連れの人気アトラクションとなっている同エリア。夏の観光シーズンに新しい目玉を加え、バンクーバーが滞在型バケーションの目的地となるよう、昨年初めて期間限定で企画された先住民文化村が好評だったため、今年は開催期間を延長する。
 同施設内では、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州の先住民文化を代表する昔ながらの踊りや音楽、彫刻などのオリジナルクラフトや昔話、料理を実際に体験できるほか、ミニチュア列車「スピリット・キャッチャー」号が1周13分のルートを走り、先住民に伝わる昔話を元にしたナレーションに合わせて、独特の衣装を身に着けたキャラクターたちが繰り広げるストーリー「Raven Saving the Sun」を楽しむことができる。
 「昨年、ヨーロッパやアメリカ、アジア各国から訪れた来場者の皆さんと話をしたとき、多くの人が先住民の文化にとても興味を持っていることを実感した」と話すBC州先住民観光協会のKeith Henry会長。「本物の体験ができる機会をより多く提供することが必要で、BC州はそれを実現するのに世界で一番適した場所だと思う。年長者から次の世代へ受け継ぎ、新しいものを生み出したり、消えかけた文化をまたよみがえらせるたりするめに観光業界が役立つことになる」とも。
 入場料は、大人=5カナダドル、子ども・シニア=3カナダドル、列車乗車料(入場料含む)は大人=10カナダドル、子ども・シニア=8カナダドル。2歳以下無料。9月11日まで。
http://vancouver.keizai.biz/headline/1318/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

樺太アイヌの額飾り「ホホチリ」 国内確認

2011-08-06 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2011年08月05日

■樺太アイヌ男児の額飾り 「ホホチリ」国内確認
■札幌の開拓記念館 きょうから初公開
 樺太アイヌ特有の古い風習として伝えられながら、現物を国内で確認できていなかった男児の額飾り「ホホチリ」、北海道開拓記念館提供=が見つかった。寄贈された同記念館(札幌市厚別区厚別町)が、5日から開催する「千島・樺太・北海道 アイヌのくらし」特別展で、初めて一般公開する。
 ホホチリは男の子の前髪に結んで垂らす額飾り。ビーズを三角形につないだ房状のもので、10歳ぐらいで狩りをして最初の獲物を捕ると外されたという。この風習は、百年ほど前にサハリン(旧樺太)を訪れた欧州の研究者が撮影した写真などで紹介されていたが、国内では見つからず、ドイツ・ケルンの博物館で確認されたものなどが報告されているだけだったという。
 同記念館の田村将人学芸員(35)が、交流を続けていた川崎市に住む樺太アイヌの安部洋子さん(78)がホホチリらしいものを持っていることを知った。サハリンの幼なじみから譲り受けたもので、安部さんが3年前、「記念館で保管し、樺太アイヌの文化の証しとして後世に伝えてほしい」と寄贈。田村さんらが確認作業を進めてきた。
 19世紀末から20世紀初めにかけ、欧米ではアイヌをヨーロッパ系民族と見る学説が有力だったため(後に否定)、研究者らが続々道内外のアイヌ集落(コタン)を訪れ、生活用具などを収集。欧米の博物館には現在、1万3千点を超えるアイヌ資料が保管されているという。
 特別展では、ドイツの民族学博物館所蔵の152点が里帰り。安部さん寄贈のホホチリや安部さんの祖父母の生活用具などを同時展示する。9月25日まで。
(本田雅和)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001108050003

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第4部(1)豊富な「水力」成長下支え 世界3位のベロモンテ水力発電所

