ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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根上隕石

2013-09-19 12:53:33 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「根上隕石」です。

昨日は定休日で、所用で小松に行ってきました。その帰りに以前から気になっていた根上学習センターに行ってきました。目的は「根上隕石」の展示を見る為です。

それは1995年2月18日23時55分頃、石川県能美市大成町(旧能美郡根上町)に落下、自動車を直撃した隕石です。当時のニュースは憶えております。自動車に衝突した隕石としては日本で最初、1991年以降の世界で3例目でした。JRの寺井駅近くの商店と住宅の密集地に落ちましたが、幸い死傷者はありませんでした。

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展示されていたのは最も大きな破片のレプリカ(本物は落下地が自宅の笹谷さんが所有しているそうです。)と笹谷さんの自家用車(本物)です。

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「根上隕石」はトランクの蓋を突き破り、一片約10cmの三角形の隕石孔を開けましたが、地表にまでは貫通しなかったそうです。レプリカ展示されていた最も大きな破片は、トランクの蓋にできた隕石孔の上で止まっていたそうです。地球の大気が減速とクッションの役目をはたしたのかも知れません。それは隕石のサイズや落下角度等、偶然が重ねあった結果だと思います。それから、面白いと思ったのは、その自動車はスバル自動車でした。宇宙や星に縁のある名前です。

「根上隕石」の岩石学的特徴は主にカンラン石でできており、直径1mmほどの球粒からなるコンドライトでL6型に分類される隕石です。「根上隕石」は落下後3日も経たないうちに科学的な研究が始められたそうで、世界最速記録に残るそうです。その新鮮な隕石を調べる事で半減期の短い宇宙線によってできた放射性核種の検出ができたそうです。それは金沢大学の旧尾小屋鉱山坑内の実験施設で調べられました。

昨日は施設の方が説明して下さりました。2008年に発行された冊子も頂けました。誰もいない平日の静かな時間帯は見学するには最適だと思いました。

根上学習センターで見学した後、近くの落下現場に行ってみました。そこには石碑が建っておりました。

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昨日はそのまま帰りましたが、できれば「根上隕石」の現物を見たいと思いましたし、できれば写真を撮って、いつか「鉱物のすすめ」に掲載したいと思ってしまいました。

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紙の多面体

2013-09-17 15:54:18 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「紙の多面体」です。

先週の日曜日、再度NHKの「八重の桜」のオープニングタイトルを見ました。「紙の多面体」の映像は非常に美しいと思いました。先日のブログで「紙の多面体」を作品とされている田中更士さんの事を書いたのですが、もうおひとり「紙の多面体」を作品とされている芸術家がいらっしゃる事を思い出しました。それは高木英雄さんという芸術家です。

実は、私の名古屋時代にお世話になっていた「ウエストベスギャラリー コヅカ」というギャラリーから今でもDMが届いています。今回は企画展のDMといっしょに「高木英雄 作品集」という冊子が送られてきました。それは高木英雄さんの過去から現在までの作品の全貌が把握できるものです。コヅカさん、ありがとうございます。

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2002年の作品(高木英雄 作品集から)

その作品集には紙で作られた正四面体をベースにした作品から各種の正多面体やシェルピンスキーのギャスケットを思わすフラクタルな幾何学的立体、そして菊やダリアを思わす植物の花のような作品、中には水の流れを表現したものまであります。それらに共通している事は「自然はフラクタルという自己相似性を有する複雑な形態に満ちている。」という事を表現している事です。自然を表現するには木からできる紙という素材は相性が良いのかも知れません。

紙という素材は扱いやすく、例えば、折り紙では各種の多面体を作れますし、色紙を使えばカラフルな表現世界が広がります。「八重の桜」のオープニング映像ではブラックライトで光る紙を使用していましたので、さらなる美しい映像を表現しておりました。

紙という素材は幾何学的な多面体が作りやすいだけではなく、鉱物結晶の模型も作れます。例えば、「鉱物結晶図鑑」に載っている結晶の展開図をコピーして切り取り、それを貼り付けるだけで簡単に立体的な結晶模型が作れます。「紙の多面体」は誰でも簡単に作れるところが魅力的です。その気になれば、あらゆる多面体やあらゆる結晶模型を紙で作る事も可能かも知れません。オリジナルの完全版セットが作れます。ただし、それらの置き場所の問題が生じてしまいますが・・・。

そうそう、東京のマリーギャラリーで「高木英雄 展」(9月27日~10月12日)が開催されるそうです。ご興味があられる方は是非どうぞ。

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恋路の霰石2

2013-09-15 13:41:10 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「恋路の霰石2」です。

昨日、北陸中日新聞の今月分の「鉱物のすすめ」が掲載されましたので、その紙面に出した写真を出します。地方面の記事はWeb上にはUPされません。

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金沢大学所蔵の恋路の霰石(Aragonite)

これは昔の道路工事の際に発見されたものだそうです。石川県産を代表する立派な標本だと思います。今ではこのようなものを採取するのは難しいとは思いますが、恋路はいつか採集会で行ってみたい産地のひとつです。

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恋路の霰石(Aragonite)・重晶石(Barite)
もうひとつはTYさんが先日の「恋路の霰石」のコメントに書かれていた標本です。サンゴ虫みたいなものが霰石、板状の結晶が重晶石と思われます。重晶石が霰石に食い込んでいるようです。どうもこれらは同時に生成されたようです。不思議な事です。