2011-08-06 | 先住民族関連
msn.産経ニュース 2011.8.5 21:29

 眼前に広がる密林がすべてダムの底へ沈む…。ブラジル北東部パラ州、世界最大の河川アマゾン川の支流沿い。完成すれば発電量で世界3位となる「ベロモンテ水力発電所」の建設予定地へ日本のメディアとして初めて足を踏み入れた。
 アマゾンの地方都市アルタミラから南へ赤土の道を車で2時間以上。濃い緑色をしたシングー川沿いにトタン家屋が点在する集落が現れた。ダムは完成すると高さ90メートル、幅3・5キロ。琵琶湖の面積の約8割の熱帯雨林516平方キロが水没し、この集落を含め先住民族ら1万6千人が立ち退きを迫られるとして、国内外から批判を浴びている。
 総工費110億ドル(約8800億円)、総発電量はわが国の標準的な原発10基分に相当する1100万キロワット。中国の三峡ダム、ブラジルとパラグアイにまたがるイタイプ水力発電所に次ぐ規模であり、2015年の電力供給開始を目指し、ブラジル政府は6月1日、ダムの着工を認可した。
 新興国BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)の一角、ブラジルの経済成長を「水力」が下支えしている。地球上の淡水の2割はブラジルにある。水力発電所が600余りあり、国際エネルギー機関(IEA)によれば電力供給は08年、水力80%、火力13%、原子力3%。主要国で特異な存在だ。
 だが、立命館大学の小池洋一教授(62)=開発経済学=は「供給が不安定な上、サンパウロなど大都市までの送電距離が長く供給ロスが多い」と話す。01年には渇水で電力が不足し全土で今夏のわが国同様、25%の節電が行われた。近年も成長に供給が追いつかず停電が頻発している。
 ブラジルでは現在、リオデジャネイロ州の大西洋岸にあるアングラ原発1、2号機の運転と3号機の建設が進む。運転中の2基は不具合などでしばしば停止するため、点滅を繰り返す「ホタル」と揶揄されるが、ロバン鉱山エネルギー相(74)は地震や津波が極めて起きにくい地域にあるとして「世界で最も安全だ」と述べている。
 一方で、批判を押し切る形でベロモンテ水力発電所の着工が認可されたのと同じ日、ロバン氏は新たに建設予定だった原発4基の計画見直しも表明したのだった。

経済優先…揺れる「環境先進国」
 ヤシが生い茂る密林の水辺、ブラジル・パラ州にあるベロモンテ水力発電所の建設予定地。米映画「アバター」で知られるジェームズ・キャメロン監督(56)が昨年4月にハリウッド女優とともに訪れ、建設反対の石碑があるという場所を目指したものの、立ち入り禁止のフェンスに阻まれ、行けなかった。
 少し離れた場所に先住民族の一つ、カヤポ族が暮らす集落があった。文明社会とは一定の距離を置く彼らにとって、一帯を水の底へ沈める巨大ダムは命にかかわる重大事である。若者の一人はなまりの強いポルトガル語で「私たちはこの川の恵みで生きてきた。ダム建設は生活だけでなく、先祖が築き上げた歴史まで壊してしまう」と訴えた。
 一方、建設予定地の川べりで飲食店を営むロドリゴ・リアンタダさん(62)は新鮮なヤシジュースを振る舞いながら言った。
 「ダム建設で雇用が生まれ地域も発展する。環境保護は先進国のエゴにすぎない。人間の命よりワニの命の方が大切と言えるのか」

選択伐採から皆伐採へ
 1992年にリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議(地球サミット)から20年を迎える来年、同じ地で「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開かれる。国立宇宙研究所の衛星画像解析によるとアマゾンではこの間、全520万平方キロのうち日本の面積に匹敵する31万平方キロの森が失われた。
 アマゾナス州マナウス郊外の国立アマゾン研究所へ日系2世のニーロ・ヒグチ博士(59)を訪ねた。2007年に学術機関「気候変動に関する政府間パネル」の一員としてゴア米元副大統領(63)とノーベル平和賞を共同受賞した。
 ヒグチ博士は「アマゾンに生い茂る樹種や生物は多様で広く分散しており、伐採後も森林は他の地域の熱帯雨林より早く再生する。伐採規模にもよるが、多少の森林劣化はあっても数十年の周期で天然更新する」としつつ、こう述べた。
 「以前は木材として売れる木を選んで切る選択的伐採が主流だったが、現在はすべて伐採してしまう。これでは天然更新ができず、生態系へ悪影響を与える」

森林破壊、懸念再び
 アマゾンの森は他に、牛の放牧地や大豆畑にするため違法に伐採されてきた。
 1990年代以降、衛星を駆使した監視システムを世界で初めて導入し、違法伐採者には実刑を科す厳しい環境犯罪法も定めた。年間の森林消失面積は2004年の2万7772平方キロをピークに減少を続け、10年は栃木県の面積に相当する6451平方キロ。JICA(国際協力機構)南米課の近藤碧さん(27)は「ブラジルが有数の環境先進国であることはあまり知られていない」と話す。
 ところが今年5月、アマゾンの土地利用を規制緩和する森林法改正案が連邦議会の下院で可決され、上院へと回されたことで森林破壊の懸念が再燃してきた。経済成長のため開発を優先する考え方が背景にある。
 地球の反対側の原発事故を受け、原発増設が見直される一方で着工されるベロモンテ水力発電所は、こうした「開発か環境か」という古くて新しい問いの中で槌音が響こうとしている。
 アマゾナス州企画開発局幹部、セルジオ・ソウザ氏(59)は「電力の安定供給は発展を続けるわが国の重要な政策課題だ。特にアマゾンのダム開発は成長維持のために欠かせない」と話し、こうも語った。
 「新興国の盟主を目指すわが国にとってアマゾンの環境保護が持つ戦略的意義は大きい。よりよい結論を導いていかねばならない」
     ◇
 第4部は「未開の地」とされてきたアマゾンの今を報告する。
 ●体験や意見をお聞かせください【あて先】news@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110805/amr11080521310017-n1.htm

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【白老】アイヌ文化や自然との触れ合い満喫 ポロトの森自然体験キャンプ開く

2011-08-06 | アイヌ民族関連
(苫小牧民報 2011年 8/4)

 白老町内の小学4~6年生対象のポロトの森自然体験キャンプ(白老観光協会主催)が3、4の両日、同町のポロト自然休養林キャンプ場で開かれ、39人がアイヌ文化体験や自然との触れ合いを満喫した。
 3日はアイヌ民族の伝統料理「チェプオハウ」(サケの汁物)や即席のいろりで焼き上げたチマチェプ(焼きサケ)などに舌鼓。アイヌ民族の狩猟を学ぶ体験では五つの班対抗で、弓矢を的に当てられるか競った。
 ほかにも川遊びやホタル観察、葉っぱスタンプの製作など、自然の醍醐味を五感で味わい、夜は八つのグループがテントで一夜を明かした。
http://www.tomamin.co.jp/2011s/s11080401.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

富山で環境保護の映像祭 自然や野生生物の生態紹介

2011-08-06 | 先住民族関連
2011/08/04 16:24 【共同通信】

世界各地の自然の美しさや野生生物の生態を紹介する作品を集めた映像祭「ジャパン・ワイルドライフ・フィルム・フェスティバル」が4日、富山市で始まった。
 環境保護意識の向上などを目的に、NPO法人「地球映像ネットワーク」が1993年から富山県で隔年開催。10回目の今年は、世界53の国や地域から寄せられた35本が上映される。
 NHKが出品した「ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる」(59分)は、ブラジル・アマゾンの密林で、1万年以上も独自の風習や文化を守る先住民に150日間密着して撮影した力作。
http://www.47news.jp/CN/201108/CN2011080401000694.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画:豪先住民族の生活、鉱山開発が破壊 6日上映 /京都