鉱物の共生にはいろんな種類やいろんな組み合わせのケースがありますが、今回の場合は閉鎖された玄武岩の中の小さな晶洞内で生成されたものです。玄武岩は溶岩が固まったもので、晶洞は溶岩中にあったガスの抜け跡のように思われます。晶洞の内壁に張り付いているのはセラドン石です。

玄武岩内の晶洞は完全に閉じている訳ではなく外部からの液体が小さな隙間から出入りしていたのだろうと思われます。晶洞内は自然の坩堝となり、温度低下等の環境変化にともない鉱物の晶出や結晶成長が起きたのだろうと思われます。

それにしても自然は不思議です。このような標本にはそのような生成記録が秘められていると思います。そういう意味で貴重な標本だと思います。

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カナザワ映画祭

2013-09-14 15:42:19 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「カナザワ映画祭」です。

何を隠そう、私の鉱物趣味の前の趣味は映画鑑賞でした。特に大学生だった頃は映画を見ない日は無かった程で、毎日どこかで映画を見ていた映画青年だったと思います。そういえば大学ではビデオ研究会にも所属しておりました。当時は鉱物とはまったく縁のない映像派だったのです。

昨日、「カナザワ映画祭2013」のオープニングに行ってきました。私は「カナザワ映画祭」には初めて行きました。場所は店の近くの金沢都ホテル地下二階セミナーホール(旧ロキシー劇場)です。昨日は閉店後、すぐに行きました。現地でインターネットで予約していた前売りチケットを購入し、開演まで列に並びました。映画を見る為の行列、何と懐かしい光景でしょうか!学生時代、京橋のフィルム・センター等で何時間も並んでいた事を思い出します。思えば当時はレンタルビデオが普及する前で、見たい映画は「ぴあ」等の情報誌を探して見に行きました。見たい映画は東京中どこでも行きました。当時は映画を見る事で東京の地理を憶えていったような感じでした。

昨日の上映作品は「メトロポリス ジョルジオ・モロダー版」(1984)です。フリッツ・ラング監督が1926年に作ったモノクロ・サイレント映画の画面を着色して音楽を入れて作り直した映画です。今回は日本公開当時の35mmプリントによる約30年ぶりの上映となったそうです。アール・デコの時代の名作を80年代サウンドの爆音で体験するという企画が魅力的でした。この映画はこのブログの「錫石2」(2013/08/06)で登場させたロボット・フィギュアが登場する映画です。この映画の最大の魅力は何と言ってもそのロボットです。そのデザインにはレトロ感と未来感が融合したような印象を受けます。そのロボットと共に古さを感じさせないSF的な映像表現がすばらしい名作だと思います。私は他のバージョンのビデオやDVDやBDを持っていますが、この「メトロポリス」は初めてでした。映像に音楽もマッチしており、このバージョンのDVDも欲しくなりました。名作映画は何度でもおいしいのです。

「カナザワ映画祭」は明後日までやっていますが、私はお店があるので他の作品は見ません。今はやはり映画より鉱物なのです。

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桶滝

2013-09-12 12:22:29 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は定休日で、天気も良かったので、以前から行きたいと思っていた輪島方面に行ってきました。目的は「桶滝(おけたき)」です。

そこへは金沢から「のと里山海道」を走っていくと2時間位で着きました。途中近くの「男女滝(なめたき)」に立ち寄って休憩しました。「男女滝」は道路のすぐ横にあり、ゆるやかな流れが連なっていて、それなりに趣がある滝でした。滝の岩肌は典型的な礫岩です。その滝ができた地球的な時間の長さを思いました。

「男女滝」の次はいよいよメインの「桶滝」です。狭いヘアピンカーブの道をぬけると看板がありました。少し広くなっている道に車を止め、そこからは徒歩数分でした。平日の午前中、他には誰もいません。「桶滝」を独占できました。

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上の写真が「桶滝」です。「桶滝」は潜滝の一種で、巨大な一枚岩の真ん中に丸い穴が開いており、その中にほぼ垂直に水が流れ落ちる滝です。まるで底の抜けた桶の中を流れているようです。先日の大雨の影響もあるせいか、水量も多くダイナミックに流れ落ちていました。持って行った3Dカメラでスチールと動画を撮影しました。

飛騨小坂の「龍門の滝」もすばらしい潜滝でした。この「桶滝」もそれに匹敵していると思います。不思議な事だと思います。このような魅力的な滝なのに、その存在は意外と知られてはいません。観光用のチラシには載ってはいましたが、その魅力が伝わらないようなアングルでカットされた写真が載っておりました。おそらく地元のPRが足りないのだと思います。残念な事です。

「桶滝」は非常に珍しい滝で、滝好きにはたまらない滝だと思います。「桶滝」は石川県指定名勝及び天然記念物になっています。石川県を代表する滝のひとつだとは思います。もっと知られていても良いのに、と思ってしまいます。

「桶滝」の後、輪島の市内へ行きました。第2水曜日だったので朝市は休みで、寂しい観光地となっておりました。昨年閉館したイナチュウ美術館前のサモトラケのニケ像やその他の彫像が古びて本物の古代ギリシア・ローマ彫刻のように見えてしまいました。

帰りは一般道で七尾を経由して金沢に帰りました。

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