2011-08-06 | 先住民族関連
毎日新聞 2011年8月4日 地方版

 関西電力など日本の電力会社が間接的に出資したオーストラリアでのウラン鉱山開発が、現地の先住民族アボリジニの土地と生活を傷つける問題を描いたドキュメンタリー映画の上映会が6日午後6時半から京都市下京区の「ひと・まち交流館 京都」である。この問題に90年代から取り組み、映画の日本語版を監修した細川弘明・京都精華大教授(文化人類学・環境社会学)が上映後に講演する。
 映画は「ジャビルカ~私たちの電気がアボリジニの大地を壊す」(98年、53分)=写真は映画の一場面。同国北部のアボリジニの領土で、世界遺産に指定されたカカドゥ国立公園内のジャビルカ地区で90年代後半から始まったウラン鉱山開発に対し、「聖地と人権の侵害だ」と訴え反対するアボリジニの活動を描く。採掘されるウランは日本へ輸出され原発で使用されることもあり、日本でも細川教授らが反対運動を展開してきた。
 上映後に細川教授が「ジャビルカとフクシマに向き合う--なぜ私たちはヒロシマ・ナガサキを生かすことに失敗したのか」と題して講演する。
 参加費500円。問い合わせは主催するピースムービーメント実行委員会の松本さん(090・2359・9278)。【太田裕之】
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20110804ddlk26040696000c.html


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ古式舞踊など満喫/川湯源泉まつり

2011-08-06 | アイヌ民族関連
釧路新聞 2011年08月04日

 弟子屈町湯のまち川湯源泉まつり(同実行委など主催)が1日から、川湯神社境内で始まった。川湯温泉街に宿泊している家族連れらは、縁日風の露店やアイヌ民族の古式舞踊などを満喫、旅の思い出をつくっていた。 同まつりは、夏の川湯温泉街の風物詩となっているイベントで、郷愁を誘う露店が並ぶ雰囲気の中で、昔ながらの遊びを楽しめるとして、観光客らに人気がある。初日は、やや肌寒い中で幕を開けたが、浴衣姿の宿泊客らが多数来場。輪投げや射的、ストラックアウトなどに挑戦したり、踊りの輪に入るなど、なごやかなひとときを過ごしていた。
http://www.news-kushiro.jp/news/20110804/201108045.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

19歳学生が公共工事獲得?野党がペナ ン州政府を批判

2011-08-06 | 先住民族関連
AsiaX News マレーシア2011年08月04日 13:32

<ジョージタウン>
19歳のカレッジ学生がペナン州政府より100万リンギ(約2,620万円)の建設事業を受注したと報じられ、地元で話題となっている。同州野党・マレーシア華人協会(MCA)婦人部幹部が現政府与党がブミプトラ(マレー人および先住民族の総称)に肩入れしすぎていると強調するために語ったもので、各紙がこぞって大々的に報じた。
報道によると、事業を受注したのはモハマド・ヌルスフィさんで、宗教学校の校舎建設事業を獲得した。
同MCA 幹部は2008年に発足した現政権の下で州の公共工事のわずか0.2%しか非マレー企業に配分されていないと強調。「華人建設業者が19歳の学生にも及ばないということか」と述べ、暗に公正な入札が行われていないと示唆した。
これに対しマレーシア・マレー人建設協会(PKMM)ペナン支部は、モハマドさんの獲得事業は公開入札がきちんと行われた結果だとし、MCA幹部の主張は施行能力だけでなく価格が重要な要素である点を無視していると批判。公共工事の入札を民族問題や政治問題化すべきでないと批判した。
なお肝心のモハマドさんの獲得事業については、父親のアブドル・ワハブさんはモハマドさんがプロジェクトマネージャーに過ぎず、実際には母親の経営する会社が獲得したものだと公表。100万リンギというのも間違いで、実際は50万リンギ(約1,010万円)だと訂正した。
http://www.asiax.biz/news/2011/08/04-133223.php

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【タイ政治社会の潮流】タイ・カンボジア関係の「深さ」:―文化基盤と隣接―[経済]

2011-08-06 | 先住民族関連
NNA.ASIA タイ 2011年8月4日(木曜日)

第102回
7月3日の総選挙から1カ月が経過した。やっと召集された国会では、議長や副議長の選出が終了次第、ジンラック・チンナワットがタイで初めての女性首相に指名されるはずである。現在の政局の関心は組閣に集中しており、国境をめぐる対カンボジア問題は一時休戦状況といえるかもしれない。7月18日には国際司法裁判所が、領有権を争っている国境のプレアビヒア寺院遺跡周辺を「非武装地帯」とし、兵力を撤退するよう両国に対し命じたとのことである。いずれ新政権が本格的に始動する9月ころから、再度交渉が始まる可能性が高いが、タックシンの党であるプアタイ党が政権与党となるわけで、「親友」であり利権で結ばれているフンセンといかなる話し合いを始めるか見守りたい。
さて、歴史的にみて、タイとカンボジアの関係は決して友好的とはいえない。両国には、それぞれ互いを好まない史的背景が存在する。カンボジアにとっての基本的要因は、民族の最大のシンボルであるアンコール遺跡にある。つまり、戦後独立したカンボジアの国家建設にとって必要なナショナリズムのシンボルは、アンコール遺跡以外に考えられなかった。そして、その栄光のアンコール朝が終焉した(15世紀)原因はタイ族による攻略であったことを民族(国家)史に登場させざるを得なかった。反タイ感情を国民に植え付けることが、カンボジアの国家造りには必要であったといえよう。たとえば、一人のタイ女優の発言風評が引き起こした2003年1月29日のプノンペンの民衆によるタイ大使館襲撃事件は、カンボジアの反タイ感情が噴出した典型であった。
また、タイにとっては、カンボジア(クメール)は歴史的にアンビバレントな存在である。つまり、先住民であったクメール民族を武力で追い払い、13世紀ころに現在の地にスコータイやアユッタヤーなどといったタイ族の国をいくつか樹立したのであるが、文化的にはクメール族から多くのものを受容した経緯がある。
洗練された宮廷儀礼などの多くは、クメール文化から取り入れられたといわれている。そこで、武力で勝ちはしたものの文化(文明)で負けたという意識を、その後独立を維持し発展したタイ族の歴史を植民地化されたクメール族の歴史より上に置き、優越意識を持つことにより克服しようとした。タイ人一般のカンボジアに対する優越意識の源である。たとえば、本来、自由で平等なタイ社会に奴隷制のような封建的身分制が生まれたのはクメール社会からの持ち込みであるといったタイでは一般的な学説なども、あきらかにそうした意識の上に成立しているといえよう。
このような「反タイ意識」と「優越意識」という史的基本要因と地理的隣接関係が両国関係を規定してきたのである。
さて、タイ語はタイ・カダイ語族に、クメール(カンボジア)語はオーストロアジア語族に属しており、言語系統的には両者は異なっている。そのふたつの言語がインドシナ半島中央部で出くわしたのは10世紀前後であったと思われるが、そのころを中心に約300~400年間、タイ語とクメール語はその語彙を中心に交流が行なわれ、タイ語の中に多くのクメール語が入り込んだと推察される。また、タイ文字はクメール文字を下敷きに考案された。
時代が下がり、アユッタヤー時代中期からラタナコーシン朝初期にかけては、逆にタイ語がクメール(カンボジア)語に取り入れられる現象が見られた。その中にはクメール語源のものも多かった(里帰り現象)。従って、今日では、実際には本来どちらの語であるか判別が難しい語がきわめて多いといわれるほどである。思いつく現代タイ語の中のクメール語の例をあげてみれば、クルン=都、ドゥーン=歩く、タノン=道路、チャンワット=県、タムルワット=警察、トン=旗、トゥロン=まっすぐ、ガーン=仕事などである。きわめて日常的な語が多いのに驚かされる。このような共通語の多さは、文化基盤の共通性を示唆している。タイ族とクメール族は、古来「深いところ」で多くの文化を共有し共存してきたと考えられる。しかし、互いがクニを構え(つまりは、「縄張り」をつくり)、さらには、隣接する近代国家として相対すると、様々な摩擦が生じてきたのである。たしかに、広く世界を見回してみれば、隣国関係そのものがどこでも国境紛争などの困難さを生み出している。
また、文化基盤が共通しておれば友好関係が保たれると考えられるのだが、一般には逆の例の方が多いのも事実である。ジンラック新政権の登場により「タックシン=フンセン利権ライン」が活性化し、タイ・カンボジア関係は当面これ以上悪化しないであろうが、少し長い目で見ても容易には好転しないであろう。
<筆者紹介>
赤木攻(あかぎ・おさむ)大阪外国語大学名誉教授
大阪外国語大卒業後、タイの国立チュラロンコン大に留学。大阪外国語大教授を経て、1999年同大学長に就任。2004年から、東京国際交流館館長、東京外国語大学特任教授などを歴任。
専門は東南アジア地域研究、タイ政治・社会論。プミポン国王のベストセラーの日本語版「奇跡の名犬物語」の翻訳も手掛けた。1944年、岡山県新見市生まれ。
http://news.nna.jp/free/news/20110804thb026A.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

涼を訪ねて:清里町「神の子池」 輝くエメラルドの神秘 /北海道

2011-08-06 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2011年8月3日 地方版

 普段は観光客もまばらな清里町の裏摩周展望台から北へ約10キロ。トドマツ、エゾマツなどの濃緑の雑木林を分け入ると、周囲220メートルほどの小さな池がたたずむ。アイヌ語でカムイトー(神の湖)と呼ばれる摩周湖の透明な水が伏流すると言い伝えられ、その名が付いたといわれる「神の子池」だ。
 水深5メートルの池の底から、わき出る伏流水は1日1万2000トン。水温は年中8度。澄み切ったエメラルドグリーンの水を通して倒木がまるで化石のように沈む。「水がきれい過ぎて、微生物が繁殖にしくいのではないか」と東オホーツクガイド協会長の山下健吾さん(47)。木漏れ日の中、ひときわ輝く水面が神々しさを醸し出す。
 アウトドアに詳しい地元の人が知る「隠れたスポット」だったが、オカリナ奏者の宗次郎さんが93年に出したCD「水心」のジャケット写真に取り上げられ、知られるようになった。
 近年はテレビ番組でも紹介され、訪れる観光客は年間数十万人とも。植物が踏み荒らされ、池の周囲が小さくなってきたとの指摘もあるが、群馬県富岡市から訪れた小林ツル子さん(74)は「思った以上の神秘さ。まさに神様の贈り物」と息をのんだ。【渡部宏人】
    ◇
 避暑で訪れる人も多い北海道。ひときわ心地良い涼を求めて道内各地を訪ねた。(随時掲載)
==============
 ◆アクセス
 清里町の中心部から道道摩周湖斜里線を中標津方面へ約25キロ。看板のある林道の入り口で右折し約2キロ。30台が入れる駐車場とトイレあり。問い合わせは同町産業課(0152・25・3601)へ。
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110803ddlk01040267000c.html


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元兵士4人に禁錮6000年超 グアテマラ、先住民ら虐殺で

2011-08-06 | 先住民族関連
日本経済新聞 2011/8/3 20:30

 中米グアテマラの裁判所は2日、内戦中の1982年に北部ドスエレスの村で先住民ら農民201人を虐殺したとして、同国軍特殊部隊の元兵士4人に禁錮6060~6066年の判決を言い渡した。刑法が刑期の上限を定めているため、実際の刑期はそれぞれ80年前後となる。スペイン通信などが伝えた。
 当時の政府による過酷な人権侵害を象徴する事件の一つで、関与した元兵士が裁かれるのは初めて。判決が言い渡されると、傍聴席に詰め掛けた遺族や人権保護団体の活動家たちから大きな拍手と歓声が湧いた。
 4人は無罪を主張していた。
 グアテマラ内戦は60年代から96年まで続き、死者は推定20万人。多くのマヤ系先住民が左翼ゲリラの協力者と疑われて軍に殺害された。(ロサンゼルス=共同)
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE2E1E2E6948DE2E1E2EAE0E2E3E39494E3E2E2E2;at=ALL

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする